K-RadCube
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/21 06:41 UTC 版)
| K-RadCube | |
|---|---|
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K-RadCubeの模型
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| 所属 | KASA |
| 国際標識番号 | 2026-069D |
| カタログ番号 | 68541 |
| 状態 | 計画中 |
| 目的 | ヴァン・アレン帯の放射線の測定 |
| 打上げ機 | SLS Block 1 |
| 打上げ日時 | 2026年4月(予定) |
| 物理的特長 | |
| 本体寸法 | 36×20×20 cm |
| 軌道要素 | |
| 周回対象 | 地球 |
| K-RAD | 放射線測定器 |
K-RadCubeはNASAのアルテミスIIミッションに相乗りする韓国宇宙航空庁 (KASA) と韓国天文研究院 (KASI) の12Uサイズのキューブサット。ヴァン・アレン帯の放射線を複数の高度で測定し、それが宇宙飛行士に与え得る影響について調査する。またサムスン電子、SKハイニックスがそれぞれ開発した半導体を宇宙で試験する。K-RadCubeは地球低軌道以遠を飛行する初の韓国製キューブサットである。
歴史
NASAはアルテミスIIに相乗りするキューブサットをアルテミス合意の署名国を対象に募集し、2024年2月に韓国からK-RadCubeのミッション提案が提出された。2024年5月にNASAはK-RadCubeを相乗りするキューブサットとして選定し[1]、2025年5月2日、KASAはNASAとアルテミスIIにおけるK-RadCubeの協力の実施取決めを締結した[2][3]。同年5月7日、KASIはK-RadCubeのペイロードの開発についてサムスン電子、SKハイニックスと合意を結んだ[4]。
K-RadCubeは2025年8月に完成し、ロケットへ格納するためにアメリカのケネディ宇宙センターへ輸送された[1]。K-RadCubeはアルテミスIIとともに東部夏時間の2026年4月1日に打ち上げられた。
機体
K-RadCubeは12Uサイズのキューブサットで、ロケットから分離した後にソーラーパネルとアンテナが展開される。K-RadCubeの衛星バスはNara Space Technology Inc.によって開発された[5]。K-RadCubeは宇宙飛行士と同じロケットで打ち上げられるため、NASAの有人宇宙飛行の厳しい安全基準に合致することが求められる[6]。そのためK-RadCubeの推進系は水を燃料とし、加熱して水蒸気を噴射することによる反動で軌道を変更する。またリチウムイオンバッテリーは爆発の危険性を抑えるため、物理的および電気的な安全遮断システムが三重に備わっている[7]。
衛星には放射線測定器K-RADが搭載されている。K-RADは線エネルギー付与と宇宙線の線量を測定し、地球-月間を飛行する際の宇宙線環境の分析や宇宙飛行士の放射線防護に関する研究のためのデータを取得する。放射線を測定するペイロードの開発はKASIが担当した[1]。また併せてK-RadCubeは韓国国内の企業が開発した半導体の放射線耐性を検証する。単に宇宙空間での動作を検証するに留まらず、K-RADが測定した線量データと組み合わせ、半導体の放射線への反応特性を精密に評価することを目指している[6]。サムスン電子は半導体K-RAD-SSを提供する。サムスン電子半導体研究所はこれにより、社内で開発中の次世代半導体が地球の高軌道の過酷な放射線環境でも問題なく動作するか検証することを目指している。SKハイニックスは半導体メモリK-RAD-SKを提供する。同社はKASIと連携し、K-RAD-SKに配置した温度センサーを用いて太陽の輻射熱と内部の熱伝導に対する半導体の動作特性を検証する[4]。
運用
K-RadCubeの管制、地上局の運用、衛星からのデータ取得はKT SAT社が担当する[8]。K-RadCubeからのデータ取得にはスペインのマスパロマスの地上局が利用され、衛星の追跡はチリのプンタ・アレーナス、アメリカのハワイ、シンガポールの各地上局で行われる[9]。
