ビースト (X-メン) 経歴

ビースト (X-メン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/26 09:39 UTC 版)

経歴

ヘンリー・フィリップ・マッコイはアメリカのイリノイ州Dunfeeで生まれた。父親はノートン・マッコイ、母親はエドナ・マッコイ。彼の父はハンクが生まれる以前に地元の原子力発電所に務めており、いちど酷く放射線に晒されており、どうやらそれが息子のミューテーションの原因になったようだ。ハンクは生まれつき優れた思考力と人間にしては並外れて大きな手足を持っていた。実際、彼の肉体のプロポーションはゴリラのそれと似ており、後に語られたストーリーでは彼の学校でのあだ名は『Magilla Gorilla』であった。

X-メン参加

ヘンリーのミューテーションは青年期にさしかかって完全にハッキリしたものとなり、さらなる力と俊敏さを得て学校に留まっていたわずかな期間、運動競技では優れた成績を収めるようになった。しかし、間もなく同級生や非ミュータントから敵愾心を強める事になった。避難所を求めるうちに、チャールズ・エグゼビア教授が彼に近づき、彼が運営する恵まれし子らの学園へと招いた。

ヘンリーは自分を受け入れてくれる施設へと向かう適時と考え、その申し出を了承した。彼はその学校が科学的知識の洗礼盤であると共に、安住の、そして後に彼自身がその地位を受け入れ、コードネーム・ビーストを授ける事になる『X-メン』へと繋がる場所である事を理解した。

デンジャールームでトレーニングに励みながら、彼はエグゼビアの指導の下、微分方程式からプルーストに至るまでさまざまな科目を学んでいく。

X-メン脱退後

ハンクは20歳の誕生日を迎えて間もなく、自分がもはや『strangest teens of all』の一人ではないと主張してX-メンを去った。『Amazing Adventures』(vol. 2) #11では彼は有名企業で遺伝子学研究施設で研究者になっていた。彼のアシスタントのリンダ・ドナルドソンは間もなく彼のガールフレンドとなった。ハンクは誰もが一時的にミュータントになれる『hormonal extract』を分離した。自分の研究を盗もうとする企てを挫こうとする際に、自分自身にも外見を変える為に使用したが、長く待ちすぎた為にプロセスを逆行させる事ができず、永久的に変身したままになってしまった。彼には体中に灰色の(後に青くなった)毛皮が生え、尖った耳、長い犬歯、爪、クモのように壁や天井を走る能力、優れた五感、加速された自己治癒力、コントロールが難しい野性的な側面を獲得する事になった。マスターマインドに記憶を抹消されてからしばらくの間ブラザーフッド・オブ・イーヴィル・ミュータンツに加わっていたが、すぐに回復した。ブランド社の研究所に戻ると、彼はガールフレンドのリンダ・ドナルドソンは共産主義者から送り込まれたスパイである事、胸の張り裂ける様な思いをしながらもその対決が避けられないものだという事を知った。

アベンジャーズ参加

この変貌から間もなく、彼はアベンジャーズから誘いを受けてその一員となり、以降長らくチームに残る事になる。そこで彼はワンダーマンと親しい友人となった。彼は『ダーク・フェニックス・サーガ』など時折必要に応じてX-メンにいる友人達の元に戻っていた。彼はその度にアベンジャーズに戻っていたが、最終的にチームが新たなメンバーを招き入れられるように(当時定員を6名と定めていた。)去る事にした。

ディフェンダーズ参加

彼は次にディフェンダーズに参加し、最初の解散時に最後まで生き残ったメンバーの一人となった。ディフェンダーズを生き残った彼とエンジェル、アイスマンは直後にサイクロップスとジーン・グレイから接触を受け、新たなグループ『X-ファクター』を結成した。

