夕凪の街 桜の国とは? わかりやすく解説

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夕凪の街 桜の国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/07 16:04 UTC 版)

夕凪の街 桜の国』(ゆうなぎのまち さくらのくに)は、こうの史代による日本漫画2003年から2004年に『WEEKLY漫画アクション』『漫画アクション』に掲載、描き下ろしを加えて双葉社アクションコミックスより2004年に刊行された。全1巻(全98頁)。


注釈

  1. ^ 1頁半にわたりセリフだけの白紙のコマが続く。
  2. ^ a b ただし作者は単行本巻末の解説にて、同場面にある「水戸からの特急列車で弟の旭と伯母が到着した」という描写から、時間的には皆実が夕凪だと感じていたものは実は朝凪のはずであり、視力を失っていたために夜だと勘違いをしたのだとしている[21]
  3. ^ 現代史研究者の森下達は、物語の舞台となっている1955年の広島で最初の原水爆禁止世界大会が開催されたことから[13]、皆実が最期までこれらの市民運動と関りを持つことができなかったことを表現する意図があったと解析している[13]
  4. ^ 作者のこうのは単行本のあとがきで「このオチのない物語は、三五頁〔=真っ白なページ〕で貴方の心に湧いたものによって、はじめて完結するものです」と説明している[14]。文学者・批評家の中田健太郎は、読者が物語で描かれた内容を現実に関連づけて考えることを求める体裁となっていると解説している[15]
  5. ^ 劇中には医者が皆実の症状が何であるかを判断しかねている場面があり[16]、「原爆症である」と診断される場面こそないものの、作者は巻末の解説でこの結末を、皆実が10年前に原爆を受けたことによるものと明言している[17]
  6. ^ 小説版では、広島行きを拒んだ理由として、被爆直後の広島を特集した写真雑誌を偶然目にしてしまい、「自分もああなっていたかもしれない。もう家も家族も友達も昔のままではない。」と「ヒロシマ」そのものに対するトラウマによるものとされている。
  7. ^ a b 原作では姓のみで名は出ない。
  8. ^ 原作では職業に関する記述は無い。
  9. ^ 七海が5年生時の秋に退院し通院治療になった。
  10. ^ 原作では回想シーンに後姿で一コマのみ登場している。第二部においては登場シーンは無いが、七海によれば宮島界隈に住んでいる。
  11. ^ 劇中では、被爆したことが原因かどうかは「誰も教えてはくれなかった」とされている[18]
  12. ^ 旭が京花と結婚する直前から、『桜の国』第2部で七波と東子が広島を訪れるまでの間に店名が変わっていることが、同一ページ内に描かれた同じ構図のコマによって示されている[28]
  13. ^ 作者のこうの自身はインタビューの中で、何らかの意図を考えて入れたわけではなく、執筆当時の住居から近い位置にあったこの建物を「面白い景色」という理由で描いたとしている[32]。一方で、こうのへのインタビューを行った吉村和真[32]、「桜の国」第1部に4回、第2部に2回登場するこの建物について、作者の真意にかかわらず、読者の抱く「ヒロシマ」を想起させる描写になっていると評した[31]
  14. ^ 劇中には帰りの夜行バスの車窓から旧広島市民球場越しに小さく原爆ドームが見える場面があるが[39][40]、作者のこうのによれば、これは広島駅ではなく広島バスセンターから夜行バスに乗車したときにだけ垣間見える風景が基になっているとされる[32]。なお旧広島市民球場は2010年に解体されているため、それ以降はこの光景を実際に見ることはできない[41]
  15. ^ 役名なし。平野フジミに相当。

