レナード・ローズ 教育活動

レナード・ローズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/29 15:23 UTC 版)

教育活動

1946年からジュリアード音楽院の教授を務めた[7]。教育実績を認められて、ローズはハートフォード大学の名誉博士の称号を得ている[4]

弟子たちはアメリカに限らず、世界中のオーケストラで活躍しており、ローズ自身もまずはオーケストラ団員となることを弟子に勧めた[4][7]。なお、指揮者のエーリヒ・ラインスドルフは、ボストン交響楽団の優秀なチェログループの半分はローズの弟子であると述べている[4]リン・ハレルヨーヨー・マ、岩崎洸のようにソリストとして活躍した弟子もいるが[7][19][20]、特にアイザック・スターンから紹介された9歳のヨーヨー・マについてローズは「史上最高のテクニックの持ち主」と絶賛しており、11歳ごろにはもうすでに最も難しい練習曲を与えていた[21][22]

ローズの弟子の1人であるスティーヴン・ケイツは、ローズの教育姿勢について以下のように語っている[7][19]

ローズのトレーニングは明らかにサモンドの伝統を受け継いだものでした。徹底していました。彼が大変関心を持っていたのは楽器を扱う上での巧みさ、音色、表現、叙情性でした。彼が学生に求めようとしたのは、演奏の中で或る種の叙情性をはっきりさせるということでした。音の質と音楽作りのレベルに絶えず注意を払っていなければなりませんでした。
彼はレッスンで弾いてみせてくれるのが大好きで、弟子たちに自分と同じ音楽的信念を持ってもらいたいと思っていました。そして仕上げを必要とする彼の弟子たちにはそれがたくさんあったので、彼らが彼の演奏の型に合わせていくのは避けられないことでした。彼が成功したこととは弟子たちがこの美しくて自然なこの弾き方になっていったことです。すべて飾り気がなく率直な物事を愛しましたし、模倣はある時期には決定的に大事だと考えていたようです。

ローズはチェロの弓の持ち方について、ヴァイオリンのように小指をスティックの端につけるやり方ではいけないと考えており、「スティックは人差し指の第二関節より上に出てきてはいけない」「第一関節と第二関節の間が、引き始めるには良い場所だと思う」と指導していた[19]。またヴィブラートについては「指の柔らかいところを軸として、上の方からの腕は、ただ逆らわずに消極的に動いて、演奏されるべきだ」と述べている[19]。なお、ローズはヴァイオリンでもこのようなヴィブラートの掛け方をする奏者を好むと語っており、フリッツ・クライスラーはそのようなヴァイオリニストの1人であったとしている[19]

また、練習の重要性を強調しており、自身は演奏旅行中でも1日に5時間は練習したと語った[10]。また、最後の瞬間にひらめくインスピレーションに頼ることよりも、プラニングに全力を尽くすべきだと語った[10]


  1. ^ Find a grave
  2. ^ 死去の記事(The New York Times)
  3. ^ a b c d e f g ベッキ (1982)、237頁。
  4. ^ a b c d e f g ベッキ (1982)、238頁。
  5. ^ a b c キャンベル (1994)、207頁。
  6. ^ a b c d 音楽之友社編『名演奏家事典(下)』音楽之友社、1982年、1158頁。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l キャンベル (1994)、208頁。
  8. ^ キャンベル (1994)、163頁。
  9. ^ ライディング、ぺチェフスキー (2015)、463頁。
  10. ^ a b c キャンベル (1994)、210頁。
  11. ^ シリーズ「20世紀の巨匠たち」~スターン・トリオ Vol.4”. CLASSICA JAPAN. 2020年11月30日閲覧。
  12. ^ オストウォルド (2000)、9頁。
  13. ^ オストウォルド (2000)、159頁。
  14. ^ フリードリック (2002)、156頁。
  15. ^ a b スターン、ポトク (2011)、237頁。
  16. ^ スターン、ポトク (2011)、304頁。
  17. ^ a b スターン、ポトク (2011)、239頁。
  18. ^ a b スターン、ポトク (2011)、240頁。
  19. ^ a b c d e キャンベル (1994)、209頁。
  20. ^ キャンベル (1994)、282頁。
  21. ^ マ (2000)、132頁。
  22. ^ スターン、ポトク (2011)、231頁。
  23. ^ キャンベル (1994)、170頁。
  24. ^ a b キャンベル (1994)、171頁。
  25. ^ スターン、ポトク (2011)、236頁。






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