X-ファクター参加

X-ファクターとは、ビーストは毛皮に覆われた姿で始動したが、2番めのミッションでは、ビーストはカール・マードックスに捕獲され、その息子から言葉を奪ったミュータント化を取り除く方法を開発する試みに利用された。彼は血清を開発し、ビーストでそれを試した。X-ファクターはその瞬間に到着し、ハンクを救い出したが、血清が注入された後だった。顔を覆う包帯が剥がされると、彼が青い毛皮を失ってしまった事が明らかとなった。これはX−ファクターを普通の人間であり(実際には捉えたミュータントを助けていたが)仕事を必要としているミュータントハンターに見せかけるのに役立った。自分達の力が必要と見ると、彼等は新たなコスチュームをかつてのX-メンのコスチュームに似せたものにして、自らをX−ターミネーターズ(exterminator、つまりは害虫駆除業者)と呼び裏切り者であるかのように振る舞った。ビーストは再び普通の人間の顔に戻ってからかつて使っていたようなマスクを身につける事にした。

エンジェルが翼を失い、失踪した後、最終的にXファクターは古代のミュータントであるアポカリプスと激突した。アポカリプスはエンジェルをフォー・ホースメンで最もパワフルなデスに変えた。戦いの最中、ビーストは触れたものを凄まじい痛みを与えウイルスに感染させるホースメン・ペスティレンスに触れられた。その戦いは最終的に勝利し、アポカリプスは宇宙船を残して退却する。しかし、この勝利でエンジェルから人間性が奪われ、ビーストはペスティレンスから感染させられてしまった。感染はマディックスの血清治療と相互作用を起こし、彼を殺さずに、超人的な力を振るう度に知能が奪われてしまうようになった。ハンクの体調は何週間も悪化の一途をたどり、次第に言語能力を失っていった。彼はレポーターのトリッシュ・ティルビーに彼女がその情報をTVに使うつもりだとは気付かずにペラペラと喋ってしまった。トリッシュはハンクの状況を鑑みて、さきごろのX−ファクターの戦いをレポートする際に彼の名前を出さず、ただ単に『英雄的にニューヨークを守り抜き知能を失ってしまった者』とした。ビーストは彼女がその情報をすっかり使ってしまった事に未だに傷ついているが、彼女は彼に好意を持っている事を悟らせる事ができた。

X-ファクターは最終的に活動を終了し、ヒーローとして喝采を浴び、彼等はコスチュームをかつてのX−ターミネーターのコスチュームに似たものに変えた。ハンクの精神が子供なみになったころ、アイスマンにキスをしようとしていたインフェクティアというミュータントを取り押さえた。インフェクティアには触れたものの分子構造を操作し、突然変異を起こした『怪物』を生み出す能力を持っていた。彼女がビーストにキスをしたとき、彼は自制心を失い、通常の状態と毛皮に覆われた状態の二つを行ったり来たりしはじめた。最終的に、彼は毛皮に包まれた外見に落ち着いて、知能を保ち、かつてない強さを身につける事となった。サイクロップスの妻・マデリーン・プライヤーが地球と地獄の出入り口を開いたままにする為に自分自身とサイクロップスの息子ネイサンを犠牲にしようとした『インフェルノ』というイベントが起こった時、事態は再び激化する。彼女は自分がミスター・シニスターに造られたジーン・グレイのクローンである事を知り、心を失いはじめてからこれを企てたのだった。彼女は最終的にはシニスターが彼女は彼が真に求めるもの、つまりはアポカリプスさえも屈服させえるネイサンを生み出す為の繁殖牝馬以上の何者でもない事を告げられて、自ら死を選んだ。X-ファクターは子供を育てるため、そして平和が取り戻す為にX-Factor is left to raise the child and once again peace is restored for the most part.

そのほんの数ヶ月後、アポカリプスはこの裏切りを知り、ネイサンを探し出し殺そうとし、再び危機にさらされた。ビーストと他のX-ファクターはインフェルノ事件の初期にそうしたようにX-メンや他のスーパーヒーローたちとチームを組み、アポカリプスと月面で戦った。彼自身は殺されたが、彼はどうにかしてその幼子にテクノオーガニックウイルスを感染させた。未来から訪れたアスカニと名乗る女性にネイサンを治療をする事ができ、その未来で救済者になるだろうと告げられた時、サイクロップスには連れていかせるという選択肢しか残されていなかった。Xファクターの活動の終了に向けて、彼等はミューア・アイランド・サーガでシャドウキングと戦う事になった。最終決戦でエグゼビア教授は再び身体障害者になり、結果として、X−ファクターの面々をX-メンに戻らせることになった。

