Griffin Mission One
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/23 16:37 UTC 版)
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| Griffin Mission One | |
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Griffin-1の月面着陸後の想像図
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| 所属 | アストロボティック・テクノロジー |
| 主製造業者 | アストロボティック・テクノロジー |
| 公式ページ | GRIFFIN LANDER |
| 状態 | 計画 |
| 目的 | 月探査 |
| 観測対象 | 月 |
| 打上げ機 | ファルコンヘビー |
| 打上げ日時 | 2026年(予定) |
| 先代 | Peregrine Mission One |
| 搭載装置 | |
| NDL | LiDAR |
| LandCam-X | カメラ |
Griffin Mission One (Griffin-1、グリフィン1) は米国の民間企業アストロボティック・テクノロジーが計画中の月着陸ミッション。NASAは本ミッションをムーンベースIIと呼んでいる[1]。Griffin-1にはアストロボティック・テクノロジーの中型着陸機グリフィンが使用される。商業月面輸送サービス (CLPS) を通してNASAが民間企業へ発注したミッションの一つであり、NASAの観測装置などを載せて月の南極にあるムートン山に着陸する。NASA以外の荷物としてはアストロラブの月面車FLIPが搭載されるほか、アストロボティックが自社で開発した月面車CubeRover、欧州宇宙機関の航法用カメラLandCam-X[2]、日本旅行のタイムカプセルも運ばれる。
2026年6月現在、Griffin-1は2026年末の打ち上げが予定されている[3]。
概要
Griffin-1はアストロボティック・テクノロジーの月着陸ミッションで、NASAの観測装置を4つ搭載したアストロラブの月面車FLIPなどのペイロードを輸送する。Griffin-1は月の南極にあるノービルクレーターに隣接するムートン山に着陸する。ムートン山は地球のメサに似た形をしており、付近の他の地形より数10億年古いと推測されている[4]。なお2025年にはCLPSの月着陸機IM-2がムートン山に着陸した。
Griffin-1に先行して実施されたアストロボティック・テクノロジーのPeregrine Mission Oneは燃料漏れにより月に到達することができなかった。アストロボティック・テクノロジーはバルブの故障さえ無ければPeregrine Mission Oneは月着陸前までの運用はすべて行えたとしている。対策としてGriffin-1は異なる種類のバルブ2種類を使用しており、この両方が壊れない限り燃料漏れが発生しない設計となっている。またGriffin-1ではPeregrine Mission Oneよりもはるかに多くの地上試験が実施された[5]。
着陸機
Griffin-1ではアストロボティックの中型サイズの着陸機グリフィンが使用される。メインエンジンはFrontier Aerospace製のF500Eエンジン5基で、姿勢制御にはアジャイル・スペース・インダストリーズが製造する12基のエンジンを使用する[6]。燃料タンクにはComposite Overwrapped Pressure Vessel (COPV) という軽量かつ頑丈なタンクが4つ使われる[7]。
制御やテレメトリーに用いられるアビオニクスはアストロボティックが自社で設計したものが搭載される[7]。
航法誘導制御系
Griffin-1の航法誘導制御系 (GNC) には地形相対航法 (TRN) 、航法ドップラー・ライダー (NDL) 、LiDARによる障害物検知及び回避 (HDA) などが含まれており、着陸の際は自動着陸システムを使用する[8][5]。TRNではGriffin-1のコンピュータがカメラによって得られた地形の画像を地図データと照合することにより、現在位置を判断する。月面の上空数キロメートルまで降下したらNDLが使用される[5]。NDLはGriffin-1の降下中に月面との相対速度及び機体の進行方向を連測的に測定し、速度と高度の把握に寄与する。NDLはNASAラングレー研究所によって開発された[9]。着陸直前にはHDAを使用する。HDAのLiDARは最小15センチメートルの大きさの物体を検出することができ、回避すべき障害物を検知する。これにより最も安全な着陸地点を見定め、誘導コンピュータはその情報を元に進路の変更を行う[5]。
搭載ペイロード
科学観測用ペイロード
- FLEX Lunar Innovation Platform (FLIP)
アストロラブが開発した月面車で、500kgの重さがある[5]。
- BEACON (CubeRover)
アストロボティックが開発した小型の月面車。カナダのMission Control Space Services (MCSS) 社製のソフトウェアSpacefarerを搭載している[10]。
- レーザーリトロリフレクターアレイ (LRA)
NASAの商業月面輸送サービスのペイロードで、地球からレーザーを反射することで地球と月の距離を測定することができる。
- LandCam-X
欧州宇宙機関のLandCam-XはGriffin-1が着陸する際、月面の画像を取得する。撮影された画像は欧州で将来の月面着陸機向けに開発されている自動航法システムの画像処理アルゴリズムの地上試験に用いられる。LandCam-XはベルギーのOIP・センサー・システムズによって開発された[2][11]。
その他のペイロード
- Galactic Library Preserve Humanity (GLPH)
