ヴォルコシガン・サガ ヴォルコシガン・サガの世界

ヴォルコシガン・サガ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/22 22:58 UTC 版)

ヴォルコシガン・サガの世界

バラヤー

Barrayar

3惑星からなるバラヤー帝国の首都惑星。セタガンダ帝国との戦争の結果、国土の一部は放射能に汚染されているが、惑星上の広い土地が居住可能である。首都はヴォルバール・サルターナ。

遺伝子の使命』と『自由軌道』を除き、全作品の主人公はヴォルコシガン一族の故郷である惑星バラヤーに関係している。この惑星のために、ビジョルドは”剣と宇宙船”の歴史を作りだした。マイルズ・ヴォルコシガンの時代のバラヤーは宇宙船とコンピューターとその他のハイテクを駆使するが、その文化は決闘をいまだに記憶し、黄金の袋をささげて皇帝の誕生日を祝い、お仕着せを着せられ、主人に生涯の奉仕を誓う召使が書き手の血で封印されたラブレターを運ぶのである。遅れた地方では、新生児の肉体的な欠陥が調べられ、障害が見つかった場合は嬰児殺しが行われる。

バラヤーは、ヴォルコシガン・シリーズの第一作である『名誉のかけら』の600年前に人類によって植民地化され、ロシア系やギリシャ系などの移民が移り住んだ。植民地化の直後に、バラヤーと他の人間世界を結ぶ唯一のワームホールが不安定になったため、5万人の植民者は孤立した。孤立時代と呼ばれる続く数世紀の間に、バラヤーは封建社会を成立させ、尊称であるヴォルを名前の最初に持つ60の封建国守と下位の貴族が皇帝を支えるようになった。重要な案件は国主評議会で決定される。ヴォルの階級は軍事的なものであり、バラヤー文化は極めて軍国主義的かつ家父長的である。

バラヤーは、豊かな商業惑星であるコマールの近傍の別のワームホールによって再発見されることになる。商業的特権と引き換えに、コマールは近隣の拡張主義者であるセタガンダ帝国に、バラヤーを征服することを許す。セタガンダ人は長年バラヤーを占領し、ゲリラ戦争を戦った後、テクノロジー的には極めて優位に立っていたにもかかわらず、最終的には大きな犠牲を払ってバラヤーから撤退することになる。

コマール

Komarr

バラヤー帝国の一員である、呼吸不能な大気をもつ惑星。住民はドーム内に暮らし、ミラー衛星によってエネルギーを得る。かつてセタガンダ帝国にワームホールを使わせてバラヤーを侵略させたため、報復としてバラヤーに征服・併合され、バラヤーに抵抗する勢力がいまだに存在する。『ミラー衛星衝突』の舞台である。かつてアラールが司令官であった時に、その部下が200人ものコマール人を虐殺した事件があり、アラールが”コマールの殺し屋”と呼ばれる原因となった。グレゴール皇帝の皇后はコマール出身である。

セルギアール

Sergyar

バラヤー帝国の一員の惑星であり、コーデリアアラールはここで出会い、後に二人は共同総督となる。かつては無人の惑星であったが、コマールエスコバールの間に位置する戦略的重要性のため、バラヤーからの植民が進められる。種々の異生物が生存する。『女総督コーデリア』の舞台となる。

ベータ植民惑星

Beta Colony

進んだ遺伝子工学を持つ惑星だが、表面は砂漠に覆われ人々は地下に住む。社会民主的な政治形態で、性的に極めて開放的であることで知られ、両性具有者も社会の一角を構成する。コーデリア・ネイスミスの出身地。

セタガンダ

Cetaganda

8つの惑星からなる拡張主義の帝国であり、遺伝子工学に優れ、極めて特殊な社会構造を持つ。貴族であるホート階級、戦士であるゲム階級、そして無性の召使であるバーがある。かつてはバラヤーを侵略し占領していたが、ゲリラ戦争に悩まされ、撤退した。その後もヴァーベインマリラックなどに侵略を試みる。ホート階級の女性はシールドによって身を隠す。ゲム階級の男性は独特の化粧を顔に施す。『天空の遺産』の舞台となる。

ジャクソン統一惑星

Jackson’s Whole

倫理的な束縛を受けずに資本主義を極限まで発展させた惑星であり、政府は存在せず、優れた遺伝子工学と医療技術を他世界に提供するが、本人の許可を受けないクローンや遺伝子操作による改造人間などを作りだし、さまざまな犯罪の温床となる。100を超える商館を率いる大豪たちによって支配される。『迷宮』および『ミラー・ダンス』の舞台となる。

エスコバール

Eskobar

セルギアールベータの間に位置する惑星であり、デンダリィ自由傭兵艦隊の基地となる。進んだ科学技術を持つ。

地球

ワームホール・ネクサスとの交通網が不便であるため、余り重要ではない惑星となっている。惑星全体を統括する政府は存在しない。『親愛なるクローン』の舞台となる。

アトス

Athos

かつて宗教的な狂信者によって設立された、男性のみの農業中心の惑星である。全ての子供は培養された卵子を用いて人工子宮から生まれる。

マリラック

Marilac

一時はセタガンダに侵略占領されていたが、『無限の境界』でのマイルズの活躍などもあって独立を果たしている。

ヴァーベイン

Vervain

セタガンダに侵略されそうになったが、『ヴォル・ゲーム』でのマイルズの助けによりこれを退けた。


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