アルテミスIIに相乗りしているキューブサットはスペース・ローンチ・システムの2段目、ICPSが地球へ制御落下するための噴射を終えた後にロケットから分離される。アルテミスIIの4機のキューブサットの内、K-RadCubeの分離は一番最後に予定されている[10]。K-RadCubeは日本時間4月2日12時58分に高度4万キロメートルでロケットから無事に分離し、その直後に自動でソーラーパネルを展開したと考えられる[11][6]。14時30分にはマスパロマスで微弱な信号が受信された[11]。分離から約2時間後には姿勢制御の実施が予定されていた[6]。21時57分にはハワイで異常を示すテレメトリーが受信された。この時K-RadCubeの高度は6万8千キロメートルだった[11]。科学技術分野のニュースサイトHelloDD.comは観測データの取得には失敗したと報じている[12]。
ロケットからの分離直後の軌道は離心率が大きく、遠地点は7万キロメートルで近地点は0キロメートルの楕円軌道のため、迅速に地上局と通信を確立し、地球の大気圏へ落下しないよう正確な軌道変換を行う必要がある[11][6]。地上局との交信中にK-RadCubeは搭載する推進系を使って段階的に軌道変換を行う。最初は近地点を高度150km程度まで上げ、次に200km程度まで上げて目標とする最終的な軌道へ到達する。最初の28時間は科学的計測の実施を優先し、衛星及び搭載ペイロードの状態が良ければ追加で最長2週間ミッションが継続される[6]。
脚注
- 1 2 3 “아르테미스 2호에 탑재되는 우주방사선 측정 큐브위성(K-RadCube), 미국 나사(NASA) 이송”. 韓国天文研究院 (2025年8月12日). 2026年4月5日閲覧。
- ↑ “우주항공청(KASA)-미 항공우주청(NASA), 이행약정 체결” (朝鮮語). 韓国宇宙航空庁 (2025年5月2日). 2026年4月4日閲覧。
- ↑ “NASA Set to Fly South Korean CubeSat on Artemis II Test Flight” (英語). NASA (2025年5月2日). 2026年4月5日閲覧。
- 1 2 “아르테미스 2호에 탑재할 우주방사선 측정용 큐브위성(K-RadCube) 개발 위해 국내 기업 함께 한다”. 韓国天文研究院 (2025年5月9日). 2026年4月4日閲覧。
- ↑ “Driving Space Innovation - One Mission at a Time” (朝鮮語). Nara Space Technology Inc.. 2026年4月2日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “국내개발 큐브위성(K-RadCube), 아르테미스 2호 탑재...우주비행사와 함께 우주로!”. 韓国天文研究院 (2026年1月29日). 2026年4月2日閲覧。
- ↑ “반도체 실은 ‘K위성’도 함께 탔다… 극한 우주 환경서 안정성 등 시험” (朝鮮語). 東亜日報 (2025年4月3日). 2026年4月5日閲覧。
- ↑ “KT SAT, 美 아르테미스 연계 ‘K-RadCube’ 우주탐사 미션 참여” (朝鮮語). KT SAT (2026年2月2日). 2026年4月4日閲覧。
- ↑ “아르테미스 2호에 탑재된 국내개발 큐브위성 (K-RadCube), 발사 후 교신 시도 중”. 韓国宇宙航空庁 (2026年4月2日). 2026年4月3日閲覧。
- ↑ “SPACE LAUNCH SYSTEM REFERENCE GUIDE for ARTEMIS II” (英語). NASA (2026年1月). 2026年4月3日閲覧。
- 1 2 3 4 “아르테미스 2호에 탑재된 국내개발 큐브위성, 최장 거리 신호 수신 확인”. 韓国宇宙航空庁 (2026年4月3日). 2026年4月9日閲覧。
- ↑ “아르테미스 2호 탑재 韓 위성, 최장 거리 신호 수신···정상 교신은 실패” (朝鮮語). HelloDD (2026年4月3日). 2026年4月4日閲覧。
関連項目
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