窓関数とは? わかりやすく解説

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窓関数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/07 06:45 UTC 版)

窓関数 まどかんすう: window functionはある有限区間)以外で0となる関数である[1] まど: windowとも。

概要

窓関数はある有限区間以外で0となる関数である[1](⇒ #定義)。窓は関数や信号に掛け合わせて適用されることが主であり、これにより関数の有限区間のみを切り出す(⇒ #窓掛け)。様々な数学的変換のなかに登場し(⇒ #利用)、応用数学工学への応用範囲も広い(⇒ #応用)。窓関数の性能はその周波数スペクトルを用いて議論されることが多く(⇒ #性能)、目的に応じた様々な性能の窓関数が提唱されている(⇒ #例)。

定義

実数

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(2025年2月)
窓関数スペクトルの特性

窓関数

矩形窓

矩形窓 くけいまど: rectangular window 方形窓 ほうけいまどとも。

単に有限長のデータを用意しただけのとき、暗黙のうちにこの窓関数を使っている。理論上、周波数分解能は最も良い。一方で

ガウス窓

Gauss window。ガウシアン窓 (Gaussian window) とも。

ガウス関数のフーリエ変換は再びガウス関数になる(フーリエ変換の固有関数である)。ガウス関数は無限に広がるため、実用上必要な長さまでで計算を打ち切る必要がある。無限に広がる窓関数を不連続に打ち切った場合、矩形窓を掛けた事になり、通過帯域と阻止帯域にリップルが発生し、サイドローブも大きく上昇する。主に、ガボール変換 (Gabor transform)や連続ウェーブレット変換で使われる。

  • ハン窓

    ハン窓 ハンまど: hann window[注釈 6] フォンハン窓 フォンハンまど: von Hann window: raised cosine window[要出典] 2乗余弦窓[要出典] とも。

    ユリウス・フォン・ハン英語版が考案した。 最もよく使われる窓関数の一つ[要出典] 。ハン窓及び後述のハミング窓は、後の研究で後述する一つの関数族「一般化ハミング窓("raised cosine" または "generalized Hamming" 窓)」に分類されたため、ハン(Han)とハミング(Hamming)両名の名前から合成された「ハニング窓(hanning window)」という呼び方でハン窓を指す場合もある。

    • ハミング窓

      ハミング窓 ハミングまど: hamming window[注釈 7]

      ハン窓の改良版として、リチャード・ハミングが考案した。 最もよく使われる窓関数の一つ[要出典] 。ハン窓より周波数分解能が良く、ダイナミック・レンジが狭い。区間の両端で不連続なのが特徴。

      • ブラックマン窓

        ブラックマン窓 ブラックマンまど: Blackman window

        ラルフ・ブラックマンが考案した。 最もよく使われる窓関数の一つ[要出典] 。ハン窓/ハミング窓より、周波数分解能が悪く、ダイナミック・レンジが広い。

        • カイザー窓、
          カイザー窓、
          バートレット窓

          Bartlett window。三角窓 (triangular window) とも。

          教科書には必ず出てくるが、実際に使うことは少ない。

          • バートレット‐ハン窓

            Bartlett‐Hann window。修正バートレット‐ハン窓 (modified Bartlett‐Hann window) とも。

            バートレット窓とハン窓の線形混合。異なる比率のものを使うこともある。

            • ナットール窓

              ナットール窓 ナットールまど: Nuttall window

              • ブラックマン‐ハリス窓

                Blackman‐Harris window。

                • ブラックマン‐ナットール窓

                  ブラックマン‐ナットール窓 ブラックマン‐ナットールまど: Blackman‐Nuttall window

                  • フラット・トップ窓

                    フラット・トップ窓 フラット・トップまど: flat top window

                    スペクトルのメインローブの頂部が平らであることから、こう呼ぶ。別の式で表される窓関数を「フラット・トップ窓」と呼ぶことがある。

パルザン窓

Parzen window。

ガウス窓の区分3次関数による近似。

赤池窓

Akaike window。

ウェルチ窓

Welch window。

MDCT窓関数

MDCT(修正離散コサイン変換)の前処理に使う。 MDCTでの変数定義の慣習にしたがい、離散化には、 のデータ数を とした式

を用いることが多い。

サイン窓

サイン窓 サインまど: sine window。半波余弦窓 (half cycle sine window) とも。 MP3など多くのフォーマットが使用。

Vorbis窓

Vorbis窓 ヴォルビスまど: Vorbis windowVorbisが使用。

カイザー‐ベッセル派生窓

Kaiser‐Bessel derived window。KBD窓 (KBD window) とも。

AC3AACが使用。

フィルタとして使う窓関数

ランツォシュ窓

Lanczos window。ランツォシュ・フィルタとも[注釈 8][注釈 9]

整数パラメタ を持つ。 の値によって、 次ランツォシュ窓、ランツォシュ 窓などと呼ぶ。

データのデシメーション(画像縮小など)の前処理に、LPF(低域通過フィルタ)として使われる。

ただし、 は正規化sinc関数

Sinc窓

窓と言いつつ、無限長の台を持つ(つまり原点からどこまで離れても関数値が0にならない)関数である。無限回の計算が必要なため直接的な実装を考えた場合は実用的ではない。一方でフィルタの基礎理論としては重要で、近似的な窓であるランツォシュ窓などが考案され画像の拡大縮小などに広く活用されている。

Sinc窓はBrick-wall filtersとなる。

脚注

注釈

  1. リークとは、パワースペクトルのピークが隣のビンに広がる現象のこと。(スペクトル解析の追加”. LeCroy. p. 12. 2012年8月19日閲覧。
  2. Princen-Bradley condition
  3. MDCT窓、プリンセン‐ブラッドリー窓とも
  4. 例: 音響信号処理全般(中心時間 の前後で音量をフェードアウトさせるという音楽的ニュアンス)
  5. 1 2 3 4 5 非ゼロの区間端点は打ち切り(非連続性に0)
  6. hannは人名由来だが慣習的に小文字で書く
  7. hammingは人名だが、慣習的に小文字で書く
  8. 発音記号は[ˈlaːnt͡soʃ]となっているため、カナ表記としては「ラーンツォシュ」「ランツォシュ」が近いが、発音しやすさの観点から「ランチョシュ」「ランチョス」などとも表記される。
  9. Lanczosの発音については「現在のハンガリー領出身のユダヤ系ハンガリー人」および「コルネリウス・ランチョス」も参照。

出典

  1. 1 2 3 4 窓関数 ある有限区間以外で0となる,通常正値をとる関数亀岡. (2014). 信号処理論第二 第5回. 東京大学.
  2. 信号の一部を取り出すような関数を窓として用いて,信号の局所的な情報を解析・処理する(矢田部 2021, p. 396)
  3. http://www.labbookpages.co.uk/audio/firWindowing.html
  4. Mastering Windows: Improving Reconstruction
  5. Earl G. Williams 著、吉川茂、西條献児 訳『フーリエ音響学』シュプリンガーフェアラーク東京、2005年、129頁。ISBN 4-431-71174-0

参考文献

関連項目

外部リンク




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