MapQuest
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/07 15:55 UTC 版)
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| URL | www |
|---|---|
| タイプ | Webマップサービス、ルート検索 |
| 運営者 | System1 |
| 営利性 | 営利 |
| 登録 | 任意 |
| 開始 | 1996年2月5日 |
| 現在の状態 | 運営中 |
MapQuest(マップクエスト)は、アメリカ合衆国のWebマップサービスおよびルート検索サービスである。1996年2月5日にGeoSystems Global Corporationによって一般消費者向けのインタラクティブ地図サービスとして公開された[1][2]。住所や地点を検索し、地図上で目的地を表示する機能のほか、自動車による経路検索やターン・バイ・ターン方式の案内などを提供してきた。
MapQuestは一般消費者向けWeb地図サービスの初期から存在する代表的なサービスの一つで、Google マップが台頭する以前にはアメリカのオンライン地図市場で大きな利用者シェアを占めていた[3][2]。2000年にAmerica Online(AOL)に買収され、2015年にはAOLの買収に伴ってVerizon Communications傘下となった。2019年に広告技術企業System1へ売却され[4]、2026年現在もSystem1の製品事業の一つとして運営されている[5]。
歴史
前史とサービス開始
MapQuestの起源は、印刷会社R.R. Donnelley & Sonsが1967年に設けた地図製作部門にさかのぼる。同部門は当初、ガソリンスタンドなどで配布される道路地図を制作していた。その後ペンシルベニア州ランカスターへ拠点を移し、旅行・教育・出版分野向けの地図を手掛けた。1980年代後半にはコンピュータ向け地図アプリケーションの開発にも進出した[3][2]。
1994年、地図事業はR.R. Donnelleyから分離され、GeoSystems Global Corporationとして独立した。翌1995年にはインターネット向け地図サービスを開発するためデンバーに拠点を設けた[3]。
1996年2月5日、GeoSystemsはMapQuestを公開した[1]。当初の一般消費者向けサービスには、地図を拡大・縮小しながら閲覧できる「Interactive Atlas」、アメリカ国内の自動車経路を検索する「TripQuest」などが含まれていた[1]。後年の報道でもMapQuest.comの公開日は1996年2月5日とされている[2][3]。
上場とAOLによる買収
1999年、GeoSystems Global Corporationは社名をMapQuest.com, Inc.へ変更した[3]。同年5月4日にはNASDAQ市場で「MQST」の銘柄記号による株式取引が始まり、460万株が1株15ドルで公開された[6]。
1999年12月、America Online(AOL)はMapQuest.comを約11億ドル相当の株式交換で買収すると発表した[7]。買収は2000年に完了し、MapQuestはAOL傘下となった[2][3]。
2000年代前半から半ばにかけては、パソコン上の経路検索に加えて携帯端末向けサービスへの展開を進めた。「MapQuest Find Me」ではGPS対応携帯電話やBlackBerryなどから現在地を確認し、周辺施設や経路を検索したり、他の利用者と位置情報を共有したりすることができた[2]。
2005年9月時点では、オンライン地図サイトを利用したアメリカのインターネット利用者の71%がMapQuest.comを訪れていたとcomScore Media Metrixが報告しており、当時はオンライン地図市場の主要サービスであった[2]。2005年12月には月間訪問者数が約4100万人に達したと報じられている[3]。
2007年にはゼネラルモーターズの車載情報サービス「OnStar」と提携し、利用者がMapQuest上で作成した目的地や経路情報を車両に送信して、音声によるターン・バイ・ターン案内に利用できる「Web Destination Entry」を発表した[8]。
Google マップの台頭とサービス再編
2005年にGoogle マップが登場すると、オンライン地図サービス間の競争が激化した。MapQuestは2000年代半ばまで市場で優位を保っていたものの、Google マップは地図のドラッグ操作、検索サービスとの統合、衛星画像などの機能を拡充した[2]。Search Engine Landによれば、2009年にはGoogle マップがMapQuestを上回り、オンライン地図サイトの首位となった[4]。
2010年にはOpenStreetMapの地理データを利用する別サービス「MapQuest Open」の展開を開始した。OpenStreetMap Foundationのブログによると、MapQuestは2010年の「State of the Map」でOpenStreetMapへの対応を発表し、イギリス向けのopen.mapquest.co.ukを公開するとともに、オープンソース地図関連プロジェクトへ100万ドルを投資する基金を発表した[9]。これはMapQuestの主要サービス全体をOpenStreetMapへ置き換えるものではなく、OpenStreetMapデータを利用したサービスが別系統で提供されたものである。
2014年6月、MapQuestの親会社AOLとTomTomは複数年契約を締結し、MapQuest.comならびにiOS・Android向けアプリの中核的な地図データにTomTomのデータを利用すると発表した[10]。
2015年6月、Verizon CommunicationsがAOLを買収し、AOLはVerizonの完全子会社となったため、MapQuestもVerizon傘下に入った[11]。
OpenStreetMapを利用したMapQuest Openの提供はその後縮小され、2016年7月11日にはMapQuestが公開していた従来の地図タイルへの無料の直接アクセスが終了した。これによりMapQuestのタイルサーバーを利用していたGNOME Mapsなどの外部アプリケーションは代替サービスへの移行を迫られた[12]。
2019年10月、VerizonはMapQuestを広告技術企業System1へ売却した。売却額は公表されなかった[4]。2024年のSystem1の組織再編後、MapQuest事業は同社の製品事業を保有するS1 Media, LLCに含まれており、2026年現在もSystem1の連結事業として運営されている[5]。
サービス
MapQuestはWebブラウザおよびiOS、Android向けアプリを通じて地図・ナビゲーション機能を提供している。現在のモバイルアプリでは、現在の交通状況を考慮した経路検索や道順の表示などを利用でき、アカウントを作成せずに利用することもできる[13]。