X-メンへの帰還

ビーストの最も偉大な挑戦の一つはストライフが残した破壊的なテクノウイルスの研究である。ハンクは30歳を超え、自らの人生の業績に疑問を訂し、すっかり落胆していた。彼の葛藤はエグゼビア教授とモイラ・マクタガートがレガシーウイルスの研究の手助けを自分に求めなかった事によって更に募ったが、エグゼビアは単に彼に自分の生活を与えようとしていたことが明らかになった。データを詳しく調べながら、彼は問題が当初想像していたより更に難しい事を知った。ハンクは常に、時間さえあれば、自分はどんな問題でも解けると信じており、レガシーウイルスは彼の頭脳にこびりついて離れないものとなった。彼はシニスターにウイルスの情報を与えるというこの上なく非倫理的な決断を下した。彼には決断力があったが、自分自身を抑える為のモラルを欠いていた。

ターニングポイントはダークビーストが時としてしばらくの間閉じ込められ、入れ替えられていたハンクからより多くの情報を引き出しながら伝統的な手法のいくつかを終えた時に訪れた。解決に向けて(ビーストが個人的に治癒方法を見つけた時以外では)もっとも決定的な段階はDr.モイラ・マクタガートがミスティークの無責任なウイルス鎖の操作によって治療法を見つけたときである。これはいまだ不完全であり、ビーストは治療薬のデザインに専念した。モイラのノートに基づいて、ビーストはアンチウイルスを調合し上機嫌となったが、その報いは間もなく重々しい鐘の音として払われることになった。治療薬の公開の為にコロッサスが自らの命を犠牲にしなければならなかったのである。

X-トリーム・X-メン

チームメイトを失った悲しみに暮れて、ハンクはしばらくの間ストームと彼女が率いるエクストリームチームとともに学園を離れ、デスティニィの日記の探索に乗り出した。ヴァルガスに攻撃を受けサイロックが死に、ビーストは酷く傷つき学園に帰還した。

Beast's return

世界にミュータントのベビーブームが起こった頃、ミュータントコミュニティの多くがしばしば付加的、あるいは拡張的な能力を得るセカンドミューテーションを経験したようだ。激しい攻撃を受けて、ビーストのセカンドミューテーションはチームメイトのセイジの能力によってジャンプスタートさせられた。さらなるミューテーションはビーストに猫の様な体格を発達させ、最初のうち適応するのに手間取らせた。殺戮者カサンドラ・ノヴァのサイキック攻撃はビーストに屈辱を味わわせて、(身体を操られた彼の友人のビークに)酷く打ち負かされ、自分の新たな形態は単に連続的な退化の1段階に過ぎないのではないかという可能性につきまとわれるようになる。加えて、形態の変化はメディアで獣性を非難されて、長く付き合っていたガールフレンドのトリッシュ・ティルビーとの破局をもたらした。時を経て、ビーストはエマ・フロストと強い友情を築き、ある事件の折りに彼女を励ます為に花を贈った事がある。彼は彼女のダイアモンドフォームが粉々にされたことを知り、彼女を元に戻すのに時間を費やした。ジーン・グレイの決定的なジョルトによって、フロストは生き返る事ができた。

ビーストはその後、自分と同じ様な猫の様な特徴を持つ女性ミュータントらしきものを見つける。これは彼に希望をもたらしたが、猫の様な見た目の女性ミュータントではなく、人間の様な見た目を持つ猫のミュータントである事が分かった。どちらにせよ、その生き物の寿命は限られており、ビーストは彼女がX-マンションに残り落ち着ける場所で静かに過ごせるように取りはからった。

