第四紀
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/19 04:38 UTC 版)
| 累代 | 代 | 紀 | 世 | 期 | 基底年代 Mya[* 3] |
|---|---|---|---|---|---|
| 顕生代 | 新生代 | 第四紀 | 完新世 | メガラヤン | 0.0042 |
| ノースグリッピアン | 0.0082 | ||||
| グリーンランディアン | 0.0117 | ||||
| 更新世 | 後期更新世 | 0.129 | |||
| チバニアン | 0.774 | ||||
| カラブリアン | 1.8 | ||||
| ジェラシアン | 2.58 | ||||
| 新第三紀 | 鮮新世 | ピアセンジアン | 3.6 | ||
| ザンクリアン | 5.333 | ||||
| 中新世 | メッシニアン | 7.246 | |||
| トートニアン | 11.63 | ||||
| サーラバリアン | 13.82 | ||||
| ランギアン | 15.97 | ||||
| バーディガリアン | 20.44 | ||||
| アキタニアン | 23.03 | ||||
| 古第三紀 | 漸新世 | チャッティアン | 27.82 | ||
| ルペリアン | 33.9 | ||||
| 始新世 | プリアボニアン | 37.8 | |||
| バートニアン | 41.2 | ||||
| ルテシアン | 47.8 | ||||
| ヤプレシアン | 56 | ||||
| 暁新世 | サネティアン | 59.2 | |||
| セランディアン | 61.6 | ||||
| ダニアン | 66 | ||||
| 中生代 | 251.902 | ||||
| 古生代 | 541 | ||||
| 原生代 | 2500 | ||||
| 太古代[* 4] | 4000 | ||||
| 冥王代 | 4600 | ||||
第四紀(だいよんき[注釈 1]、Quaternary period)は、258万8000年前から現在までにあたる地質時代の一つ。更新世・完新世の2つの世に区分される。
他の地質時代が生物相の大幅な変化(特に大量絶滅)を境界として定られたのに対し、第四紀は人類の時代という意味で決められた[1][2]。したがって、古人類学の進展に伴い次々に古い原人が発見されるとともに第四紀の始まる年代も変化していった。現在ではヒト属の出現を基準とし、地質層序や気候変動を併用して決定している。
語源
かつて、地質時代を大きく3紀に分けた分類法に、さらに追加した4番目の時代、第四紀に由来している[1][2]。これらのうち第四紀のみ、現在も公式の名称となっている。
1829年、セーヌ川流域の堆積物を研究していたフランスの地質学者、ジュール・デノアイエが、パリ盆地で第三紀層に重なる海成の砂礫層に命名[3]。緩い地層から硬結が不十分な地層、あるいはセメントで固められた地層からなる、第三紀以降の様々な地層、即ち4番目に新しい地層を包括する用語として「第四紀」を用いることを提案した[4][5]。
範囲
「第四紀」は258.8万年前から現在を範囲とする。かつては181万年前を始まりとしていたが、2009年の改訂で変更された[6][7]。
地球史46億年のうちでは短期間であるが、地球史の現代にあたり、近未来に続いてゆく時期である[8]。その未来は、「人類紀」ともなぞらえられる[3]、第四紀における人類の影響力の大きさゆえ、人類の行動が全てを決めると言っても過言ではないだろう。
生物相
生物群は現生種との共通性が非常に高いが、更新世に繁栄した陸生動物には絶滅したものもある。北半球の高緯度地帯に生息したマンモスやケブカサイなどはその好例である。中緯度地方では寒冷気候下に生息するものと、温暖気候下に生息するものの両者が交互に現れ、気候の変動とともに広域にわたる生物の移動が行われたことがわかる。気候変化だけでなく、氷河の発達と縮小に起因する海退、海進は生物の分布に大きな影響を与えた[3]。
第四紀は人類の時代であり、「人類紀」とも呼ばれる。新第三紀はアウストラロピテクスが栄えたが、第四紀の約260万年前に入ると、アウストラロピテクスの歩んだ道とは別のホモ属が現れ、約150万年前にはアウストラロピテクスのほうは絶滅した[3]。人類は気候変化の激しい更新世を生き続け、進化して、熱帯から寒帯まで、ユーラシア大陸からアメリカ大陸・オセアニアまで分布範囲を広げ、完新世を迎えて世界各地で農業を開始し、人口が爆発的に増加し、文化を発展させた[9]が、一方で、そうした人間活動の増大は地球温暖化、環境破壊、生物多様性の喪失などの悪影響も招いた(後述の「第四紀#人類の繁栄と環境破壊」も参照)。
更新世末に大規模な絶滅が起こり、南極大陸を除いた全大陸に生息していたマンモス、メガテリウム、グリプトドンなどの大型動物が絶滅[10][11]。これら大型動物の絶滅は気候変動によって引き起こされたと考えられているが、人類による過剰な狩猟が招いたとする説もある[10]。実際、グリプトドンは甲羅を盾にするため[11]、マンモスは食料や建築資材にするため、狩り尽くされたと言われる[12]。どちらが主たる要因であるのか現在でも論争が続いている[10]。その他北米ではウマ、ラクダ、アメリカチーターなども人類に狩り尽くされ、絶滅している[13][14]。
