ウィリアム・キャヴェンディッシュ=スコット=ベンティンク (第5代ポートランド公爵) 子供

ウィリアム・キャヴェンディッシュ=スコット=ベンティンク (第5代ポートランド公爵)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/07 06:55 UTC 版)

子供

人嫌いのジョン・ベンティンクだったが、子供の可能性がある人が3人いる。

ファニーは1855年に父ジョージ・アシュブリーと母ハンナ・ビーダルの女児として出生が届けられ、ジョージ・ローソンと結婚してファニー・ローソンとなった。ファニーは1908年になって、自分がジョン・ベンティンク公爵の非嫡出子だと主張した[6]。ファニーには多くの子孫がいるため、ファニーが実子であったとするなら公爵にも子孫が多いことになる[7]

その他、2人の息子、ウィリアム(1852年頃 – 1870年)とジョセフがいたと思われる証拠がある。

ジョン・ベンティンクの親族は、ジョン・ベンティンクは若いころの事故のため子供を作ることができないだろうと話していたと言われるが、現代の医学的見解では事故の結果としての不妊は「ありえない」とされている[8]

遺品

ノッティンガム大学の「写本と特殊コレクション」は、歴代ポートランド公爵に関するものを「ポートランド(ウェルベック)コレクション」と呼んで管理している。ジョン・ベンティンク公爵に関する者は「Pw K」として分類されている。この中には、ジョン・ベンティンク公爵の不動産事業や、後述する「ドルース事件」に関する文書がある。収集物の展示はジョン・ベンティンク公爵のガス工場を改装した博物館で行われている。

ドルース事件

ジョン・ベンティンク公爵死後の1897年、アンナ・マリア・ドルースという女性が、ジョン・ベンティンク公爵が、自分の死んだ夫の父と同一人物だと主張した。アンナの主張によれば、ジョン・ベンティンク公爵は、ロンドンの椅子張り職人だった夫の父トーマス・チャールズ・ドルースと同一人物だった。つまり、公爵は二重生活を送っていたのであり、トーマス・チャールズ・ドルースは1864年に死んだのではなく、公爵が自分の分身トーマスの死を偽装して二重生活を終えたとのことだった。そして、ジョン・ベンティンク公爵の遺産は、現在相続している公爵のいとこのものでは無く、公爵の孫である自分の息子が相続すべきだと主張した。アンナは義父トーマスの死が偽装であることを証明するため墓を掘り返して確かめるべきだとする訴訟を起こしたが、法定相続人だった義父トーマスの長男ハーバートに拒絶された[9]。アンナは1903年に精神病院に収容された[10][11]。アンナは主張を認められないまま、1903年に死去した。[10][12]

アンナの義父トーマス・チャールズ・ドルースには前妻がいて、その孫ジョージ・ホランビー・ドルースがオーストラリアに住んでいた。ジョージは、自分の祖父がジョン・ベンティンク公爵である可能性があるとの話を知り、アンナの死後アンナに代わって訴訟を起こすことにした。ジョージは1905年に訴訟を進めるための会社を興し、出資すれば遺産相続後に莫大な配当金を配ると発表した。1907年にはトーマス・チャールズ・ドルースの相続人であるハーバートを偽証罪で告発した。そして、1907年12月30日に裁判所の命令で墓が掘り起こされたが、棺に遺体が入っていることが判明し、同一人物説が完全に否定された。[10][13]

大衆文化

  • 1933年のオースティン・フリーマンの犯罪小説ジョン・イヴリン・ソーンダイクシリーズの「プラチナ物語」はドルース事件を参考にしている。
  • 1984年の井上ひさしの犯罪ドキュメント「犯罪調書」の「ドルース=ポートランド株式会社事件」でドルース事件について詳しく述べられている。[14]
  • 1995年のビル・ブライソンの旅行記「ビル・ブライソンのイギリス見て歩き」のウェルベック・アビーの節にジョン・ベンティンク公爵について詳しく述べられている。
  • 1996年の桐生操の「イギリス怖くて不思議なお話」のエピソード「キャヴェンディッシュ卿」には、第5代ポートランド公爵の話、及びドルース事件の話が書かれている。[15]
  • 1997年のミック・ジャクソン英語版の小説「地下室の男英語版」はドルース事件を小説にしたもので、ブッカー賞の最終候補作品となった。
  • 2014年のインドの作家ピウ・イートウェル英語版による「死んだ公爵、その秘密の妻、そして消えた死体」で、ドルース事件が詳しく述べられている。

  1. ^ a b "Obituary". The Times (英語). 8 December 1879. p. 8.
  2. ^ a b c "Family and Estate Collections introduction" (英語). University of Nottingham. 2022年2月5日閲覧
  3. ^ "62 Royal West India Rangers settled in New Brunswick" (英語). 2009年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年10月19日閲覧. Retrieved 5 May 2012.
  4. ^ This and other tunnels are shown on the Ordnance Survey Explorer map of the area, though only the largest can be readily seen on aerial photographs (Multimap).
  5. ^ Wainwright, Oliver (9 November 2012). "Billionaires' basements: the luxury bunkers making holes in London streets". The Guardian (英語). 2013年7月15日閲覧
  6. ^ Ashbury, Gordon. "Ashbury Genealogy - Fanny ASHBERY". 2022年1月23日閲覧
  7. ^ Eatwell, Piu Marie (2014). The Dead Duke, His Secret Wife and the Missing Corpse: An extraordinary Edwardian case of deception and intrigue (英語). Liveright Publishing Corporation. pp. 268–299. ISBN 978-1-63149-123-8
  8. ^ Eatwell, Piu Marie (2014). The Dead Duke, His Secret Wife and the Missing Corpse: An extraordinary Edwardian case of deception and intrigue (英語). Liveright Publishing Corporation. pp. 283–284. ISBN 978-1-63149-123-8
  9. ^ The Druce Case”. University of Nottingham. 2022年2月5日閲覧。
  10. ^ a b c Masters, Brian (2001). The dukes: the origins, ennoblement and history of twenty-six families (英語). Random House. pp. 166–168. ISBN 0-7126-6724-5
  11. ^ Glinert, Ed (2004). The London compendium: a street-by-street exploration of the hidden metropolis (英語). Penguin. ISBN 0-14-101213-7
  12. ^ Ed Glinert (2004). The London compendium: a street-by-street exploration of the hidden metropolis (英語). Penguin. ISBN 0-14-101213-7
  13. ^ "DRUCE COFFIN HOLDS A BODY, NOT LEAD" (PDF). The New York Times (英語). 31 December 1907.
  14. ^ 井上ひさし(日本語) 『犯罪調書』中央公論新社、2020年、59-70頁。ISBN 978-4122069329 
  15. ^ 桐生操(日本語) 『イギリス怖くて不思議なお話』PHP研究所、1996年。ISBN 978-4569540603 





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