3000人の吹奏楽とは? わかりやすく解説

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3000人の吹奏楽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 18:27 UTC 版)

3000人の吹奏楽(さんぜんにんのすいそうがく)は、1961年(昭和36年)から2023年(令和5年)まで初夏(主に6月下旬の土・日曜日)に関西地方野球場阪急西宮球場京セラドーム大阪)で断続的に開かれていた大規模なマーチングイベント。関西テレビ放送と3000人の吹奏楽実行委員会による共催イベントで、大阪府兵庫県池田市大阪市豊中市箕面市泉南市尼崎市淡路市洲本市南あわじ市教育委員会と合わせて後援していたほか、公益財団法人日本ユニセフ協会関西・大阪21世紀協会も後援に名を連ねていた。

第1回の名称は「春の吹奏楽~1000人の合同演奏~」だったが、参加団体の増加に伴って、翌1962年(昭和37年)の第2回から「2000人の吹奏楽」に変更。1989年(平成元年)の第29回以降は、「3000人の吹奏楽」との名称が定着していた。

歴史

第1回から長らく、宝塚歌劇団内海重典が構成と演出を担当。関西テレビ放送の現職アナウンサーが司会を代々務めていて、最終盤には関純子堀田篤が担当していた。ちなみに同局では、イベントの模様を収録したうえで編集したダイジェスト映像を、毎回の開催後に関西ローカル向けの特別番組(またはレギュラー番組内の特集コーナー)で放送していた。

第1回から阪急西宮球場を会場に使用していたが、同球場が2002年に閉鎖(後に解体)されてからは、会場を京セラドーム大阪に移していた。また、西宮球場を使用していた当初は毎年5月頃に開催していたが、後に6月第3土曜日の開催が定着。会場を京セラドームに移してからは、6月の下旬に組まれていたものの、開催日が第3土曜日とは限らなかった。

開催の当初は、西宮球場が所在する阪神地区の学校や団体が主に参加。当時発行されていたプログラムには、宝塚歌劇団、陸上自衛中部方面音楽隊、第3音楽隊、阪急百貨店吹奏楽団、阪急少年音楽隊といった団体の名前も見られたという。

1993年(平成5年)の第33回で5034人によるマーチングを敢行したところ、「世界最大のマーチングバンド」としてギネス・ワールド・レコーズに掲載された(この記録は後に更新)[1]。その一方で、1995年(平成7年)の第35回は、例年より遅く8月の末に開催された。この年の1月17日に発災した阪神・淡路大震災が、阪神地区に甚大な被害をもたらしていたことによる。

会場を京セラドーム大阪へ移してからは、関西地方の小学校、中学校、高校、大学の吹奏楽部マーチングバンドなどが参加。また、タケモトピアノが協賛扱いで冠スポンサーに付いていた。2011年(平成23年)までは、かつて西宮球場を使用していた関西テレビ主催の「キンダーフェスティバル」も、ハウス食品の協賛で「3000人の吹奏楽」の前日に京セラドームで開催している。

2019年(令和元年)は、京セラドームの所在する大阪市内でのG20大阪サミット開催(6月28・29日)に際して、交通関連などの規制が同月中に市内で敷かれたことを踏まえて中止を決定。2020年(令和2年)以降も、日本国内で新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が流行していることを背景に、感染の拡大を防ぐ目的で2022年(令和4年)まで開催を見合わせていた。

2023年(令和5年)6月24日に、カンテレ(関西テレビ放送)の開局65周年記念企画の一環として、京セラドーム大阪で5年振りに開催。同局では「3000人の吹奏楽」をこの年の第59回で終了することを決めていたため、実際には「3000人の吹奏楽ファイナル」という名称で催された[2]

