小見山輝とは? わかりやすく解説

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小見山輝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/12 05:45 UTC 版)

小見山輝
(2005年75歳)
誕生 本名 小見山 輝(こみやま あきら)
(1930-10-01) 1930年10月1日
岡山県笠岡市
死没 (2018-07-01) 2018年7月1日(87歳没)
岡山県笠岡市
職業 歌人
言語 日本語
国籍 日本
親族 小見山泉(歌人・次女)
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小見山 輝(こみやま てる、1930年10月1日 - 2018年7月1日[1]) は、日本歌人龍短歌会代表(1995 - 2018)。

来歴

1930年岡山県笠岡市神島に生れる。1945年14歳で満蒙開拓青少年義勇軍に参加し満州に渡り、1946年引き揚げ帰郷[2]1950年「林間」に入会[3]1951年「龍」入会。服部忠志に師事。1953年加藤克巳の「近代」に参加[4]1995年「龍」代表。万葉集釈迢空の歌に親しみ、人間存在の根源的な虚ろを見つめ、生の華やぎや、かそけさをすくいとる作風に特徴がある[5]。岡山県歌人会会長、日本歌人クラブ中国地区代表幹事などを歴任[6]。万葉歌碑建立にも尽力した[7]2012年岡山地域文化賞受賞[8]2016年聖良寛特別賞受賞[9]

著書

歌集

  • 第一歌集『春傷歌』(潮汐社 、1979年)
  • 第二歌集『風』(手帖社 、1981年)
  • 第三歌集『寄物六百歌』(砂子屋書房、1999年)
  • 『現代歌人文庫小見山輝歌集』(砂子屋書房、1999年)ISBN 9784790414902
  • 第四歌集『朝凪 夕凪』(潮汐社、2015年)
  • 第五歌集『神島』(潮汐社、2017年)
  • 第六歌集『一日一首』(潮汐社、2018年)ISBN 9784885230530

歌書

  • 『歌の話』(みぎわ書房、1997年)
  • 『独り精進』(大学教育出版、2000年)
  • 『歌の話Ⅱ 汽水の蟹』(潮汐社、2010年)
  • 『歌の話Ⅲ とりふね』(潮汐社、2020年)ISBN 9784885230608

その他

  • 『歌を道づれに 岡山地名百選』(書肆亥工房、2001年)
  • 『西東三鬼の世界』(岡山文庫、2003年)
  • 『吉備のたたら』(日本文教出版、2009年)

作品

小見山輝
若き日の小見山輝
坂本信幸(万葉学者)と小見山輝
ウィキポータル 文学
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『春傷歌』

  • 迫りくる雲の速さに驚きて声にし出でぬあはれ人の名  
  • 朝霧の動くともなき河原に現れては消ゆる黒き石ひとつ
  • 男装となりてにほへる女医なりき「四平」にて別れその後を知らず
  • つかの間のしぐれののちの雲晴れて墓原に人の墓ぞひしめく
  • 戦ひにわが友多く死にけり昭和二十年ひとしく行年十五歳

自選歌集『空蟬』(『現代歌人文庫小見山輝歌集』所収)

  • おびただしき猫と住まひて媼ひとり悦楽(えらぎ)の声をあぐることあり  

『寄物六百首』

  • みなぎりて波止を越えむとする潮を身に感じをり色事に似る
  • 死の際に思へることや何ならむ佐太郎柊二まして迢空
  • 鉄板の上にて焼きし死者の事思へば生くるは狂ふに似たり

『朝凪 夕凪』

  • 常凡(よのつね)のことにはあれど人ごみの辻に泣きわめく児のあるはあはれ
  • 驟雨して山にまつはる雨霧の暗く暮れゆくまでのいろいろ
  • 鬼の声する時を経て鳥の声風の声まれに人の声する

『神島』

  • 誰の妻と思ひかなしむ身の白く照りたるをみな細魚(さより)をすすぐ
  • 枯芝のうへを枯葉がころげまはり音もたてねば見てゐるばかり
  • 幼女(をさなめ)の庭前(かど)の遊びに声をかけ過ぎて来にけり互(かた)みに独り

『一日一首』

  • 木も草も枯れはてにけり ささやまにささなき走るうくひすのかげ
  • 生れ在所の神島にかかる橋なれば 戻る思ひにわたりをり あはれ
  • 天神の沖の迫水(せみど)の水尾ひとすぢ 青む を見れば 昼ふけにけり

歌碑

歌碑除幕式2017年11月23日
  • 「わたり鳥 さしばの鷹の声すると ふり仰げども たゞ青き山」(岡山県笠岡市神島・自在天神社 2017年建立)[10]

参考文献

  • 「龍」2019年夏号別冊小見山輝追悼号
  • 『満蒙開拓青少年義勇軍―大久保中隊』(興安会1984年刊)「多く死者達への為の短歌十首」小見山輝
  • 『満蒙開拓青少年義勇軍の旅路 光と闇の満州』旅の文化研究所編(森話社2016年)※第六章「終戦、そして引揚げ」/終章「『春傷』の満州体験」に小見山輝氏に関する記述あり。
  • 「記憶の中の死者たち」小見山輝(「うた新聞」2014年8月号)
  • 「石を売る」奥田亡羊(「心の花」2013年12月号時評)※歌集『春傷歌』評
  • 「小見山輝 鬼の声」奥田亡羊(「梧葉」2015年春号通巻45号)※歌集『朝凪 夕凪』評
  • 「海からの声 小見山輝歌集『一日一首』」尾崎まゆみ(「うた新聞」2019年6月号)
  • 「含羞の人 小見山輝歌集『一日一首』」山田富士郎(「歌壇」2019年8月号)

脚注

  1. ^ 「龍」2019年夏号別冊小見山輝追悼号
  2. ^ 対談「満蒙開拓青少年義勇軍の記憶」小見山輝・神崎宣武(『まほら』71旅の文化研究所2012年/『現代歌人文庫小見山輝歌集』所収)
  3. ^ 三省堂『現代短歌大事典』「小見山輝」(執筆河野裕子
  4. ^ 「龍」2019年夏号別冊小見山輝追悼号。「近代」はのちに「個性」と改称、小見山輝は2002年の終刊まで在籍した。
  5. ^ 「龍」2019年夏号別冊小見山輝追悼号「わたしの『春傷歌』」奥田亡羊
  6. ^ 「龍」2019年夏号別冊小見山輝追悼号
  7. ^ 「吉野なる夏実の川の川淀に鴨そ鳴くなる山陰にして」(万葉集巻3-375 湯原王)奈良県吉野町菜摘(1995年建立)/「玉桙の道に出で立ちあしひきの野行き山行きにはたづみ…」(万葉集巻13-3339 調使首)岡山県笠岡市神島日光寺(2005年建立)
  8. ^ 「龍」2019年夏号別冊小見山輝追悼号
  9. ^ 「龍」2019年夏号別冊小見山輝追悼号
  10. ^ 読売新聞岡山版2017年11月24日。なお同歌は『寄物六百歌』に収録されている。



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