天狗草紙とは? わかりやすく解説

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てんぐぞうし 【天狗草紙】

鎌倉時代絵巻。七巻。一二九六永仁四)年の年紀がある。僧侶驕り独善天狗たとえて諷刺したもの。

天狗草紙

読み方:テングソウシ(tengusoushi), テングノソウシ(tengunosoushi)

分野 絵巻物

年代 鎌倉後期

作者 作者未詳


天狗草紙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 09:48 UTC 版)

天狗草紙』(てんぐぞうし)とは、顕密諸大寺や念仏・禅宗の僧徒が我執・傲慢ゆえに天狗に堕ちる様を風刺・批判した絵巻物。詞書に記される永仁4年(1296年)10月の成立とする説が有力で、鎌倉時代後期の日本の仏教界を嘆き制作されたものと考えられている。全7巻で伝世した5巻と摸本の2巻からなる。各巻は個別に伝来したが、元来は7巻が1セットで制作されたと考えられている[1][2]。伝世本を成立当初からの原本とするのが定説だが、異説もある[3][4]。現在は個人を含む4箇所に分有されており、全てが重要文化財に指定されている[5][6][7][8]


注釈

  1. ^ ただし小松茂美は同一人物の手によるものではなく、当時の倣いであった寄合書き(分担して執筆)で制作されたとしている[11]
  2. ^ 卑慢(他人が多分に勝っているにもかかわらず、少しだけ劣っているとする)・慢(劣った他人に対して我が勝っているとし、等しい他人に対して我は等しいとする)・過慢(等しい他人に対して我は勝っているといい、勝っている他人に対して我は等しいとする)・慢過慢(他の人が勝っているのに対して、我はさらに勝っているとする)・我慢(我あり、我の所有ありと執着し、心をして高拳とする)・邪慢(悪行をなし、悪を頼んで高拳する)・増上慢(未だ悟っていない、悟りを得ているとする)の7つ[14]
  3. ^ 1975年に黒田俊雄が提唱した顕密体制論における中世仏教の宗派のうち、国家権力と結びつき正統的と見なされた集団のこと。具体的には南都六宗に平安二宗(天台宗真言宗)を加えた八宗のこと[24]
  4. ^ 仏教色の強い歌論書。制作年は永年3年(1295年)とされる。著者が書写山にて老僧の説く内容を歌話に留めるという体裁で記され、当時の宗教界に対する批判的な内容となっている。著者は後年の奥書に源有房と記されるが確定的ではない。また登場する老僧については『一遍聖絵』巻4に登場する延暦寺東塔の兵部竪者重豪とされる[15]

出典

  1. ^ a b c d e 原田正俊 1998, pp. 105–107.
  2. ^ a b c d e f 原田正俊 1998, pp. 108–111.
  3. ^ a b c 梅津次郎 1978b, p. 14.
  4. ^ 小松茂美 1993, p. 13.
  5. ^ a b 文化庁(1).
  6. ^ a b c d e f g h 文化庁(2).
  7. ^ a b 文化庁(3).
  8. ^ a b 文化庁(4).
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 梅津次郎 1978b, pp. 3–4.
  10. ^ a b c 梅津次郎 1978b, pp. 10–14.
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n 小松茂美 1978, pp. 52–57.
  12. ^ a b 原田正俊 2000, pp. 119–122.
  13. ^ a b 梅津次郎 1978b, p. 4.
  14. ^ a b c d e f g h i j 小松茂美 1993, pp. 112–121.
  15. ^ a b c d 梅津次郎 1978b, pp. 4–9.
  16. ^ 梅津次郎 1978b, pp. 9–10.
  17. ^ 原田正俊 2000, pp. 122–127.
  18. ^ a b 岡見正雄 1978, pp. 28–32.
  19. ^ a b 原田正俊 2000, pp. 127–133.
  20. ^ a b 原田正俊 2000, pp. 139–142.
  21. ^ 原田正俊 2000, pp. 133–136.
  22. ^ 原田正俊 2000, pp. 117–119.
  23. ^ a b 川上貢 1978, pp. 58–64.
  24. ^ 新纂浄土宗大辞典: 顕密体制論.
  25. ^ 原田正俊 2000, pp. 145–146.
  26. ^ 原田正俊 2000, pp. 140–142.
  27. ^ a b 原田正俊 2000, p. 127.
  28. ^ 原田正俊 2000, pp. 142–145.
  29. ^ a b ColBase(2).
  30. ^ a b c d e f g 梅津次郎 1978, p. 110.
  31. ^ a b 梅津次郎 1978b, pp. 4–5.
  32. ^ a b 梅津次郎 1978b, p. 5.
  33. ^ a b c 梅津次郎 1978b, pp. 5–6.
  34. ^ a b 小松茂美 1993, pp. 131–132.
  35. ^ a b 梅津次郎 1978b, p. 6.
  36. ^ 小松茂美 1993, pp. 132–134.
  37. ^ a b c 梅津次郎 1978b, pp. 6–7.
  38. ^ 小松茂美 1993, pp. 134–135.
  39. ^ 文化庁(5).
  40. ^ a b c d e f g h i j 梅津次郎 1978b, pp. 7–8.
  41. ^ a b c d e 小松茂美 1993, pp. 135–138.
  42. ^ a b c 梅津次郎 1978b, pp. 8–9.
  43. ^ a b 小松茂美 1993, pp. 138–141.
  44. ^ 田中稔 1978, pp. 71.
  45. ^ 宮本常一 1978, pp. 65–70.
  46. ^ ColBase.


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