一般利用者向けサービスとは別に、企業や開発者向けの「MapQuest Platform」も提供している。これには住所と緯度・経度を相互変換するジオコーディング、ルーティング、地点検索、交通情報、地図表示、各種APIおよびSDKなどが含まれる[14]。
地名表記をめぐる対応
2025年1月20日、ドナルド・トランプ大統領は大統領令により、アメリカ合衆国の連邦機関に対してメキシコ湾を「Gulf of America」と呼称するための措置を指示した[15]。これを受けてGoogleなどの地図サービスがアメリカ国内向け表示を変更するなか、MapQuestは利用者が湾の名称を自由に入力し、その名称を入れた地図画像を生成できる「Gulf of Something」を公開した[16]。
2026年8月27日には、トランプ大統領がアメリカの連邦機関に対しオンタリオ湖を「Lake America」と呼称するよう指示する大統領令を発出した[17]。MapQuestはこれに対してオンタリオ湖の表示名を変更しない方針を表明した。報道によれば、この対応が注目を集めたことでMapQuestアプリの利用が急増し、同年9月1日にはアメリカのApp Storeの無料アプリランキングで総合1位となった。MapQuest側は利用量が通常の約50倍に増えたとしている[18]。
関連項目
脚注
- 1 2 3 “GeoSystems Delivers MapQuest: The Premier Interactive Mapping Service for the Internet” (英語). GeoSystems Global Corporation (1996年2月5日). 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 “Competitors Nip at MapQuest's Biz”. WIRED (英語). Associated Press. 2005年11月27日. 2026年9月8日閲覧.
- 1 2 3 4 5 6 7 Prendergast, Alan (2006年2月2日). “Caught Mapping”. Westword (英語). 2026年9月8日閲覧.
- 1 2 3 Sterling, Greg (2019年10月4日). “A eulogy for Mapquest” (英語). Search Engine Land. 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 “System1, Inc. and Subsidiaries — Quarterly Report for the Quarter Ended March 31, 2026” (英語). アメリカ合衆国証券取引委員会 (2026年). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “Internet Stock List (I - Q)” (英語). InternetNews. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ Henry, Shannon (1999年12月22日). “AOL Says It Will Buy MapQuest Travel Site”. ワシントン・ポスト (英語). 2026年9月8日閲覧.
- ↑ Sterling, Greg (2007年4月25日). “MapQuest Partners With GM's OnStar For 'Send to Car' Directions” (英語). Search Engine Land. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ Weait, Richard (2010年7月10日). “MapQuest announce OpenStreetMap support.” (英語). OpenStreetMap Blog. OpenStreetMap Foundation. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “TomTom Powers MapQuest's Core Map Data with New Partnership” (PDF) (英語). TomTom (2014年6月19日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “Acquisition of AOL Inc.” (英語). アメリカ合衆国証券取引委員会 (2016年). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ Willis, Nathan (2016年7月27日). “GNOME Maps and the tile problem” (英語). LWN.net. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “Hello MapQuest” (英語). MapQuest. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “MapQuest Platform - Location Intelligence APIs & SDKs for Developers” (英語). MapQuest. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “Restoring Names That Honor American Greatness” (英語). The White House (2025年1月20日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “What mapping service lets users name the Gulf of Mexico whatever they want?” (英語). Government Technology (2025年2月21日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “Honoring the American History of the Great Lakes and Renaming Lake Ontario as Lake America” (英語). The White House (2026年8月27日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ Luscombe, Richard (2026年9月1日). “MapQuest app reaches No 1 on US Apple list after defying Trump’s Lake Ontario order”. ガーディアン (英語). 2026年9月8日閲覧.
外部リンク
- MapQuestのページへのリンク