出典

  1. ^ a b 原爆を未来に語り継ぐ名作 『夕凪の街 桜の国』”. All About. 口コミでおすすめの2000年代の青年マンガ. オールアバウト (2013年9月24日). 2018年5月20日閲覧。
  2. ^ a b “こうの史代「夕凪の街 桜の国」がドラマ化、NHKで今夏放送”. コミックナタリー (ナターシャ). (2018年1月15日). https://natalie.mu/comic/news/265153 2018年1月15日閲覧。 
  3. ^ a b c d 天野賢一 (2010年12月22日). “3つ星マンガ、「現代版サザエさん」に高評価 書店員が選ぶ「50年後も書店に並べたい1冊」 「夕凪の街桜の国」編集者が明かす誕生秘話”. NIKKEI STYLE (日本経済新聞社日経BP社). https://style.nikkei.com/article/DGXZZO19087110Z21C10A1000000?channel=DF130120166059&page=9 2018年5月22日閲覧。 
  4. ^ こうの史代・片渕須直対談集『「この世界の片隅に」』(文藝春秋)P.159
  5. ^ 水島裕雅 (2005年). “戦争と女性作家 ―大田洋子を中心として―”. 広島に文学館を!市民の会. 2008年5月4日閲覧。
  6. ^ 中田 2016, p. 140.
  7. ^ 中田 2016, pp. 134, 140.
  8. ^ 2004年 文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 大賞 夕凪の街 桜の国”. 文化庁メディア芸術プラザ. 2007年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月4日閲覧。
  9. ^ 第9回朝日新聞手塚治虫文化賞 新生賞”. asahi.com. 朝日新聞社. 2005年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月4日閲覧。
  10. ^ “今月の絶対はずさない!プラチナ本 2005年01月号 『夕凪の街 桜の国』 こうの史代”. ダ・ヴィンチニュース (KADOKAWA). (2004年12月6日). https://ddnavi.com/review/13693/a/ 2018年5月31日閲覧。 
  11. ^ 隅田佳孝 (2005), “被爆描いた漫画 韓国で翻訳出版”, 朝日新聞 (朝日新聞社) 2005年10月14日付夕刊: 第15面 
  12. ^ 『複数のヒロシマ』, p. 387.
  13. ^ a b 森下 2016, p. 238.
  14. ^ 単行本, pp. 102–103, §あとがき.
  15. ^ 中田 2016, p. 136.
  16. ^ 単行本, p. 31.
  17. ^ 単行本, p. 100.
  18. ^ 単行本, p. 86.
  19. ^ こうの史代. “野々村さんの書評への補足(こうの史代ファンページ掲示板より)”. 2008年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月4日閲覧。
  20. ^ 単行本, pp. 27, 100.
  21. ^ a b c d e f g 単行本, p. 100, §解説.
  22. ^ 単行本, pp. 9, 71, 100.
  23. ^ a b 単行本, pp. 21, 100.
  24. ^ 単行本, pp. 22, 100.
  25. ^ 単行本, pp. 7, 17, 28.
  26. ^ a b c d e 『複数のヒロシマ』, p. 358.
  27. ^ 単行本, pp. 4, 18–19, 83.
  28. ^ a b 単行本, p. 83.
  29. ^ 単行本, pp. 37, 100.
  30. ^ 単行本, p. 88.
  31. ^ a b 『複数のヒロシマ』, p. 177.
  32. ^ a b c 『複数のヒロシマ』, p. 377.
  33. ^ 単行本, pp. 39, 100.
  34. ^ 単行本, pp. 43, 88.
  35. ^ 単行本, p. 58.
  36. ^ 単行本, pp. 45, 58.
  37. ^ 単行本, pp. 60, 88.
  38. ^ 単行本, p. 64.
  39. ^ a b 単行本, p. 78.
  40. ^ 『複数のヒロシマ』, pp. 178, 377.
  41. ^ 『複数のヒロシマ』, p. 178.
  42. ^ 単行本, pp. 9, 100.
  43. ^ 単行本, pp. 30, 100.
  44. ^ 単行本, p. 101, §広島市中心部地図.
  45. ^ 放送ライブラリー / 「FMシアター 夕凪の街 桜の国」(2006年8月5日・NHK-FM)”. BPCJ 公益財団法人 放送番組センター. 2022年10月11日閲覧。
  46. ^ NHK FMシアター 2006年 放送済みの作品 /『夕凪の街 桜の国』(初回放送:2006年8月5日)”. NHK 日本放送協会. 2022年9月14日閲覧。
  47. ^ CAQポップラ2006 「夕凪の街」を一人芝!
  48. ^ 広島市こども文化科学館プラネタリウム「夕凪の街桜の国」紹介ページ(2010年5月7日時点のアーカイブ
  49. ^ “麗奈ヒロイン「夕凪の街 桜の国」映画化”. 日刊スポーツ. (2006年8月8日). https://www.nikkansports.com/entertainment/cinema/p-et-tp1-20060808-72371.html 2018年5月31日閲覧。 
  50. ^ “田中麗奈ら感激!「夕凪の街 桜の国」初日立ち見の盛況に”. 映画.com. (2007年7月30日). https://eiga.com/news/20070730/12/ 2018年5月31日閲覧。 
  51. ^ “こうの史代「夕凪の街 桜の国」舞台化、脚本・演出は森岡利行”. ステージナタリー (ナターシャ). (2017年7月18日). https://natalie.mu/stage/news/241176 2018年5月20日閲覧。 
  52. ^ STAGE|STRAYDOG ストレイドッグ “STRAYDOG”Produce『夕凪の街 桜の国』(2017年)”. STRAYDOG. 2021年7月22日閲覧。
  53. ^ STAGE|STRAYDOG ストレイドッグ “STRAYDOG”Produce『夕凪の街 桜の国』(2019年)”. STRAYDOG. 2021年1月22日閲覧。
  54. ^ STAGE|STRAYDOG ストレイドッグ “STRAYDOG”Produce『夕凪の街 桜の国』(2021年)”. STRAYDOG. 2021年6月12日閲覧。
  55. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 東京公演には出演したが、大阪公演には出演していない。
  56. ^ a b c d e f 大阪公演には出演したが、東京公演には出演していない。
  57. ^ a b 大阪公演では全公演出演した。
  58. ^ “常盤貴子:ドラマ「夕凪の街 桜の国」で主演 川栄李奈も出演”. まんたんウェブ (株式会社MANTAN). (2018年3月28日). https://mantan-web.jp/article/20180327dog00m200019000c.html 2018年3月28日閲覧。 
  59. ^ NHK番組案内
  60. ^ HIRATA BEANS (2018年8月5日). “根本真陽 出演情報”. HIRATA BEANS Official Blog. ヒラタオフィス. 2018年8月9日閲覧。
  61. ^ 川栄李奈がたどるヒロシマ「夕凪の街 桜の国 2018」の現場から”. NHKドキュメンタリー. 日本放送協会. 2018年8月3日閲覧。
  62. ^ a b “こうの史代「街角花だより」「夕凪の街 桜の国」新装版、初単行本化作品も収録”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年4月20日). https://natalie.mu/comic/news/474609 2022年4月26日閲覧。 



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