通関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/18 04:10 UTC 版)
意義
通関制度は、貨物が国境を出入りする際、関税徴収を確実にし、また出入りを監視するために創設された制度である。
- 輸入の際の関税を確実に徴収する
- 輸出・輸入をしてはならない品物が国外に持ち出されたり、国内に持ち込まれたりするのを防ぐ
- 輸出・輸入の実態を正確に把握し、統計や経済政策に役立てる
また、これらを確実・円滑・効率的に行うため、日本の場合港湾や空港には、輸出前の貨物や外国から到着した貨物を手続が終了するまで一時保管する場所として、保税地域が設けられている。(なお、通関しないまま貨物を国内の工場などに持ち込みそこで通関する便宜のため、保税運送や国内加工のための保税工場などの特別な保税地域の制度も設けられている。)
輸出申告
貨物を輸出するときは、輸出者はその貨物を入れようとする保税地域を管轄する税関官署に対して輸出申告を行い、貨物に対し、必要な審査・検査を経て、許可を受けなければならない。2011年の改正[4]までは、申告前に保税地域に貨物を搬入する必要があったが、「貿易円滑化のための税関手続の改善[5]」により、申告時点では保税地域に搬入されていなくてもよくなった。ただし輸出の許可を得ると外国貨物になり、保税地域以外には置けないため許可になるまでに搬入する必要はある。
輸出申告の手続は、輸出しようとする貨物の品名、数量、価格などを記載した所定の様式の「輸出申告書」が必要である。
また、輸出の許可の判断のために必要があるときは、契約書、仕入書、運賃明細書、包装明細書、包装明細書、価格表、製造者若しくは売渡人の作成した仕出人との間の取引についての書類またはそれに代わる書類の提出を求められる[6]ことがあり、貨物の種類によっては、法令の規定により必要な書類(輸出許可・承認書、関税の軽減・免除・払い戻しに関連する書類、内国消費税の免税を受ける貨物については輸出を証明する申請書、その他)があればそれらも添付して税関官署に提出することによっておこなわれる。
2012年の改正[7]によりそれまで仕入書は「提出しなければならない」となっていたものを、税関長が必要と認めた場合に「提出させることができる」ことになった。
輸入申告
外国から到着した貨物を国内に引取る(輸入する)ときは、輸入者はその貨物を保税地域に搬入した後に、その保税地域を管轄する税関官署に対して輸入申告を行い、貨物に対し、必要な審査・検査を経て、関税、内国消費税等を納付して、許可を受けなければならない。
輸出申告の手続は、輸入しようとする貨物の品名、数量、価格、申告すべき関税等の額などを記載した所定の様式の「輸入(納税)申告書」が必要である。
輸入申告においては、関税法第67条に基づく輸入申告に合わせて関税法第7条に基づく関税の納付に関する申告を行う。また更に輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第6条に基づく消費税等の輸入時点で課される内国消費税の申告も合わせて行う。
また、輸入の許可の判断のために必要があるときは、契約書、仕入書、運賃明細書、包装明細書、包装明細書、価格表、製造者若しくは売渡人の作成した仕出人との間の取引についての書類またはそれに代わる書類の提出を求められる[6]ことがあり、貨物の種類によっては、法令の規定により必要な書類(輸入許可・承認書、特恵関税の適用を受けようとする場合は「特恵原産地証明書」、EPA関税の適用を受けようとする場合は「協定原産地証明書」又は「原産地申告書」、減免税の適用を受けようとする場合は「減免税明細書」、その他)があればそれらも添付して税関官署に提出することによっておこなわれる。
2012年の改正[7]によりそれまで仕入書は「提出しなければならない」となっていたものを「税関長が必要と認めた場合に提出させることができる」とされた。
- ^ 日本法は、基本行政手続きや法律事務を自ら行うことは制限していない。例えば税務申告における税理士、訴訟における弁護士も依頼する義務はなく、輸出入申告のこれらと同じである。
- ^ 通関業法第3条第1項
- ^ 通関業法第15条
- ^ 平成21年法律第7号
- ^ 関税定率法等の一部を改正する法律案要綱(2011年2月)
- ^ a b 関税法第68条、関税法施行令第60条
- ^ a b 平成22年法律第14号
- ^ 包括事前審査制度の廃止について(平成19年3月31日財関第419号)には「特定輸出申告制度の普及及び利用拡大」が記載されている。
- ^ 平成19年法律第20号
- ^ http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2010041102000046.html
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