気候
第四紀はいわゆる氷河時代であり、気候は第四紀以前の新第三紀に比較して寒冷である。北半球高緯度の地域に、大陸並の規模の氷河が分布している。寒冷化は一方的に進行したのではなく、寒冷化(氷期)と温暖化(間氷期)は交互に起こり、氷床や山岳氷河の拡大と縮小、世界的な海面の低下と上昇、生物分布域の移動などが繰り返し起きた(氷河時代の年表 § 第四紀の氷期/間氷期サイクルの命名体系も参照)。4万年周期の気候変動が卓越しており、振幅の大きい急激な気候の周期変化は、表面海水の温度の変動を導き、地球化学的には酸素同位体比の変動として記録される。寒冷化に伴って地球規模での乾燥化も促進され、世界各地に黄土などの特殊な陸成堆積物が分布している[3]。
人類の繁栄と環境破壊
完新世以降、人間活動は大規模化、地球環境や生態系への影響が増大した。文明社会が成立すると、まもなく無計画な森林伐採が行われ、そこに戦争による戦災も加わり、森林の荒廃を引き起こした[15][16][17]。また、大航海時代や近代化で、人類の活動範囲が広がると、航海中の食料目的の乱獲、開発の障害となる害獣として、過剰な駆除が行われるなどして、動物の大量絶滅を招いた。さらに18世紀後半以降の産業革命の進展、20世紀後半の高度経済成長で化石燃料や化石資源への依存が進み、公害や二酸化炭素の大量排出など、環境破壊が進んだ[18]。破壊的な人間活動は、温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)の大量排出による気候変動(地球温暖化など)、海洋汚染、熱帯雨林の破壊、生物多様性の喪失を招いている[19]。
乱開発や人間活動による気候変動(北極の海氷融解[20]、異常高温による山火事増加[21])、意図的な外来種移入、密漁・乱獲、森林破壊などによる生息地の減少[22]は生物多様性を危機に陥れ、4万4016種(2023年12月現在)が絶滅の危機に瀕している[21]。これは「完新世の大量絶滅[23]」「第6の大量絶滅」と呼ばれ、今回の大絶滅は過去5回発生した大量絶滅(ビッグファイブ)より、種の絶滅速度は速い[24]。過去の大量絶滅は隕石の衝突や氷河期などが引き金になっていたが、今回の原因は人類の繁栄による可能性が高いことが、大きな違いである[25]。
また、人類による温室効果ガスの大量排出で、世界平均気温は工業化以前と比較して、2001~20年の20年間で約0.99℃、2011~20年の10年間では約1.09℃上昇した。こうした気候変動は、異常気象(熱帯低気圧の凶暴化、猛暑など)や海面上昇(環境難民など)を通じ、他ならぬ人類自身をも危機に陥れている[26]。
これら人間活動による、過度な地球環境への影響の大きさを指し、オランダ人化学者、パウル・クルッツェンは完新世に続く地質時代として「人新世」を提唱している[19]。
新第三紀との併合問題
2004年の国際地質科学連合 (IUGS) において、第四紀を新第三紀に併合し新生代をPaleogeneとNeogene(新第三紀+第四紀)の2つに区分する提案がなされたが、同年の万国地質学会 (IGC) では批准されず、国際第四紀学連合 (INQUA) もこの提案に反対した。これを受けてIUGS内の国際層序委員会 (ICS) とINQUAのタスクフォースが設置され、結論として、
- 第四紀の存続
- 第四紀の始まりを260万年前とする
ことが提案された。これは2008年のIUGS大会で投票され、2009年6月に新しい定義が批准された[27]。 これにより、ジェラシアン階の基底の年代である2.588 Maが第四紀と新第三紀の境界と定められ、従前は新第三紀鮮新世に属していたジェラシアンが、第四紀更新世に属することになった。日本地質学会や日本第四紀学会や日本学術会議地球惑星科学委員会などは、これに準じて2010年に定義を改定している[6]。
脚注
注釈
- ↑ 一部の地学事典[どれ?] には「だいしき」と記述されているが、文部省『学術用語集 地学編』(日本学術振興会、1984年、ISBN 4-8181-8401-2、J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター)の表記は「Daiyonki」である。『学術用語集』編纂の経緯に鑑み、ここでは「だいよんき」とした。なお、日本第四紀学会公式サイトにおいて、「『だいよんき』と『だいしき』のどちらが正しいのか」との質問に対し、「『だいよんき』と『だいしき』のどちらが正しいということはありませんが、一般に広く用いられているのは前者です。日本第四紀学会の読み方としても「だいよんき」が使われます。」と回答している。
出典
- 1 2 “生命三十六億年(16) 古第三紀~ - 裏辺研究所(動植物・古生物研究所)”. www.uraken.net. 2026年3月3日閲覧。
