A-192とは? わかりやすく解説

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A-192

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/07 04:49 UTC 版)

A-192(M)
種類 艦砲
原開発国 ロシア
運用史
配備期間 就役中
配備先  ロシア海軍
開発史
開発者 アルセナル設計局英語版ロシア語版[1]
製造業者 アルセナル機械工場英語版ロシア語版
諸元
重量 25,000kg(A-192)[1]
24,000kg(A-192M)
要員数 5人(A-192)
3人(A-192M)

砲弾 33.4kg
口径 130mm70口径長
銃砲身 単装[1]
仰角 -15°- +80°(A-192)[1]
-12- +75°(A-192M)
旋回角 ±170°(A-192)[1]
±180°(A-192M)
発射速度 最大30発/分[1]
初速 880m/秒
最大射程 23,000m
装填方式 弾倉方式
照準 FCSによる方位盤射撃
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A-192 130mm単装砲 は、ロシアが開発した艦砲である。

開発

1980年代に採用されたAK-130 130mm連装砲は、砲塔装甲を施した結果、マウントの重量が約98tにもなり、搭載できるのは満載排水量8,000t以上の大形艦に制限された[2]。そこで、AK-130を開発したアルセナル設計局英語版ロシア語版は、AK-130を単装にして軽量化した後継砲の開発を始めた。

原型であるA-192Pは、ソ連崩壊直後の1991年に試験が完了したが、ロシア海軍に採用されなかった。その後、艦艇の更新に伴いA-192が採用された。

設計

単装砲にしたことや操砲の省力化により、マウントの重量は約25tとAK-130の4分の1まで軽減された。これに伴い、より小形の艦艇にも搭載可能となり、兵器としてのみならず、輸出品としての価値も向上した[1]

砲塔は複合材を用いた多面体で、ステルス性を意識した外見となっている[1]。砲塔内は無人で、装填手は砲塔下方の装填室で砲弾を装填する。

主砲は単装で、AK-130と比べて発射速度が遅くなったが、稼働時間の短縮で最大30発/分の発射速度を有する。21世紀の艦砲の流行に合わせ、A-192は地上への艦砲射撃が考慮されているが、この射撃速度で対空砲としての機能も維持されている[1]

砲射撃指揮装置(GFCS)としては、モスクワ研究所によって開発された5P-10ロシア語版ピューマが搭載された。これは、Xバンドフェーズドアレイアンテナを用いた火器管制レーダーのほか、レドームに収容された小型の捜索レーダーも備えた自己完結型のシステムである[3]。当初、アルセナル設計局が"カルタウン-プーマ"を開発したが、開発が大幅に遅れた上に問題があったため[4]、2013年にアメチスト設計局が開発する"アルマート-プーマ"の開発に切り替えられたという経緯がある[5]

比較

主な艦砲の比較
AGS H/PJ-45 A-192M Mk45 Mod 4 127mm/54C Mk8 Mod 1 Mle.68 76mm C/SR Mk110
砲身数 単装[6]
口径 155 mm 130 mm 127 mm 113 mm 100 mm 76 mm 57 mm
砲身 62口径 70口径 62口径 54口径 55口径 62口径 70口径
重量 106 t 50 t[6] 24 t 28.924 t 37.5 t[7] 26.4 t 22 t 12 t 7.5 t[8]
要員数 完全自動 不明 3名 6名[注 1] 2-8名[9] 給弾手2名 無人[注 2] 給弾手3名 完全自動
仰俯範囲 +70°/ -5° +75°/ -12° +65°/ -15° +83°/ -15° +55°/ -10° +29° +85°/ -15° +77°/ -10°[8]
旋回範囲 全周 不明 340° 330° 340° 40° 全周
発射速度 10発/分 40発/分[6] 30発/分 16-20発/分 45発/分[7] 25発/分 78発/分 80発[注 3]/分(C)
120発/分(SR)
220発/分[8]
冷却方式 水冷 不明 空冷 水冷 空冷 水冷
最大射程 118,000 m[注 4] 29,500 m[6] 23,000 m[注 5] 37,000 m 23,000 m[注 6][注 7] 21,950m[注 6] 17,000m[注 8] 18,400m[注 6] 21,000 m[注 9]

搭載艦

2014年9月に アドミラル・ゴルシコフ級フリゲート1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」にA-192が搭載された[1][12]。その後も、アドミラル・ゴルシコフ級フリゲートの同型艦にA-192Mが搭載されている。また、現在計画中のリデル級原子力駆逐艦にも搭載予定。

派生型

A-192P
1991年に開発された試作型。
A-192M
2018年に開発が完了した改良型。2021年に採用され、アルセナル機械工場英語版ロシア語版で製造が始まった。さらなる軽量化や省力化が図られたほか、仰角や旋回角度も拡大した。また、誘導砲弾や反応弾頭など、将来的に新開発された砲弾の運用が想定されている。

脚注

注釈

  1. ^ 遠隔操作
  2. ^ 必要に応じて2名の砲員による砲側射撃も可能
  3. ^ 性能向上型、IROF改修を行うことで100発
  4. ^ LRLAP弾
  5. ^ 対空で18,000 m
  6. ^ a b c 通常砲弾
  7. ^ 対水上で15,000 m[10]、対空で7,000 m[10]
  8. ^ 対水上で12,000m、対空6,000m
  9. ^ HCER-BB弾[11]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 「世界の艦載兵器」 『世界の艦船』第811集(2020年1月増刊号) 海人社 P.92
  2. ^ 「世界の艦載兵器」 『世界の艦船』第811集 P.93
  3. ^ 多田智彦「ロシア海軍の新しい艦載兵器 (特集 ロシア海軍の現況)」『世界の艦船』第817集(2015年6月号) 海人社 P.86-91
  4. ^ СМИ: Передачу ВМФ фрегата "Адмирал Горшков" отложили из-за проблем с артустановкой
  5. ^ Кораблям облегчат пушки в четыре раза
  6. ^ a b c d 多田 2015, p. 110.
  7. ^ a b 大塚 2014.
  8. ^ a b c 多田 2015, p. 109.
  9. ^ 梅野 2007, pp. 177–182.
  10. ^ a b Friedman 1997, p. 436.
  11. ^ Friedman 1997, pp. 450–451.
  12. ^ Фрегат "Адмирал Горшков" получил артустановку



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