NanoFicheにより製造されたアーカイブで、月面の環境下で数百万年存続するよう設計されている。GLPHに保存されるデータには、芸術作品のLUNAR CODEX[12]、ロチェスター工科大学によるアポロ誘導コンピュータの歴史的文書や設計図、メレディス・ウィルソンによるミュージカル34丁目の奇跡も含まれる[13]。
- MOONBOX
アストロボティックによるペイロードで、写真、小説、科学的データなど、個人の思い出の品が世界中から集められ収納されている[14]。
- soratan(タイムカプセル)
日本旅行宇宙事業推進チームのマスコットキャラクター「そらたん」の形を模したプレート状のタイムカプセルで、Griffin-1のパネルの一つに取り付けられている[15][7]。表面に刻印されたQRコードを読み込むと、一般から募集したメッセージを閲覧することができる。2025年の同社の創業120周年記念プロジェクト「We are going to the moon!」として実施される[14][15]。
打ち上げまでの歴史
2020年6月、NASAは月面車VIPERを本ミッションに搭載することを発表したが、2024年7月に搭載を取りやめることが発表された[16][17]。その後2025年9月にNASAはVIPERをブルーオリジンの月着陸機に搭載することを発表した[18]。
2023年、Griffin-1の着陸地点がNASAのVIPERミッションによりムートン山と命名された[4]。なお2024年にVIPERがGriffin-1のペイロードから除外された後もGriffin-1の着陸地点は変更されなかった。
ミッションの流れ
Griffin-1は2026年7月以降にファルコンヘビーロケットによって打ち上げられる予定である。打ち上げ後、Griffin-1はペンシルベニア州ピッツバーグにあるアストロボティック・テクノロジーのミッションコントロールセンターから運用される[3]。月面着陸後、探査車のFLIPとCubeRoverが着陸機から展開される。
脚注
- ↑ “NASA Provides Update on Moon Base Rovers, Landers, Missions” (英語). NASA (2026年5月26日). 2026年6月21日閲覧。
- 1 2 “Griffin lander”. 欧州宇宙機関 (2022年9月23日). 2024年2月10日閲覧。
- 1 2 “Griffin-1 Lunar Lander Unveiled Ahead of Environmental Testing”. アストロボティック・テクノロジー (2026年6月15日). 2026年6月21日閲覧。
- 1 2 “Moon Mountain Name Honors NASA Mathematician Melba Mouton”. NASA (2023年2月15日). 2026年6月22日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “Astrobotic unveils Griffin-1 lunar lander”. SpaceNews (2026年6月16日). 2026年6月21日閲覧。
- ↑ “Astrobotic Selects Lander Engines & More for Griffin/VIPER Mission” (英語). アストロボティック・テクノロジー (2020年2月16日). 2024年3月12日閲覧。
- 1 2 3 “Griffin-1 Mission Update”. アストロボティック・テクノロジー (2025年10月24日). 2026年1月10日閲覧。
- ↑ “Griffin-1: Test Like You Fly!” (英語). アストロボティック・テクノロジー (2025年10月28日). 2026年6月22日閲覧。
- ↑ “NDL Integrated with Griffin-1” (英語). アストロボティック・テクノロジー (2026年4月30日). 2026年6月22日閲覧。
- ↑ “Astrobotic and Mission Control to partner on lunar rover mission” (英語). SpaceNews (2024年4月9日). 2024年4月16日閲覧。
- ↑ “Lunar Logistics Services and Astrobotic Awarded to Fly ESA Payload to the Moon” (英語). アストロボティック・テクノロジー (2022年9月22日). 2024年3月12日閲覧。
- ↑ “THE LUNAR CODEX” (英語). LUNAR CODEX. 2024年2月10日閲覧。
- ↑ “Astrobotic + Nanofiche Preserving Humanity’s Legacy on Griffin-1” (英語). アストロボティック・テクノロジー (2025年3月27日). 2025年9月28日閲覧。
- 1 2 “MANIFEST: WHAT'S ON BOARD”. アストロボティック・テクノロジー. 2026年6月21日閲覧。
- 1 2 “<日本旅行創業 120 周年記念事業>あなたのメッセージを月へ送ろう!『We are going to the moon!』宇宙事業で月を舞台にしたプロジェクトを実施”. 日本旅行 (2025年5月29日). 2025年9月28日閲覧。
- ↑ “NASA Selects Astrobotic to Fly Water-Hunting Rover to the Moon” (英語). NASA (2020年6月11日). 2025年9月28日閲覧。
- ↑ “NASA、月で氷の探査を目指していた「VIPER」ミッションの中止を発表”. sorae (2024年7月19日). 2024年7月19日閲覧。
- ↑ “月で氷を探査するNASAの「VIPER」ミッションが復活 ブルーオリジンの着陸船で月へ”. sorae (2025年9月24日). 2025年9月28日閲覧。
外部リンク
- Griffin_Mission_Oneのページへのリンク