- 1 2 “株式会社東開基礎コンサルタント | 一紀と二紀はどこへ行ったのか(1)地質年代について”. tokai-kiso.co.jp. 2026年3月3日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “第四紀”. コトバンク. DIGITALIO. 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “Quaternary” (英語). Ice Age Floods Institute (2022年6月29日). 2026年2月17日閲覧。
- ↑ “Jules Desnoyers | French geologist | Britannica” (英語). Encyclopedia Britannica 2026年2月17日閲覧。
- 1 2 『第四紀』p3-4「新しい第四紀像 第四紀の新定義のあらまし」
- ↑ 第四紀の地位と新しい定義の確立 2010年9月17日 (金) 16:57 (UTC)閲覧
- ↑ 町田洋「コラム3 第四紀とは?」/ 日本第四紀学会・町田洋・岩田修二・小野昭編著 『地球史が語る近未来の環境』 東京大学出版会 2007年 26ページ
- ↑ “第四紀とは”. quaternary.jp. 2026年2月25日閲覧。
- 1 2 3 “H06第四紀末大量絶滅―失われた巨獣たちの世界”. www.hitohaku.jp. 2026年2月25日閲覧。
- 1 2 ecotopia編集部 (2020年7月24日). “メガファウナとは?かつての巨大動物を絶滅させたのは人間か 1 ページ目”. エコトピア. 2026年2月25日閲覧。
- ↑ “マンモス展から 永久凍土を掘る<上>【連載】 | アルトネ”. artne.jp. 2026年2月25日閲覧。
- ↑ “マンモス、サーベルタイガー…人類の祖先が壁画に描いた巨大動物「メガファウナ」はなぜ大絶滅したのか ギガンテウスオオツノジカ、ホラアナライオン… (3ページ目)”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2022年7月8日). 2026年2月25日閲覧。
- ↑ ウマ類の絶滅 | 「みんなの乗馬」ブログ
- ↑ seigo (2021年12月21日). “【日本の林業の歴史を学ぶ】過去も未来も人は生きてる限り木と密接な関係です。 | 京都・京北の山林のことなら株式会社四辻”. 株式会社四辻. 2026年2月25日閲覧。
- ↑ “日本の森の歴史:2.日本人と森:森学ベーシック|私の森.jp 〜森と暮らしと心をつなぐ〜”. watashinomori.jp. 2026年2月25日閲覧。
- ↑ “西洋中世期における森の利用と保護への動き”. 中世ヨーロッパの道 (2026年2月3日). 2026年2月25日閲覧。
- ↑ 産業革命と環境・資源 - 南山大学
- 1 2 “人類の時代「人新世」で地球史上6度目の大量絶滅期が訪れる? | SDGsゼミリポート | サステイナブルな未来を多様な視点で探求する”. sdgs.waveltd.co.jp. 2026年2月25日閲覧。
- ↑ 「ホッキョクグマ、2100年までに絶滅の恐れ 気候変動で」『BBCニュース』。2026年2月25日閲覧。
- 1 2 WWFジャパン (2026年2月20日). “はじめての 『生物多様性』~今おさえておきたいポイントをわかりやすく簡単に解説”. WWFジャパン. 2026年2月25日閲覧。
- ↑ “野生生物が「壊滅的減少」 過去50年で3分の2が減る=WWF”. BBCニュース (2020年9月10日). 2026年3月6日閲覧。
- ↑ キーウィに関する天王寺動物園との保全繁殖共同研究
- ↑ 令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 -環境省-
- ↑ “【動画】人新世の建築学―ウイルス・微生物・里山と 稲本正 ✕ 落合俊也|シリーズ『学びあう森と人』第一回”. 住宅建築[隔月誌] (2023年6月21日). 2026年3月6日閲覧。
- ↑ “地球温暖化とは?地球温暖化の原因と予測”. JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター. 2026年2月25日閲覧。
- ↑ 『第四紀』p1「第四紀という時代」
参考文献
- Field Geology9『第四紀』,遠藤邦彦・小林哲夫/著,日本地質学会フィールドジオロジー刊行委員会/編,共立出版,2012,2015(初版第3刷),ISBN 978-4-320-04689-4
関連項目
外部リンク
- 日本第四紀学会
- International Union for Quaternary Research (INQUA)
- 地質系統・年代の日本語記述ガイドライン - 日本地質学会
- 国際年代層序表 (PDF) - 日本地質学会
- 地質年代表 - きまぐれ生物学 仲田崇志
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