Experience Points
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/03 09:50 UTC 版)
eXperience Points(エクスペリエンス・ポインツ)は、プルーフ・オブ・ステーク (PoS) を採用する暗号通貨の一銘柄。コンピューターゲームにおいてみられる経験値に金銭的な価値を付与することを基礎的なアイデアとして始動した。
略称は XP(読み:エックス・ピー)。
2017年から2018年にかけて価格が大幅に高騰したが、その後は開発方針をめぐるコミュニティの分裂、複数回の通貨仕様変更(スワップ)、取り扱い取引所やステーキングサービスの相次ぐ閉鎖を経て、流通・取引環境は大きく縮小した。2019年11月のスワップにより PIVX 派生のコードベースへ移行し、発行上限は200億枚に設定され、マスターノードが導入された[1]。
2026年8月9日時点のXPの価格[2]は約0.001円である。
歴史
立ち上げと高騰
XPは2016年に運用を開始した。ゲームの実績や活動に対する報酬としてXPを付与するという構想を掲げ、コンピューターゲームのコミュニティを中心に支持を集めた。2017年から2018年にかけての暗号通貨市場全体の高騰局面で価格が大幅に上昇したが、その後の下落局面で価格はピーク比で大きく下落した。
XPChain(XPC)の分離
2018年5月28日、eXperience Pointsの運営方針をめぐる意見の相違を理由に、日本人および韓国人を中心とする多国籍の開発チームが、別プロジェクト「XPChain」(eXPerience Chain、ティッカーシンボル: XPC)の立ち上げを表明した。
XPChain側は、XPCがXPのフォークではなく、XPの開発・運営とは無関係な完全に独立したプロジェクトであると位置づけた。一方で既存のXP保有者に配慮し、QTウォレットおよびCCウォレットにXPを保有する者に対して、保有量と同量のXPCをエアドロップした。技術的な制約を理由に、取引所・XP-Bot・tip_XPchan・各種PoSプールに預けられていたXPはエアドロップの対象外とされた。
XPChainの主な仕様は、ベースが Bitcoin 0.16.0、アルゴリズムが SHA-256d の PoW + PoS(PoWはプレマイン期間のみ)、初期発行数1000億XPC(エアドロップ80%、財団ロックアップ20%)、ブロック生成間隔60秒であった。
この分離により、日本語圏のコミュニティの一部がXPCへ移行した。
CoinExchangeの閉鎖
XPの主要な取引の場のひとつであった暗号通貨取引所 CoinExchange.io は、2019年10月1日に閉鎖を発表した。同取引所は「必要な水準のセキュリティとサポートを提供するコストが収益を上回った」ことを理由として挙げ、純粋な商業的判断であるとした。取引および入金は2019年10月15日に停止され、出金の最終期限は2019年12月1日とされた。
CoinExchangeは小型アルトコインを幅広く取り扱う取引所であり、その閉鎖はXPを含む多数の小型銘柄から主要な流動性の場を奪う結果となった。閉鎖時期は後述するスワップの受付期間と重なっており、保有者は取引所からの出金とスワップ手続きを並行して行う必要があった。
2019年のスワップ
eXperience Pointsのスワップは、協定世界時2019年11月29日午前6時をもって終了した。運営はスワップの周知をDiscord、Telegram、Twitter、Blockfolioなどの複数チャネルで行ったとしており、受付期間終了後の救済は行わないとしている[1]。
運営が公表したスワップの目的は以下の通りである[1]。
- コインへの新機能追加。具体的にはBIP 38によるウォレット暗号化、即時トランザクション機能「SwiftX」、難易度調整アルゴリズム「Dark Gravity Wave 3」の導入。
- 保守体制の整った、多くの開発者に支持されるコードベースへの移行。
- コミュニティ向けにマスターノードを追加し、XPを得る手段を増やすこと。
- 発行上限を設定して際限のない価値希薄化を抑えること。
- ブロック報酬を比率制から固定値制へ変更し、インフレを制御すること。
スワップ比率は200:1であり、旧チェーンの200 XPが新チェーンの1 XPに交換された[1]。期間内に手続きを行わなかった保有者の旧チェーン上の残高は、新チェーンに引き継がれなかった。
Simple POS Poolの終了
Simple POS Pool(SPP)は、小型のPoS銘柄を対象に、共同でのステーキングおよびマスターノード運用を代行するサービスであり、XPも取り扱っていた。2019年のスワップに際しては、同サービスが預かっているXPについてスワップ手続きを代行し、利用者向けに受付期間を延長する対応を行っていた。
