前線 (気象) 前線強化過程

前線 (気象)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/31 05:11 UTC 版)

前線強化過程

時間の経過に従って水平温度傾度が急になるとき、前線強化過程(フロントゲネシス・フロントジェネシス、英語:frontgenesis)にあるという。

以下の図は典型的な前線強化過程を示すものである。図1の変形場で上下方向に線対称の空気粒子のペアを観察すると時間が経過するにつれて空気粒子の間隔は狭まる。もしこの図において等温線が横軸に対し少しでも水平である場合、温度傾度は急になる傾向にある。図2に示すような収束場の場合、対向する流線の粒子ペアの間隔は時間の経過につれて狭まる。故に、等温線が流線に一致する場合を除き、温度傾度は急になる傾向にある。

前線強化過程に対して、時間の経過に従って水平温度傾度が緩やかになるとき、前線消滅過程(フロントリシス、英語:frontlyses)にあるという。収束場では同等圧線上の任意の空気粒子のペアの間隔は時間の経過につれて狭まるのに対し、発散場では時間の経過に従って広くなる。低気圧では前線が明瞭であるが、高気圧で前線が認められないのはこの所為である。

前線の循環構造による分類

温暖前線や寒冷前線などは、循環構造によって、違った気流や雲のでき方になり、降雨のパターンも異なる。

一般的に、前線面で接する暖気と寒気が共に下降傾向にあるものをカタ前線といい、鉛直循環が弱いため層状の雲が広がり、雨も弱い。

前線面で接する空気の一方あるいは両方が上昇傾向にあるものをアナ前線といい、鉛直循環が強いため対流雲が広がり、雨も強い。

カタはカタバティック(滑降風)、アナはアナバティック(滑昇風)に由来する。中間的な性質を持つ前線も多い。アナ型の寒冷前線の前方にはカタ型の温暖前線、カタ方の寒冷前線の前方にはアナ型の温暖前線があることが多い。

また、カタ型の寒冷前線の場合は次のような現象が起こることがある。カタ型の寒冷前線では、下層よりも中層や上層の風のほうが強く、寒冷前線を追い越して前方に、寒冷前線に沿う北向きの暖かく湿った気流(warm conveyor belt、WCB)が存在する。一方、寒冷前線から東向きに乾燥した気流が流れており、これがWCBの上に乗り上げる。そこで寒冷前線の東側上空に、上空寒冷前線という前線が発生する。本来の寒冷前線と分裂(split)した上空寒冷前線を総称してスプリット前線という。このパターンでは、寒冷前線付近では背の低い対流雲からやや強い雨、上空寒冷前線の下では背の高い対流雲から強い雨が降り、温暖前線はアナ型になることが多くここも雨が強くなる。

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