SEVENTH HEAVEN (BUCK-TICKのアルバム) 音楽性とテーマ

SEVENTH HEAVEN (BUCK-TICKのアルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/05 09:41 UTC 版)

音楽性とテーマ

恋愛感情の純粋な気持ちが、あまりにも純粋すぎて2人とも死に至ってしまうという。ハッキリ言えば<心中>っていうのが最初に浮かんだんだけどね。
櫻井敦司,
B-PASS 1988年7月号[14]
ただ単純な、すぐ口ずさめるような、そういうメロディは納得いかないんですよ。好きじゃないっていうか。難しい事をやっていても、それがスンナリ聴けるのがいいと思っているから。そういう自分の中のこだわりに、たとえば東洋の要素が加えられてたりするんじゃないかな。特別なことをしようと思って作る、特別なメロディではないです。
今井寿,
B-PASS 1988年7月号[15]

本作の制作時に、櫻井と今井は偶然にも「HEAVEN」という言葉を作詞の際に両者とも使用していたことから、「天国」というテーマが定められることとなった[14]。本作のタイトルの由来は、今井の友人が刺青を入れる際に「クモ」の絵か「SEVENTH HEAVEN」という文字を入れるかで悩んでおり、結果としてその友人は「クモ」の絵を入れることになったが、その際に友人から7つの天国の話を聞かされたことが切っ掛けであると述べている[14]。収録曲の「SEVENTH HEAVEN」に関して今井は、曲自体は前から存在していたが本作ではアレンジを変えて作詞をして制作したと述べ、本作のテーマとなる「SEVENTH HEAVEN」という言葉が主に作詞面に影響したと述べている[14]。また、曲制作時に詞のイメージが明確にある場合は今井自身が作詞を手掛け、イメージが浮かばない時は櫻井に作詞を委ねているとも述べている[16]。さらに今井はメロディだけで聴いた者の感情をコントロールできるのではないかと考えたと述べたほか、1枚目のアルバム『HURRY UP MODE』(1987年)の副題であった「殺シノ調ベ」という言葉を常に意識したために、メロディの起伏が激しい曲が多くなったとも述べている[15]。さらに今井は後に本作の評価として、「できあがっただけいいかな」という感想を述べたほか、全体的にテンポが速すぎるとして「アルバム全体がセカセカしてる感じ」であるとも述べている[7]

櫻井は今井から7つの天国の話を聞き、自身は7番目の天国には行けず2、3番目の天国ならどうにか行けるのではないかと述べている[14]。また、櫻井は「天国」というテーマが決定した時に、最初に浮かんだイメージは「心中」であったとも述べている[14]。本作で初収録となった星野英彦による制作曲「DESPERATE GIRL」は、櫻井によって「ジルバで踊ろうZE」という仮題が付けられた[15]。星野は同曲をキャンペーンで行った滞在先のホテルで制作しており、それまではギターのフレーズは浮かんでも1曲にまとまらなかったが、同曲は最後まで問題なく制作することが出来たと述べている[15]

本作の音楽性に関して、書籍『BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 史上最強のROCK BAND』では、本作から本格的に櫻井が作詞を手掛け始めたことや今井はポップな作品を目指していたものの櫻井がダークな方向性を望んだために多面的な作品になったことに触れた上で、「バンドのオリジナリディが固まる契機となった一枚」と記されている[17]。書籍『B-T DATA』では、「…IN HEAVEN…」や「PHYSICAL NEUROSE」、「SEVENTH HEAVEN」などの当時のバンドの勢いを感じさせるスピード感のある曲のほかに、「VICTIMS OF LOVE」のような「ひたすら妖しくダークなトーンの曲」があると指摘した上で、「彼らのもつ両極の要素がすでに表出している」と記されているほか、「櫻井の作詞が増えたことで、独自の世界観が少しずつ確立していくようになる」とも記されている[18]


  1. ^ a b c d e f g HYP NO.3 1990.
  2. ^ BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, p. 25- 「BUCK-TICKの26年間の足跡ストーリー1985-2011」より
  3. ^ a b LOVE ME 1989, p. 70- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  4. ^ LOVE ME 1989, p. 74- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  5. ^ LOVE ME 1989, pp. 74–75- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  6. ^ LOVE ME 1989, p. 77- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  7. ^ a b SHAPELESS 1994, p. 117- 「今井寿 SOUND」より
  8. ^ a b c LOVE ME 1989, p. 75- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  9. ^ LOVE ME 1989, p. 76- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  10. ^ a b ヤガミトール 2018, p. 133- 「三.BUCK-TICK」より
  11. ^ a b c ヤガミトール 2018, p. 126- 「三.BUCK-TICK」より
  12. ^ 市川哲史 1992.
  13. ^ ヤガミトール 2018, p. 134 - 135- 「三.BUCK-TICK」より
  14. ^ a b c d e f WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 69.
  15. ^ a b c d WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 70.
  16. ^ WORDS BY BUCK-TICK 2002, pp. 69–70.
  17. ^ BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, p. 90- 「File7 BUCK-TICK REVIEW〜オリジナルアルバムレビュー&全作品アーカイブ 1986-2011」より
  18. ^ B-T DATA 2013, pp. 162–163- 「DISCOGRAPHY 1986-2013」より
  19. ^ a b [BUCK-TICK] 全国ツアー&初期作品が紙ジャケ化”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2007年7月1日). 2022年2月5日閲覧。
  20. ^ BUCK-TICK、ニュー・アルバム&紙ジャケ12タイトルが発売!”. CDジャーナル. 音楽出版 (2007年7月12日). 2022年2月5日閲覧。
  21. ^ a b c d B-T DATA 2013, p. 133- 「oral biography KEY PERSON INTERVIEW サカグチケン GRAPHIC DESIGNER」より
  22. ^ BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, pp. 26–27- 「BUCK-TICKの26年間の足跡ストーリー1985-2011」より
  23. ^ a b LOVE ME 1989, p. 78- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  24. ^ a b c WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 4.
  25. ^ a b c d WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 5.
  26. ^ WORDS BY BUCK-TICK 2002, pp. 4–5.
  27. ^ BUCK-TICKのアルバム売上ランキング”. オリコンニュース. オリコン. 2022年2月27日閲覧。
  28. ^ 「BUCK-TICK」のアルバム人気ランキングTOP25! 1位は「狂った太陽」に決定!【2022年最新投票結果】”. ねとらぼ調査隊. アイティメディア (2022年2月9日). 2022年2月23日閲覧。
  29. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 72.
  30. ^ ヤガミトール 2018, p. 134- 「三.BUCK-TICK」より
  31. ^ a b c d e f g h i Oral History 2006.
  32. ^ a b ヤガミトール 2018, pp. 134–135- 「三.BUCK-TICK」より
  33. ^ BUCK-TICK、トリビュート・アルバムの詳細が明らかに”. CDジャーナル. 音楽出版 (2005年11月30日). 2022年3月21日閲覧。
  34. ^ 別冊カドカワ 2018, p. 26- 帆苅智之「PERSONAL INTERVIEW 変化と進化の座標 櫻井敦司」より





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「SEVENTH HEAVEN (BUCK-TICKのアルバム)」の関連用語

SEVENTH HEAVEN (BUCK-TICKのアルバム)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



SEVENTH HEAVEN (BUCK-TICKのアルバム)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのSEVENTH HEAVEN (BUCK-TICKのアルバム) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS