府中市 (東京都)
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歴史
旧北多摩郡で、大化の改新後武蔵国の国府所在地である事など政治、経済、文化の中心であり、古くから栄えていた事が各資料から判明している。鎌倉時代にも要衝地域として重要な地位を占めており、末期には幕府の存亡をかけた合戦の舞台となった。江戸時代には主要な宿場町として、また近在の物資の集散地として発展する。戦後も多摩地域の主要都市として行政機関、病院群、大企業の研究開発所や工場が数多く集積し、東西南北への複数の鉄道路線が交差している。
古代
1750か所を超える発掘調査が行われており[6]、旧石器時代の尖頭器は若松町一丁目[注釈 1]他で発見、縄文時代の土偶も若松町一丁目[注釈 2]で発見、分梅町・美好町付近では古墳群が発見されており、旧石器時代の朝日町遺跡や縄文時代の武蔵野公園遺跡・浅間山前山遺跡・天神町遺跡・新町遺跡など数も多い。旧石器時代の礫群も発見されており、加熱調理施設であったと確認された[7]。この時代は狩猟が主であった。
大化の改新後、国司が東国に派遣された際、武蔵国造の根拠地の大宮を避け、比較的早くから屯倉が設置され[8]、古来交通に産業に重要な役割を受持った玉川中流域に面する[9] 府中の地に武蔵国の国府が置かれた。国府は大國魂神社付近であり、発掘調査によって神社東隣に国衙の一部と推定される遺跡を発見、市がその土地を買い取り公開されている。武蔵国の国衙は、8世紀前葉期に建設された事が明らかになってきた[7]。武蔵国の国分寺は国府から約2km、現在の国分寺市内に置かれ、古代の東山道武蔵路は武蔵国府から北上する官道であった。北に向かい川越へ至る「川越道」、鎌倉へ至る「相州道」が南へ続くなど、南北の道路が発達していた。平安時代中期まで武蔵国の中心として機能した。
中世
鎌倉幕府の時代は、古文書の中から重要拠点として記載され、中世の鎌倉街道上道が市内を通る。現在も一部が残り、同名称の街道が併存、新田義貞と鎌倉幕府軍が争った戦場も残る(1333年、分倍河原の戦い)。まいまいず井戸も発見されており、ハケ上に水をもたらし、畑作も行われていた。
近世
江戸時代には甲州街道沿いが整備されて鎌倉街道との交差点周辺を中心とした宿場町として栄えた。周辺の大部分は天領で、川崎定孝(平右衛門)による開拓と用水の整備が進み、田畑の耕作も盛んになる。かつての南北に走る道路にかわり、東西に走る道路が中心となっていく。
明治時代には北多摩郡の郡役所が置かれるなど、中核地を担った。大正時代には複数の鉄道が、昭和には、日本製鋼所東京製作所、東芝府中事業所、日本小型飛行機(株)など相次ぐ設置、軍の施設(府中基地)が置かれ多摩村の一部に掛かる飛行場設置など、かつて盛んであった農業の割合より工業・商業が増えて現代の府中を形作っていった。
現代

第二次大戦後1950年代以後に宅地開発が進み、行政機関、都立病院を含む多くの大病院、日銀を代表とする各銀行の計算センター、大企業の研究開発所および工場の集積も相まって人口が急増し、東京都の拠点都市として発展し続けている。
年表
古代 - 明治以前
- 旧石器時代(約3万年前):武蔵野段丘に居住が始まる(武蔵台遺跡)。
- 縄文時代(約4000年前):低地や川沿いに村が出来る(大國魂神社裏遺跡・武蔵野公園遺跡・清水が丘遺跡)。
- 645年:大化の改新に伴い、武蔵国の国府が府中に置かれる。
- 1590年:府中宿本町に府中御殿造営
- 1602年:甲州街道が整備され、府中宿が置かれる。
明治時代 - 太平洋戦争終戦
- 1868年:韮山県設置、市域の南西部が県域になる。残りは武蔵知県事所管となる。
- 1869年:品川県設置、市域の南西部を除き、県域となる。
- 1871年:廃藩置県により順次翌年までに神奈川県に編入。
- 1878年:多摩郡が分割され、市域は北多摩郡域となり、北多摩郡役所が府中の番場宿に置かれる。
- 1880年:市域中心部の4町(新宿町、本町、番場宿町、八幡宿町)と屋敷分村が合併して「府中駅」となる。
- 1889年:市域東部の8村が合併して多磨村に、西部3村が合併して西府村になる。府中駅が名称を変えずに町制施行(1893年に東京府への移管と同時に府中町となる)。
- 1893年:三多摩(北多摩、南多摩、西多摩)郡が東京府に移管された。
- 1910年:東京砂利鉄道(後の国鉄下河原線)開通。
- 1913年:電話開通。
- 1916年:京王電気軌道(現:京王線の一部)開通。
- 1922年:多摩鉄道(現:西武多摩川線)開通。
- 1925年:玉南電気鉄道(現:京王線の一部)開通。
- 1929年:南武鉄道(現:JR南武線)開通。
- 1933年:東京競馬場開場(目黒競馬場が目黒区より移転したもの)
- 1943年7月1日:東京府が東京都となる。
終戦 - 1990年代
- 1954年4月1日:府中町、多磨村、西府村の合併により市制施行(東京都内の市部で6番目)。
- 1955年:京王競馬場線開通。
