夕凪の街 桜の国
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『夕凪の街 桜の国』(ゆうなぎのまち さくらのくに)は、こうの史代による日本の漫画。2003年から2004年に『WEEKLY漫画アクション』『漫画アクション』に掲載、描き下ろしを加えて双葉社アクションコミックスより2004年に刊行された。全1巻(全98頁)。
注釈
- ^ 1頁半にわたりセリフだけの白紙のコマが続く。
- ^ a b ただし作者は単行本巻末の解説にて、同場面にある「水戸からの特急列車で弟の旭と伯母が到着した」という描写から、時間的には皆実が夕凪だと感じていたものは実は朝凪のはずであり、視力を失っていたために夜だと勘違いをしたのだとしている[21]。
- ^ 現代史研究者の森下達は、物語の舞台となっている1955年の広島で最初の原水爆禁止世界大会が開催されたことから[13]、皆実が最期までこれらの市民運動と関りを持つことができなかったことを表現する意図があったと解析している[13]。
- ^ 作者のこうのは単行本のあとがきで「このオチのない物語は、三五頁〔=真っ白なページ〕で貴方の心に湧いたものによって、はじめて完結するものです」と説明している[14]。文学者・批評家の中田健太郎は、読者が物語で描かれた内容を現実に関連づけて考えることを求める体裁となっていると解説している[15]。
- ^ 劇中には医者が皆実の症状が何であるかを判断しかねている場面があり[16]、「原爆症である」と診断される場面こそないものの、作者は巻末の解説でこの結末を、皆実が10年前に原爆を受けたことによるものと明言している[17]。
- ^ 小説版では、広島行きを拒んだ理由として、被爆直後の広島を特集した写真雑誌を偶然目にしてしまい、「自分もああなっていたかもしれない。もう家も家族も友達も昔のままではない。」と「ヒロシマ」そのものに対するトラウマによるものとされている。
- ^ a b 原作では姓のみで名は出ない。
- ^ 原作では職業に関する記述は無い。
- ^ 七海が5年生時の秋に退院し通院治療になった。
- ^ 原作では回想シーンに後姿で一コマのみ登場している。第二部においては登場シーンは無いが、七海によれば宮島界隈に住んでいる。
- ^ 劇中では、被爆したことが原因かどうかは「誰も教えてはくれなかった」とされている[18]。
- ^ 旭が京花と結婚する直前から、『桜の国』第2部で七波と東子が広島を訪れるまでの間に店名が変わっていることが、同一ページ内に描かれた同じ構図のコマによって示されている[28]。
- ^ 作者のこうの自身はインタビューの中で、何らかの意図を考えて入れたわけではなく、執筆当時の住居から近い位置にあったこの建物を「面白い景色」という理由で描いたとしている[32]。一方で、こうのへのインタビューを行った吉村和真は[32]、「桜の国」第1部に4回、第2部に2回登場するこの建物について、作者の真意にかかわらず、読者の抱く「ヒロシマ」を想起させる描写になっていると評した[31]。
- ^ 劇中には帰りの夜行バスの車窓から旧広島市民球場越しに小さく原爆ドームが見える場面があるが[39][40]、作者のこうのによれば、これは広島駅ではなく広島バスセンターから夜行バスに乗車したときにだけ垣間見える風景が基になっているとされる[32]。なお旧広島市民球場は2010年に解体されているため、それ以降はこの光景を実際に見ることはできない[41]。
- ^ 役名なし。平野フジミに相当。
出典
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- ^ a b c d e f g 単行本, p. 100, §解説.
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- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 東京公演には出演したが、大阪公演には出演していない。
- ^ a b c d e f 大阪公演には出演したが、東京公演には出演していない。
- ^ a b 大阪公演では全公演出演した。
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