粉砕機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/22 03:20 UTC 版)
粉砕機の分類
粉砕機は粗粉砕機、中間粉砕機、微粉砕機、摩砕機などに分類される[1]。
なお、粉砕の過程において、粉砕機は摩擦や圧縮の力によって物質を粉砕し、粒径を揃える働きをする。粉砕には多量のエネルギーが必要なため、異なる機械による粉砕に必要なエネルギーを測定する方法が、近年提案されている[2]。
粗粉砕機
- ジョークラッシャー
- 固定板と可動板の間に原料を噛み込んで強力な圧縮力で破砕する機械[3]。
- ジャイレトリクラッシャー
- 固定したコーンケーブと偏心回転運動するマントルの間に原料を噛み込んで圧縮力で破砕する機械[4]。
- インパクトクラッシャー
- 高速回転する円筒形ローターに取り付けた衝撃刃により原料を打撃粉砕しさらに反発板に高速度で当てることで打撃粉砕する機械[4]。
中間粉砕機
- ロールクラッシャー
- 円筒形の水平ロールを複数設置し、その間隙に原料を通し、回転方向及び速度の異なる2本のロールの圧力で粉砕する機械[4]。
- エッジランナー
- 水平円盤上で直径の大きい重さのある2本のローラーを転動させ、圧縮・せん断・摩砕を行い、原料の粉砕・混合・混練を行う機械[5]。
- ディスインテグレーター
- 鋼製の2個のケージ型ローターを同心軸の周囲に反対方向に回転させ、内側ローターから供給される原料を遠心力と回転作用により衝撃力を与えて粉砕する機械[6]。
- SAGミル
- SAGミル(Semi-Autogenous Grinding mill、準自生粉砕)とは、粉砕に大きな石と鉄のボールの両方を用いるものを指す。SAGミルには、6-15%が帯電している最も小さなボールが用いられる。
- ドラムの回転により、中の大きな石と鉄のボールが投げ上げられ、物体と衝突して粉砕される。摩擦によってさらに小さな粒径になる。SAGミルはその直径の大きさと筒の短さが特徴である。ミルの内側には、内部で物体を混ぜるための板が並んでいる。SAGミルは主に金、銅、白金工業で使われ、鉛、亜鉛、銀、アルミナ、ニッケル工業にも適用されている。
- 自生粉砕ミル
- 回転するドラムによって大きい石が投げ上げられ、石同士が衝突して粒子を圧縮する。上述のSAGミルと原理は似ているが、金属ボールは用いられない。"Run Of Mine"の略でROMミルとも言われる。
微粉砕機
微粉砕機はスクリーン型(スクリーンミル)、回転盤型、軸流型に分類される[7]。
- ビーズミル
- ビーズミルは、ビーズを使って粉体をナノ分散・微粉砕する媒体撹拌粉砕機である。粉砕室(ベッセル)中にスラリーとビーズ(メディア)を入れ、撹拌機構で高速回転して遠心力によってビーズにエネルギーを付与し、砕料粒子をずり応力、せん断応力、摩擦力、衝撃力によって粉砕する。100~150μm程度の粉体を1~数μmに粉砕でき、近年では、マイクロビーズの登場により数nmまでの微粒子化が実現可能である。
- ボールミル
- 細粒を得るための粉砕機の代表的なものはボールミルである。少し傾いて、または水平に回転するシリンダーの中に、通常は砂か金属でできたボールが詰まっており、ボールとの衝突や摩擦によって粉砕が行われる。シリンダーの一方から粉砕したい物体を入れ、もう一方から粉砕されたものが排出される。ボールミルは、ポルトランドセメントを製造するのに一般的に用いられている。これらの工業用途のボールミルは大型機械である。小さいボールミルは、研究室等でサンプルを細かくするのに用いられる。
- ロッドミル
- 構造はボールミルとほぼ同じであるが、粉砕媒体としてボールではなくロッド(金属製の円柱)を使用する。回転するドラム(胴体)によって、粉砕物にロッドの衝撃が与えられることで粉砕されるもの。ボールミルに比べて過粉砕されにくく、比較的均一な粒度の製品が得られる。
- ジェットミル
- 圧縮エアを利用して超音速気流を発生させて粒子を粉砕する。
- スパイラル状にジェットノズルが並べられたパンケーキ型と、ジェットノズルの超音速気流を衝突板に噴射する衝突型がある。
- 特に、ミクロンオーダーの粒子径を連続して乾式処理で実現するには非常に有効である。
摩砕機
摩砕機には回転式石臼、擂潰機、凍結粉砕機などがある[8]。
- ^ 赤尾剛・林弘通・安口正之『食品工学基礎講座 固体・粉体処理』光琳、1988年、30-37頁
- ^ Baron M., Chamayou A., Marchioro L, Raffi J., Adv. Powder Technol., 2005, 16, 3, 199-212.
- ^ 赤尾剛・林弘通・安口正之『食品工学基礎講座 固体・粉体処理』光琳、1988年、30頁
- ^ a b c 赤尾剛・林弘通・安口正之『食品工学基礎講座 固体・粉体処理』光琳、1988年、31頁
- ^ 赤尾剛・林弘通・安口正之『食品工学基礎講座 固体・粉体処理』光琳、1988年、33頁
- ^ 赤尾剛・林弘通・安口正之『食品工学基礎講座 固体・粉体処理』光琳、1988年、32-33頁
- ^ 赤尾剛・林弘通・安口正之『食品工学基礎講座 固体・粉体処理』光琳、1988年、34頁
- ^ 赤尾剛・林弘通・安口正之『食品工学基礎講座 固体・粉体処理』光琳、1988年、36-37頁
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