しかしその後、同サービスは複数回のハッキング被害を受け、機能の大部分が停止した。2021年以降は出金要求が処理されない状態が続き、利用者が預けたXPを含む資産を回収できない事例が報告された。同サービスはその後停止し、公式サイトのドメインは無関係の事業者に移っている。
XPは公式サイト上で、取引所やステーキングプールは自らが所有・管理するものではなく、利用は自己責任である旨を明示している。
Graviexの閉鎖
Graviex は2018年に開設されたマルタ拠点の暗号通貨取引所であり、小型アルトコインを幅広く取り扱っていた。XP/BTC市場を提供しており、eXperience Pointsの公式サイトでも取引所として案内されていた。
Graviexは2024年9月、取引活動の減少と財務上の困難を理由に閉鎖を発表し、利用者に対して2024年10月20日までに取引の完了と資金の出金を行うよう求めた。これによりXPは、CoinExchange(2019年)に続いて主要な取引の場をさらに失うこととなった。
技術仕様
2019年のスワップ後の主な仕様は以下の通りである[1]。
- コードベースは PIVX の派生。
- スワップ比率は200:1(旧チェーンの200 XPが新チェーンの1 XPに相当)。
- コンセンサスはプルーフ・オブ・ステークおよびマスターノード。プルーフ・オブ・ワークはローンチ時のみ使用され最初の300ブロックで終了し、301ブロック目からPoSへ移行した。
- マスターノードの担保は500,000 XP。
- 最大供給量は200億 XP。
- プレマインは4,003,000,001 XP。うち20億 XPはスワップおよびウェブウォレット・Lionbitの出口詐欺への対応に充てられ、実効的な財団プレマインは総供給量の10%。
- ブロック生成間隔は1分。
- 匿名性機能は実装されているが、Zerocoin実装の問題が解決されるまで有効化されない。
- コインのバーン(焼却)は行われない。取引手数料の配分はチェーンの存続期間を通じてステーク40%・マスターノード60%で固定。
ブロック報酬の推移
ブロック報酬は1,200 XPから始まり、段階的に400 XPまで減少する。ステークとマスターノードへの報酬配分は当初60%対40%で、段階的に25%対75%へ変化する[1]。
| ブロック報酬 | 開始ブロック | 終了ブロック | 期間(年) | ステーク比率 | マスターノード比率 | ステーク報酬 | マスターノード報酬 | 年間供給増加率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1,200 XP | 1 | 52,571 | 0.1 | 60% | 40% | 720 XP | 480 XP | 27.59%(1年目) |
| 1,100 XP | 52,572 | 210,251 | 0.3 | 58% | 42% | 638 XP | 462 XP | |
| 1,000 XP | 210,252 | 526,611 | 0.6 | 56% | 44% | 560 XP | 440 XP | |
| 900 XP | 526,612 | 1,051,211 | 1 | 54% | 46% | 486 XP | 414 XP | 15.64% |
| 800 XP | 1,051,212 | 2,628,011 | 3 | 49% | 51% | 392 XP | 408 XP | 11.54% |
| 700 XP | 2,628,012 | 4,204,811 | 3 | 46% | 54% | 322 XP | 378 XP | 8.03% |
| 600 XP | 4,204,812 | 6,307,211 | 4 | 42% | 58% | 252 XP | 348 XP | 5.50% |
| 500 XP | 6,307,212 | 8,935,211 | 5 | 38% | 62% | 190 XP | 310 XP | 3.75% |
| 400 XP | 8,935,212 | 30,769,911 | 43 | 25% | 75% | 100 XP | 300 XP | 1.83% |
2026年8月9日時点のブロック高は約3,539,700であり、上表の700 XPの段階(2,628,012〜4,204,811ブロック)にあたる。したがって現在のブロック報酬は700 XPで、その内訳はステークが322 XP(46%)、マスターノードが378 XP(54%)である。この段階に対応する年間供給増加率は8.03%とされている。
次の段階(600 XP)への移行は、残り約66万5千ブロック、すなわち2027年末ごろと見込まれる。
取引所
2026年8月9日時点で、XPを取り扱う取引所はStakeCubeのみである。StakeCubeでは独自トークンSCC(StakeCube Coin)が基軸通貨として用いられており、XP/SCC板のほかXP/BTC板も存在する。
脚注
外部リンク
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