1998 FS144
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/11 23:10 UTC 版)
| 1998 FS144 | |
|---|---|
| 仮符号・別名 | 1998 FS144 |
| 見かけの等級 (mv) | 22.6等級(発見時)[1] |
| 分類 | 太陽系外縁天体[2] キュビワノ族(hot)[3] |
| 発見 | |
| 発見日 | 1998年3月23日(初観測日)[1] |
| 発見者 | Heather McCurdy Miriam Gustafson George Peterson Stacey Hinds Angel Birchard Hughes Pack Tim Spuck Carl Pennypacker[4] |
| 発見場所 | セロ・トロロ汎米天文台[1] |
| 軌道要素と性質 元期:2025年11月21日(JD 2461000.5)[2] |
|
| 軌道長半径 (a) | 41.720 au[2] |
| 近日点距離 (q) | 40.717 au[2] |
| 遠日点距離 (Q) | 42.722 au[2] |
| 離心率 (e) | 0.0784[2] |
| 公転周期 (P) | 98425.905 日(269.475 年)[2] |
| 軌道傾斜角 (i) | 9.888°[2] |
| 近点引数 (ω) | 204.828°[2] |
| 昇交点黄経 (Ω) | 228.828°[2] |
| 平均近点角 (M) | 127.891°[2] |
| 前回近日点通過 | 1930年2月26日[2] |
| 物理的性質 | |
| 平均直径 | 213km[3] |
| スペクトル分類 | IR[3] |
| 絶対等級 (H) | 6.73[2] |
| アルベド(反射能) | 0.079[3] |
| 色指数 (B-R) | 1.53等級[3] |
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1998 FS144はアメリカの高校生らによって発見された、エッジワース・カイパーベルトに位置する太陽系外縁天体である。
発見経緯
1990年代初頭、カリフォルニア大学バークレー校・ローレンスバークレー国立研究所の天体物理学者、ガーソン・ゴールドハーバーは、当時同研究所が主導で行われていた超新星宇宙論計画(2011年のノーベル物理学賞受賞対象)の一環でチリのセロ・トロロ汎米天文台(CTIO)で行われていた口径4mのビクター・M・ブランコ望遠鏡による観測画像に多数の未発見小惑星が写っていることを指摘し、これを学生らの教育に活用できないかを提案した[5]。これを受けて国際教育プログラムであるハンズ・オン・ユニバース(HOU)に所属する教師たちが熱心にこれを発信し、1996年からブランコ望遠鏡が撮影した生データをインターネットで参加校に配布し小惑星探しを行う活動が行われた[6]。 この活動には日本からも東京大学教育学部附属中等教育学校、長野工業高等専門学校、巣鴨高等学校、加治木養護学校などが参加し、小惑星を発見し仮符号を取得している[6]。
アメリカマサチューセッツ州のノースフィールドマウントハーモン高校では同校の教師のHughes Packの指導の下6つの班に分かれてHOUでの捜索を行っており、1998年にそのうちの1つの班に所属する3人の高校生、Heather McCurdy、Miriam Gustafson、George Petersonが、ブランコ望遠鏡が同年3月23日から3月27日にかけて撮影した6枚の画像に写っている動きの遅い天体を発見した[7]。
これらの観測結果はペンシルベニア州のオイルシティー高校の教師ティム・スパックが指導する生徒のStacey Hinds、Angel Birchardによって位置のクロスチェックを受け、存在が確認された[8]。最終的な確認はHOUの創設者でカリフォルニア大学バークレー校・ローレンスバークレー国立研究所の天体物理学者カールトン・R・ペニーバッカーにより行われ、測定結果が小惑星センターのブライアン・マースデンに報告された[7]。 その後この発見は小惑星センターが発行する小惑星電子回報(MPEC)で1998年11月18日に公表され、仮符号1998 FS144が付与されるとともに、発見に携わった生徒・教師やHOUのスタッフが測定者としてクレジットされた[4]。小惑星帯の小惑星はこれまでもHOUで発見されてきたが、これほど遠方の天体を発見することはHOUにとっての長年の夢であったため、スタッフにも大きな衝撃を与えた[7]。