開催履歴

回数 年月日 テーマ 参 加
団体数
参加
人数
第1回 1961年(昭和36年)4月29日 合同演奏曲 「春の吹奏楽」 21団体 1000人
第2回 1962年(昭和37年)5月12日 合同演奏曲 大序曲「1812年」 30団体 1709人
第3回 1963年(昭和38年)7月13日 合同演奏曲 狂詩曲「ジェリコ」 32団体 2136人
第4回 1964年(昭和39年)5月23日 合同演奏曲 大序曲「1812年」 28団体 2970人
第5回 1965年(昭和40年)6月5日 合同演奏曲 交響詩「日本のあゆみ」 49団体 2300人
第6回 1966年(昭和41年)6月25日 合同演奏曲 交響詩「タルサ」 44団体 2100人
第7回 1967年(昭和42年)6月17日 世界はひとつ 47団体 2300人
第8回 1968年(昭和43年)6月22日 若人の祭典 40団体 2274人
第9回 1969年(昭和44年)6月7日 美しき日本 47団体 2012人
第10回記念 1970年(昭和45年)6月20日 世界の広場 46団体 2976人
大阪万博
出場
1970年(昭和45年)8月29日 EXPO'70・お祭り広場 30団体 1633人
第11回 1971年(昭和46年)5月29日 楽しいミュージック・ボックス 34団体 2470人
第12回 1972年(昭和47年)5月27日 世界のカーニバル 28団体 2200人
第13回 1973年(昭和48年)5月12日 '73の世界 32団体 2480人
第14回 1974年(昭和49年)6月22日 カーニバル 37団体 2146人
第15回 1975年(昭和50年)6月21日 美しき日本 54団体 1410人
第16回 1976年(昭和51年)6月19日 吹奏楽でつづるアメリカ建国200年 40団体 2500人
第17回 1977年(昭和52年)6月18日 世界の名作曲家を偲んで 44団体 2168人
第18回 1978年(昭和53年)6月17日 関西テレビ開局20周年記念
グリーンフィールドに謳うみどりの青春
40団体 2148人
第19回 1979年(昭和54年)6月23日 国際児童年に寄せて 47団体 2138人
第20回記念 1980年(昭和55年)6月21日 栄光の祭典 41団体 2049人
第21回 1981年(昭和56年)6月20日 マーチ オン マーチ'81 39団体 1995人
第22回 1982年(昭和57年)6月19日 ビートにのってクラシック 47団体 1945人
第23回 1983年(昭和58年)6月25日 華麗なるマーチング 42団体 1871人
第24回 1984年(昭和59年)9月8日 リズムの祭典 42団体 1891人
第25回 1985年(昭和60年)6月22日 国際青年年・海を越える握手 46団体 1858人
第26回 1986年(昭和61年)6月28日 ミュージック・コラージュ 48団体 1778人
第27回 1987年(昭和62年)4月25日 春のファンタジー 47団体 1713人
第28回 1988年(昭和63年)6月26日 関西テレビ開局30周年記念
2000人の吹奏楽スペシャル ザ・リバー
89団体 3977人
第29回 1989年(平成元年)6月17日 世界映画音楽集 61団体 2285人
第30回記念 1990年(平成2年)6月16日 美しき自然 61団体 2540人
花の万博
出場
1990年(平成2年)8月28日 IN EXPO 1990(イベント広場) 27団体 2000人
第31回 1991年(平成3年)6月15日 マーチング・プリズム 62団体 3015人
第32回 1992年(平成4年)6月20日 ドリーム・オブ・ドリーム 75団体 3226人
第33回 1993年(平成5年)6月20日 マーチ マーチ マーチ 88団体 5034人
第34回 1994年(平成6年)6月18日 関西国際空港開港記念 ビバ!テイクオフ 66団体 2741人
第35回 1995年(平成7年)8月30日 限りなき前進 89団体 4773人
第36回 1996年(平成8年)6月22日 映画100年 60団体 2485人
第37回 1997年(平成9年)6月21日 ザッツ・イベント 65団体 2637人
第38回 1998年(平成10年)6月20日 関西テレビ開局40周年記念
ミュージック・ジャングル
65団体 2633人
第39回 1999年(平成11年)6月19日 20世紀の名曲を 65団体 2871人
第40回記念 2000年(平成12年)6月24日 40年 響いて 21世紀へ 75団体 3174人
第41回 2001年(平成13年)6月23日 The Marching Show 2001~私たちのメッセージ~ 73団体 3165人
第42回 2002年(平成14年)6月22日 ヤングパワー2002~私たちのメッセージ~ 79団体 3295人
第43回 2003年(平成15年)6月28日 新たなる感動をドームで! 93団体 3789人
第44回 2004年(平成16年)6月19日 元気いっぱい ドームで満開! 87団体 3863人
第45回 2005年(平成17年)6月26日 ハッピーブラスin大阪ドーム サファイアの響き 89団体 3958人
第46回 2006年(平成18年)6月25日 ドームに集うオンリーワン 91団体 4318人
第47回 2007年(平成19年)6月24日 ドームに咲かそう 友情の華 85団体 3994人
第48回 2008年(平成20年)6月22日 関西テレビ放送開局50周年記念
未来へ~歌いつなごう日本のうた
79団体 3787人
第49回 2009年(平成21年)6月21日 ~夢いっぱい~歌いつなごう世界のうた 76団体 3500人 
第50回記念 2010年(平成22年)6月27日 第50回記念スペシャル
「(合同演奏曲)大序曲『1812年』」
75団体 3585人
第51回 2011年(平成23年)6月26日 スタートライン 71団体 3543人
第52回 2012年(平成24年)6月23日 ドームに響け!心のハーモニー 70団体 3553人
第53回 2013年(平成25年)6月22日 ドームでGo!Go!仲間と共に 69団体 3782人
第54回 2014年(平成26年)6月28日 未来へキックオフ! 75団体 4330人
第55回 2015年(平成27年)6月20日 集まれ!最高の仲間たち 75団体 3951人
第56回 2016年(平成28年)6月25日 愛と平和と音楽と 75団体 3808人
第57回 2017年(平成29年)6月24日 届けたい音楽がある。 75団体 3756人
第58回 2018年(平成30年)6月23日 関西テレビ放送開局60周年記念
音楽に恋してる。
78団体 3782人
第59回 2023年(令和5年)6月24日 カンテレ開局65周年記念
3000人の吹奏楽ファイナル


チャリティー実績

3000人の吹奏楽の入場料収入は社会のために役立てられた。これまでのチャリティー実績は以下の通り。

回数・年 実施内容
第1回(昭和36年) 京阪神地区の福祉施設にテレビ8台を寄贈
第2回(昭和37年) 京阪神地区の町内会・防犯協会・個人に防犯灯500台設置
第3回(昭和38年) 尼崎市の「ハエと蚊をなくす運動」に協力し、ヘリコプターによる薬剤散布・地域の希望者にも殺虫剤寄贈
第4回(昭和39年) 薬剤散布、尼崎市西武庫公園に桜500本植樹
第5回(昭和40年) 尼崎市西武庫公園・服部緑地公園に桜600本植樹
第6回(昭和41年) 尼崎市西武庫公園・服部緑地公園に桜300本植樹と花壇付日時計を設置
第7回(昭和42年) 尼崎市西武庫公園・服部緑地公園に桜500本植樹
第8回(昭和43年) 尼崎市西武庫公園・服部緑地公園に殺虫剤寄贈
第9 - 10回(昭和44 - 45年) 万国博覧会開催参加費用に充当
第11回(昭和46年) 吹奏楽団55団体に電子メトロノーム寄贈、大阪府警にパトカー1台寄贈
第12回(昭和47年) 「緑のチャリティ」として近畿地区の小中学校に植樹
第34回(平成6年) この年まで「緑のチャリティ」学校緑化運動で合計約700校・約3万本の植樹を実施
第35 - 36回(平成7 - 8年) 阪神・淡路大震災の義援金として日本赤十字社に寄付
第37回 - (平成9年 - ) 日本ユニセフ協会に寄付

脚注

出典

  1. ^ それまでの世界記録は、1985年(昭和60年)にアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスのドジャー・スタジアムで樹立された4524人(指揮:ダニー・ケイ)。その後、同年にノルウェーの空港で6017人によるマーチングが行われ、記録が破られたが、1997年(平成9年)5月5日に大阪・日本万国博覧会記念公園において11157人によるマーチングを行い、記録を更新した。
  2. ^ カンテレ開局65周年記念 3000人の吹奏楽ファイナル | イベント | 関西テレビ放送 カンテレ”. イベント. 2023年5月6日閲覧。



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