ハイブリッド・山辰サイフォン排水装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/01/26 00:27 UTC 版)
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ハイブリッド・サイフォン排水装置 平成16年の中越地震。平成20年の岩手・宮城内陸地震により多くの箇所が地滑りなどの土砂災害が発生し、崩落した土砂により多くの天然ダムも出現した。国土交通省や自治体は、この天然ダムの水位が上昇し越流すると、土石流となって下流域に甚大な被害をもたらすことが予想された。
天然ダムに水中ポンプを何十本とそれを稼働する電気を発動発電機により発電して水位が上昇しないように懸命な努力が続けられた。必要な燃料としてヘリコプターで運搬された量は、毎日ドラム缶50本を越冬して運搬され続け消費されていった。
国土交通省では、その燃料消費量と毎日続ける作業量を勘案し、平成21年3月「大規模な河道閉塞(天然ダム)の危機管理に関する提言」がまとめられた。その中で「燃料消費の軽減が可能なサイフォン等大容量排水技術の開発・検討が必要」とされた。
本ハイブリッド・サイフォン排水装置はこの提言を受けて開発されたものであるが、最悪の場合を想定して電気が使用できなくても起動できるサイフォン排水装置であり、天然ダムに限らず一般土木工事、水替工、排砂作業、ため池の排水、小水力発電、灌漑にも利用できる排水装置である。
ハイブリッド・サイフォン排水装置の起動方法 ① 水中ポンプ又は、災害対策排水ポンプ車などの送水機能を利用してサイフォン排水ホースに備えられた「注水合流部材」の注水部に注水し、「注水合流部材」から下流側のサイフォン排水ホース内を”呼び水”で 満水にする。 ② 「注水合流部材」から下流側のサイフォン排水ホース内が満水状態になったら水中ポンプなど注水装置からの注水を停止する。 ③ 「注水合流部材」から下流側のサイフォン排水ホース内に満水状態となっている”呼び水”は、引き続き重力によりサイフォン排水ホース内を流下しようとする。 ④ ここで「注水合流部材」から上流側のサイフォン吸水ホース内は空気のままの状態であるが、この空気は「注水合流部材」から下流側のサイフォン排水ホース内の”呼び水”が下流側の吐き出し口へ流下しようと する際に、上流側の空気を引き込んで下流側へ移動させ、まるでストローでジュースを吸い込むように、上流側の貯水池(釜場)の水をサイフォン吸水ホース内へ吸い込みサイフォン排水ホース内を流下させる こととなる。 ⑤ 上流側の「貯水池又は釜場」と下流側の「吐出し口」の間に設置されたサイフォンホース内が吸水された水で満水状態に繋がることでハイブリッド・サイフォン装置は起動することとなる、 ⑥ サイフォンホース内に空気が流入しない限りサイフォン作用は停止することなく稼働し続ける。
「ハイブリッド・サイフォン排水装置」のハイブリッドな機能の最大のメリットは 「天然ダム」の排水作業を行う場合を想定して特長を説明する。
1. 燃費の比較として、従来からの「水中ポンプ」の稼働に必要な燃費を「1」とすると、「ハイブリッド・サイフォン排水装置」の燃費は「0.0007」の比率であり、「水中ポンプ排水工法:サイフォン排水工法 =1:0.0007」という大幅なコスト縮減と、地球資源の枯渇軽減に貢献できることである。1日に運搬したドラム缶50本に対して、わずか35㍑で済むこととなる。しかも、サイフォン作用が続いておれば あらためて「起動」作業をする必要はないので、35㍑も必要はない。
2. 従来のサイフォン管は1本のサイフォンを起動させた後は、流量調整用開閉装置によりその排水量を調節するだけの機能しかなかった。しかも、天然ダムの水位が上昇し揚程が7m以下になるまでサイフォン作用に よる排水作業ができないまま水位の変動を見つめるしかなかった。これに対して「ハイブリット・サイフォン排水装置」が「ハイブリッド」である機能の特長は、「サイフォン給水ホース」と「水中ポンプ」の2つ が常にサイフォン排水ホースに接続され「Yの字」状に構成されている点である。この構成により、天然ダムの水位が低く揚程が7mより大きな場合は水位の上昇を待たずに「水中ポンプ」の機能により、サイフォ ン排水ホースを使用して強制的に排水作業を行うことができることである。
3. 「水中ポンプ」で強制的に排水しても天然ダムの水位が上昇し、揚程が7m以内になった場合は、サイフォン機能の排水に切り替えることとなる。この切り替え作業は「水中ポンプ」の電源をOFFにすることで、 自動的にサイフォン排水に切り替えることができるという機能としてのメリットもある。
4. また、水中ポンプを使用して排水作業を行なっても天然ダムの水位が上昇してくる場合、通常であれば水中ポンプの設置台数を増やす必要があるが、サイフォン排水装置の場合は揚程が水位の上昇に伴い小さくなる につれてサイフォン排水量が増量するため、例えばφ200㎜の排水ホース延長=100mを使用して、揚程3m、水頭差が10mの場合には水中ポンプの場合約4.0/minに対して、サイフォン排水量は約8.0/min と約2倍の排水量になって、サイフォン排水管の本数を増設しなくても水位の上昇を防ぐことができる可能性がある。
この「ハイブリッド・サイフォン排水装置」は、「平成24年度 建設施工と建設機械シンポジウム」において審査員特別賞を受賞した特許装置及び特許工法である。
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