なお超新星宇宙論プロジェクトの観測が減っていったことと、アメリカ国立科学財団(NSF)がHOUへの資金援助を打ち切ったことによりこの捜索活動は下火になったが、その後2006年にハーディン・シモンズ大学のパトリック・ミラーとジェフ・デービスがブランコ望遠鏡画像からの小惑星捜索を再開したことを皮切りに、国際天文捜索コラボレーション(IASC)が誕生し多数のアマチュア・生徒学生が小惑星捜索に携わる潮流となっている[5]。
特徴
1992年に冥王星以来の太陽系外縁天体(15760) アルビオンが発見されてからわずか6年後になされた、全体でまだ73番目となる太陽系外縁天体の発見であった[8]。 1998年12月にはスペイン領カナリア諸島ラ・パルマ島のアイザック・ニュートン望遠鏡が追観測を行い、軌道精度が改良された[9]。その後は1999年から2001年にかけてハワイ島のマウナケア天文台群やアイザック・ニュートン望遠鏡で数回観測されて以降観測が途絶えていたが、アメリカ・アリゾナ州のローウェル天文台にあるローウェル・ディスカバリー望遠鏡で2013年と2022年に1夜ずつ観測されている[1]。
番号登録と名前
1998 FS144の軌道はまだ不確定性パラメーターが4と大きいため、この天体にはまだ小惑星番号が付与されておらず、公式の発見者は確定されていない[1]。
今後番号登録がされれば命名が可能となるが、その場合は国際天文学連合による命名細則にしたがって、各地のいずれかの創成神話に関連する名前が付けられる[10]。
関連項目
- 2011 HM102 - 市民科学プロジェクトで発見された海王星トロヤ群の天体
出典
- 1 2 3 4 5 “1998 FS144”. 小惑星センター. 2026年2月28日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 “JPL Small-Body Database Browser: (1998 FS144)”. ジェット推進研究所. 2026年2月28日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “List of known trans-Neptunian objects and Centaurs”. Wm. Robert Johnston (2026年1月19日). 2026年2月28日閲覧。
- 1 2 “MPEC 1998-W09 : 1998 FS144”. 小惑星センター (1998年11月18日). 2026年2月28日閲覧。
- 1 2 Patrick Miller; Robert Weryk; Richard Wainscoat; Jules Perret; Steve Hartung; Tomas Vorobjov et al. (2024-02-22). “The International Astronomical Search Collaboration (IASC)—Citizen Scientist System for Asteroid Discovery”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific, 136 (2): 4502. arXiv:1210.4549v2. doi:10.1088/1538-3873/ad11a0 2026年3月1日閲覧。.
- 1 2 “世界中の子どもたちと共同で行うエッジワース・カイパーベルト天体探し”. 日本天文学会 (2000年4月3日). 2026年2月28日閲覧。
- 1 2 3 Hughes Pack (1998年11月19日). “Massachusetts High School Students Discover New Asteroid”. カリフォルニア大学バークレー校. 2026年2月28日閲覧。
- 1 2 “High School Students Discover Distant Asteroid Using NSF Telescope and Education Program”. ASTRONET (1998年11月20日). 2026年2月28日閲覧。
- ↑ “MPEC 1998-Y08 : 1998 FS144”. 小惑星センター (1998年12月17日). 2026年2月28日閲覧。
- ↑ “RULES AND GUIDELINES FOR NAMING NON-COMETARY SMALL SOLAR-SYSTEM BODIES”. IAU WG Small Body Nomenclature (2025年2月22日). 2026年3月1日閲覧。
外部リンク
- AstDyS-2 1998 FS144
- 1998 FS144 - JPL Small-Body Database
- 1998 FS144のページへのリンク