- 1955年:多摩村連光寺のうち、多摩川北岸の地区(下川原地区、現在の南町の一部)を編入。
- 1956年:国道20号バイパス(新甲州街道) 東府中 - 本宿間開通。
- 1961年:国道20号バイパス 東府中 - 調布間開通。
- 1965年:武蔵台4丁目を国分寺市へ編入(現在の西恋ヶ窪、日吉町の各一部)
- 1968年12月10日:三億円強奪事件発生(栄町)。
- 1973年:国鉄(当時)武蔵野線開通。これに伴い下河原線旅客輸送は廃止。
- 1991年:府中の森芸術劇場を開館
- 1992年:府中インテリジェントパーク(Jタワー)完成
- 1993年:生涯学習センターを開館
- 1995年:稲城大橋有料道路が開通
- 1996年:伊勢丹府中店・フォーリス・府中駅南口のペデストリアンデッキがオープン
- 1998年:府中四谷橋の開通
2000年代以降
- 2000年:府中市美術館を開館
- 2004年:環境美化推進地区と喫煙禁止路線を指定
- 2006年:税務署跡にいきいきプラザを開館
- 2007年
- ルミエール府中を開館
- 景観行政団体となる(都内では2番目)
- 2008年
- 府中市景観条例を施行
- 「国指定天然記念物 馬場大門のケヤキ並木 保護管理計画」を策定(国の天然記念物に指定されたケヤキ並木は日本唯一)
- 2009年
- 2011年
- 府中市暴力団排除条例を施行(都内市部初)
- 府中市郷土の森物産館(府中市観光物産館)を開館
- 2016年
- 2017年
- 国史跡武蔵国府跡(国司館地区)保存活用整備工事(第1期)着手[12]
- 東京都課長の土橋秀規を2人目の副市長に選任
- 7月14日:大型複合施設「武蔵府中ル・シーニュ」の竣工[13] により、府中駅南口市街地再開発事業計画が完了。
- 9月1日:新学校給食センター稼働[14](国内最大規模)
- 府中市出身の代官・川崎平右衛門の没後250年記念事業を開催
- 2020年
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国立市 | 国分寺市 小金井市 | ![]() | |
日野市 | ![]() |
調布市 | ||
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多摩市 稲城市 |
注釈
出典
- ^ 関根恒男 『新版 武蔵国府のまち府中市の歴史』府中市教育委員会、2006年3月、438-439頁。
- ^ 2011/11/15 the houseのデータによる。
- ^ a b 参考:住宅・不動産情報ポータルサイト「HOME’S」調査報告 2008年東京都内生活者実感ランキングベスト20
- ^ a b 「けやきっ子」及び「広報」紙面。
- ^ 特選東府中情報 府中市発行「府中市政史」及び「グラフ府中」引用[リンク切れ]
- ^ 特別展府中の発掘お宝展2016パンフレット
- ^ a b 『国府はいつできたのか』府中市郷土の森博物館
- ^ 『日本歴史地名大系 13 東京都の地名』(平凡社2002年)p1072〈府中市〉
- ^ 『東大寺と国分寺 日本歴史新書』(石田茂作著 至文堂 1968年) p63
- ^ Music Voice 小室哲哉が武蔵国府中大使に任命「文化都市になるよう」。木根尚登もアドバイザーに任命。
- ^ 東京新聞 小室哲哉さんが府中大使に 五輪見据え「世界的音楽イベント開きたい」
- ^ 府中市 国史跡武蔵国府跡(国司館地区)保存活用整備工事(第1期)実施設計
- ^ “施設概要”. 【公式】武蔵府中 LE SIGNE [ル・シーニュ]. 2020年6月20日閲覧。
- ^ “食べておいしい!見てたのしい!学校給食センター”. 東京都府中市ホームページ. 2020年6月20日閲覧。
- ^ “四谷さくら公園拡張部分(2期)を開園します”. 東京都府中市ホームページ (2020年2月3日). 2020年6月20日閲覧。
- ^ “府中市職員の逮捕について(お詫び)”. 東京都府中市ホームページ. 2020-06-02. 2020年6月20日閲覧。
- ^ “本市職員逮捕を受けた記者会見”. 東京都府中市ホームページ (2020年6月2日). 2020年6月20日閲覧。
- ^ “府中市職員逮捕を受けた市長会見要旨”. 東京都府中市ホームページ (2020年6月2日). 2020年6月20日閲覧。
- ^ “府中談合事件 市に衝撃「誠に遺憾」 幹部職員ら逮捕 市長が陳謝:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web (2020年6月3日). 2020年6月20日閲覧。
- ^ “【ニュースルーペ】府中市官製談合逮捕1週間 市議ら執拗に漏洩迫ったか”. 産経ニュース (2020年6月9日). 2020年6月20日閲覧。
- ^ 府中駅南口市街地再開発事業計画による。
- ^ 府中市 指定文化財 [1] 2017年2月閲覧