ミューテーションを「治」す『キュア』のニュースが突如として伝えられた時、ビーストは自分が真剣に再び人間の外見を取り戻す為にそれを服用することを考えている事を知った。ハンクは最終的にチームメイトのウルヴァリンに力強く「もしX-メンがキュアを服用すれば他のミュータントにネガティブなメッセージが伝わる事になるだろう」と「説得」されてそれを服用しない事に決めた。キュアが仲間の遺伝子学者Kavita Raoが(X-メンのコロッサスのように)ミュータントの死体を用いた実験を通して開発されたものだという事が分かると、ビーストはラオの作戦を挫こうとした。ヴィランのヘルファイアクラブがX-メンを攻撃した時、カサンドラ・ノバはテレパシーでビーストの高度な人間的な意識を取り去って動物的な本能だけを残した。ウルヴァリンをキャンパスで捕え(あまつさえ彼の足を食べて)、ブラインドフォールドという名の生徒は彼に自分とエグゼビアが彼が意識を失ってしまった場合に備えて造っておいた装置をもって立ち向かった。装置は紐をボール状にした形状の強力な感覚刺激剤とでも言うべきものであり、ビーストは遠回しに最大の脅威であるといっていた。回復すると、彼は素早くスーツとタイを着込み、ハイパーマグネティックデバイスを用いてウルヴァリンを救い出した。彼はチームメイトとともに、政府機関のS.W.O.R.D.によって連れ去られ、エイリアンのブレークワールドに空輸された。

マーベルのヒーロー達を二分したシビル・ウォー事件の最中、ビーストと他のX-メンは中立の姿勢をとった。しかし、ビーストは取り立ててその政策に好意的であるわけではなく、自らの正体を明かしたスパイダーマンがミッドタウンハイスクールで教職を続けられるようにホログラフィックによる変装装置を提供して、密かに自らのスタンスに違反している。スーパーヒューマン登録法に対する個人的な感情はさておき、ビーストは戦後のイニシアチブプログラム(次世代のスーパーヒーローのトレーニングを援助する。)の協力者の名簿に名を連ねている。[1]彼のイニシアチブにおける新たな役職がX-メン及びエグゼビアの学園双方への義務に影響を与えるものなのかは現在では不明である。

エンデンジャード・スピーシーズ

X-メンや他のミュータント達は交通事故で無くなったランドルーという名のミュータントの少年の葬儀に参列し、この事が持つミュータントという種への意味について熟考した。ビーストはM-デイを無効にする方法を模索する事を計画した。彼の研究は不首尾に終わった。

ワールド・ウォー・ハルク

センチネルが飛び立った時ビーストはニューX-メンとトレーニングに励んでいた。ビーストは何が起きているのかを知ろうとし、テレビに映るハルクを見つけた。その時、ハルクはマンションに到着した。ビーストは外で活動していた他のチームに救難信号を送った。ビーストはニューX-メンに戦わなくてはならなくなるかもしれないと告げ、彼等は同意を示した。ビーストはエグゼビアとの面会を要求するハルクに会いにいった。ビーストは彼にエグゼビアを攻撃するつもりなら会わせるわけにはいかないと言った。その時ニューX-メンはハルクを攻撃し身動きを封じた。ビーストはエリクサーをハルクに近づけ、彼の力をハルクに使えるようにした。ビーストはハルクに対していくつかの攻撃する試みをしたが、ハルクには通じなかった。彼はハルクに強打されそうになったがアストニッシングX-メンが到着しプロフェッサーXはマンションから駆けつけ、ハルクの心に入り込もうとした。チャールズは彼らに彼が見た事を見せ、ビーストはショックを受けハルクに謝罪した。[2]

二号ではビーストは再びチームメイトと共にハルクと戦闘している。戦いの中でノックアウトされた彼はエリクサーに治療されたが、さらに多くのX−チームが戦いを援護する為に駆けつけた。

メサイア・コンプレックス

X-メンがX-遺伝子をもつ子供を追跡している時、ビーストはプロフェッサーXがセレブラを治すのを手伝っている。




  1. ^ Ronald Byrd, Anthony Flamini (w), Various (p), Various (i). "The Initiative" Civil War: Battle Damage Report #1 (2007年), Marvel Comics
  2. ^ Mondo Marvel Panel Live! From LA”. Newsarama. 2007年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年3月18日閲覧。
  3. ^ X-Treme X-Men #2-#4
  4. ^ Mutant X #23
  5. ^ Ultimate X-Men #45
  6. ^ Ultimate X-Men #81
  7. ^ Ultimate X-Men #85
  8. ^ X-Men Fairy Tales #1
  9. ^ [1]





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