アルマ・カルリン
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悲惨な最後
1930年代前半には、ヨーロッパおよび他の/より広い範囲で、カルリンは作家として大きな成功を収めた。しかし、その後は彼女が悲惨な最後を迎えるまで暗い年月が続いた。彼女は熱心な反戦、反全体主義の運動家であった。特に、人権侵害と個人の自由の制限には相違はないと考えており、全体主義全盛期の20世紀という時代において、確固たる決意とともに思いのままに公の場で行った人道主義を主張する演説や活動によって、彼女は大きな代償を払うこととなった。個人の資産、資金源、書類を失い、社会から追放され、想像を絶する貧困の中亡くなったのだ[21]。
アルマ・M・カルリンは、非常に若くして人生設計を始め、その後は毅然としてその道を歩んだ。その壮絶な人生を通して、彼女は存在し得る全ての境界、つまり身体的制約、性別、属していた社会的地位、形成されたナショナル・アイデンティティ、物理的な距離、および時代精神の境界を超越した。それゆえに、現代でも彼女の思想は時代を超えて、古びることなく鮮明に残っており、多くの人々に対して語りかけ、ますます彼らを奮い立たせている[22]。
脚注
- ^ 1914年、かの有名な王立技芸協会およびロンドン商工会議所によってロンドンで行われた英語、フランス語、イタリア語、スペイン語、デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語、およびロシア語の試験において大変優秀な成績を修めた。
- ^ 両親は共にスロヴェニア人であったものの、出身地ツェリェは当時オーストリア・ハンガリー帝国の一部であり、そこでオーストリア人としての教育を受けた。そのため、母国語はドイツ語であり、スロヴェニア語の運用能力は限定的である。
- ^ Barbara Trnovec, The endless journey of Alma M. Karlin: Life, work, legacy, Celje Regional Museum, Celje and Ljubljana University press, Faculty of Arts, Ljubljana, 2020, (以下 The endless journey of Alma M. Karlin), p. 9.
- ^ Alma M. Karlin, Sama: Iz otroštva in mladosti. In lingua, Celje 2010 (以下 Sama), p. 307.
- ^ Sama, p. 306.
- ^ Alma M. Karlin, Samotno potovanje: Tragedija ženske. Celjska Mohorjeva družba, Celje 2007 (以下 Samotno), p. 11.
- ^ アルマ・M・カルリンは8年間の旅の間、植物の水彩画を描いていた。彼女が描いた水彩画は、技術面で高い評価を専門家から得ている。しかし、水彩画の重要性を一際高めているのは、こうした芸術的な側面ではなく、描かれた土地や日付といった情報が全ての水彩画に記されているという点である。現在、これらの水彩画によって、彼女が旅で訪れた場所や日付に関して非常に正確な記録を辿ることができる(The endless journey of Alma M. Karlin, 58-60)。とはいえ、訪れた場所や日付をカルリンが旅行記の中に記すことは滅多になかったことや、たとえ記録されていたとしても、それは彼女が訪れた土地の数と比較すれば非常に限られたものであったこと、さらに現在は使用されていない植民地時代の名称を、時には誤った表記で記録することもあったことなどを考えると、現在彼女の旅の記録を辿ることができるのは当然のことではないと言える。
- ^ Sama, p. 169.
- ^ Samotno, p. 225.
- ^ Ibid., p. 243.
- ^ Ibid., p. 233.
- ^ Ibid., p. 233.
- ^ Ibid., p. 269.
- ^ Ibid., p. 311.
- ^ Karlin, Alma M. Urok Južnega morja: tragedija neke žene. Celje: Celjska Mohorjeva družba, 1996 (以下 Urok), p. 366.
- ^ Ibid., p. 380-383.
- ^ Ibid., p. 382.
- ^ Karlin, Alma M. »Aus Land und Stadt.« Cillier Zeitung, 第53巻, 第2号, 5. 1. 1928, p. 2.
- ^ Urok, p. 383.
- ^ Schreiber, Heinrich. Chronik des Kirchspiels Brunshaupten. Bund II. Neobjavljen rokopis. Kühlungsborn Pfarrhaus, 1934, p. 168.
- ^ Barbara Trnovec (režija in scenarij), Ali se spomnite Alme in Thee? (Pokrajinski muzej Celje, 2021)
- ^ The endless journey of Alma M. Karlin, p. 9.
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