分離果とは? わかりやすく解説

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分離果

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/24 18:10 UTC 版)

分離果ぶんりか: schizocarp, schizocarpic fruit)[1][2][3]とは果実の1型であり、複数室をもつ1個の雌しべに由来し、これが複数の単位に縦に分かれる果実のことである(図1)。分かれる単位は、分果ぶんか(mericarp[注 1], coccus[注 2], fruitlet)[1][2][3]とよばれる。分果が裂開して種子を放出するものはフウロソウアオギリなどに、分果が裂開しないものはカエデヤエムグラホトケノザなどに見られ、後者のみを分離果としていることもある。またセリ科に見られる分離果は、2個の分果が果軸の頂端からぶらさがっており、特に双懸果そうけんか(cremocarp)[1][2]ともよばれる。


注釈

  1. ^ シソ科の多くに見られる分果のように1/2心皮に由来する単位を、mericarp としている例もある[3]
  2. ^ 複数形は cocci[4]
  3. ^ ただしこれらの科の中には、分離果以外の果実を形成する種を含むものもある。

出典

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  2. ^ a b c d e f g h 巌佐庸, 倉谷滋, 斎藤成也 & 塚谷裕一 (編) (2013). “分離果”. 岩波 生物学辞典 第5版. 岩波書店. p. 1254. ISBN 978-4000803144 
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