- ^ 齊藤経生「多摩のみほとけ 29 府中市上染屋八幡神社 銅造阿弥陀如来立像」『多摩のあゆみ』第166号、たましん地域文化財団、2017年、84-85頁、ISSN 09139680。
- ^ “住所の表示について”. 府中市. 2020年1月26日閲覧。
- ^ a b urusato-tax 総務省のデータを元に算出
- ^ 東京都編集『東京都の昼間人口2010』https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/tyukanj/2010/tj-10index.htm 区市町村別 八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市の項目より。
- ^ 東京都編集『東京都の昼間人口2005』平成20年発行148,149ページ
- ^ 府中市「広報ふちゅう」平成25年度予算の概要4頁目
- ^ 広報ふちゅう 2009年1月11日版[リンク切れ]
- ^ http://www1.tama5cci.or.jp/chamber/admin/topics/pdfTemp/20111003153926.pdf[リンク切れ]
- ^ a b 府中市 広報
- ^ 府中のキャラクターが大集合 - 府中市役所
- ^ “任期満了日(定数)一覧 | 東京都選挙管理委員会”. 東京都選挙管理委員会 (2019年12月9日). 2019年12月28日閲覧。
- ^ a b “市議会の構成が決まる”. ふちゅう市議会だより (府中市議会). (2021年5月26日) 2021年10月30日閲覧。
- ^ “会派”. 府中市議会. 2021年10月30日閲覧。
- ^ 府中市 市内の病院一覧
- ^ 府中市 粗大ごみ
- ^ a b どうなる府中市 (上)ごみ問題[リンク切れ] 読売新聞社、2008年1月17日 「全国で初導入。多くの自治体が追従」
- ^ ごみ収集方法の見直しについて Archived 2011年5月15日, at the Wayback Machine. 府中市、2009年7月23日。市民運動から住民投票による採決の話があったが、議会与党議員が住民投票そのものを否決したことにより、議会での採決によって変更が決定した。
- ^ 平成22年度実績 ゴミ報誌より。
- ^ 慈恵院について
- ^ “MitteN府中(ミッテン府中)”. 2021年4月27日閲覧。
- ^ 東京都27市町村別「優秀公園」ベスト版 府中市編
- ^ 男女共同参画センター「フチュール」 府中市公式サイト
- ^ 稲城・府中墓苑組合(稲城市・府中市)
- ^ a b 府中観光協会
- ^ 府中観光協会 新しい特産:古代米(黒米)
- ^ リムジンバス
- ^ 京王バス 深夜急行バス
- ^ 多摩自動車検査登録事務所
- ^ 府中市郷土の森博物館「小惑星Musashifuchu(ムサシフチュウ)が誕生しました」
- ^ 三菱電機 2面設置されたターフビジョンのうち西側ターフビジョンは、縦11.2m×横66.4mの大きさで、世界 最大の映像スクリーンとしてギネス世界記録に認定
- ^ NEC 日本で初めてRFID(無線ICタグ)を活用した予約図書受渡システム(通称「e-棚」)を導入。RFID対応の自動貸出機を設置
- ^ 広報ふちゅう2017年8月21日号
- ^ 朝日新聞デジタル 迅速開票、府中・多摩両市に注目 改善続け全国に刺激 2007年04月04日00時38分
- ^ 八王子経済新聞 ユーミン「中央フリーウェイ」の工場がラベルに-中央道全通30周年で2012年09月13日「稲城インターチェンジ~国立府中インターチェンジ間から眺める事ができるサントリー武蔵野ビール工場(府中市)で製造。「荒井由実さんの曲『中央フリーウェイ』でも登場するなど中央道の風景に入っており、縁もある」(同社担当者)」
- ^ 「千早と太一が住むまち府中で 漫画複製原画展を開催」 主人公の綾瀬千早とその幼馴染の真島太一は、府中市に住んでいる設定であることから、作中には府中の風景がたびたび登場します。」
- ^ TBS (日本語), 日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』 2020年10月11日閲覧。
- ^ “ドラマ盛り上げ府中PR 「ノーサイド・ゲーム」官民で応援”. 産経ニュース (産経新聞社). (2019年7月4日) 2019年7月27日閲覧。
- ^ 公式ホームページ 2021年4月3日閲覧。
- ^ “喜多村英梨のアニメキャラ・最新情報まとめ”. アニメイトタイムズ. 2020年11月15日閲覧。
- ^ 「府中市広報誌(広報ふちゅう)2009年1月1日号、府中市長野口忠直との新春対談」府中市立小中学校卒業生“アーカイブされたコピー”. 2013年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月21日閲覧。
- ^ 府中市ホームページ
- 府中市 (東京都)のページへのリンク