寺越外雄とは? わかりやすく解説

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寺越外雄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/19 08:58 UTC 版)

寺越 外雄(てらこし そとお、1939年2月7日 - 1994年9月5日)は、北朝鮮による拉致被害者と考えられる日本男性。政府認定の拉致被害者ではないが、「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)では拉致被害者に認定している[1]。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)での名前は金 哲浩(キム・チョルホ)。寺越外雄を含む3人が沖へ漁に出たまま行方不明になり、後に北朝鮮で生存していた事実が確認された事件を「寺越事件」と呼んでいる[注釈 1]


注釈

  1. ^ この事件は、このときの漁船の名から「清丸事件」と称することもある[2]
  2. ^ 見つかったのは、武志の着ていた学生服が漁船近くの海中で拾得された程度であった[3]
  3. ^ 当初はどうやって送金するのかもわからなかったので、梅干しの瓶、ズボンの裾、ネクタイの裏などに金をしのばせたという[5]
  4. ^ 寺越文雄は、1997年に甥の寺越武志の死亡認定が取り消された際、海上保安庁から「外雄さんはどうしますか」と話されたが、当初はその重要性に対する認識がなかったため、いったんは辞退した[7]。しかし、弟の望郷の念を思うと、できる限りのことをしてやりたいと心境が変化したという[8]。もし、外雄の子どもたちが日本に帰国したときに十分な支援が得られるように、また万が一北朝鮮から、緊急に救出しなければならない事態が訪れたとき、そこから遺漏するようなことがあってはならないと考えなおしたという[8]。文雄はこの件について、「弟が『兄さん、ようやってくれた』と墓の下で思ってくれれば良いと思います」とコメントした[8]
  5. ^ 寺越昭二については、外雄の手紙をもとに1968年(昭和43年)に清津で「酒盛りをした翌日、ベッドから転落して死んでいた」とする説がある一方、北朝鮮工作員だった安明進が先輩工作員からの伝聞をもとに、1963年の事件の際に「船上で銃撃されて死亡した」とする説がある[9][10]。太左衛門は2008年(平成20年)1月12日、平壌市の武志宅にて86歳で死去した。
  6. ^ 2010年5月、外雄の死亡取り消しが海上保安庁からなされたとき、家族会の事務局長だった増元照明は、金英男も寺越武志と同様の証言をしているにも係わらず、韓国政府は金英男が「拉致被害者」であるとの認識に立ち、北朝鮮政府に返還を求めていることからすると、日本政府も日本の見解として「拉致被害者」として認定すべきものであり、それができないのは、北朝鮮政府への遠慮か北朝鮮に在住する寺越武志の安全保証なのかは不明ながら、北朝鮮国内あるいは監視下で本人の意思から真実をいえない以上、政府としての見解・判断を独自になすべきであるとしている[8]。また、無念の思いで亡くなった寺越外雄の思いを考えるならば、せめて外雄の家族の安全を確保するためにも、拉致認定すべきだとの考えを表明した[8]

出典

  1. ^ 拉致被害者リスト”. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会. 2021年12月24日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 高世(2002)pp.164-170
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 『家族』(2003)pp.325-333
  4. ^ 『家族』(2003)pp.358-360
  5. ^ a b c d e f g h 『家族』(2003)pp.334-338
  6. ^ a b 『家族』(2003)pp.340-342
  7. ^ a b c d e f g 寺越外雄さんの死亡認定取消しが決定(2010/05/13)”. 救う会全国協議会ニュース. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 (2010年5月13日). 2021年12月24日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h 「外雄の子供は日本人や」-寺越文雄さんコメント(2010/05/14)”. 救う会全国協議会ニュース. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 (2010年5月14日). 2021年12月24日閲覧。
  9. ^ 寺越事件を石川県警に告訴・告発(2003/11/27)”. 救う会全国協議会ニュース. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 (2003年11月27日). 2021年12月24日閲覧。
  10. ^ 「寺越事件50年、今何をすべきか 東京特別集会」全記録”. 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 (2013年5月17日). 2021年12月24日閲覧。
  11. ^ 高世(2002)p.149


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