出身成分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 02:59 UTC 版)
出身成分(しゅっしんせいぶん)とは、現代の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)における階層制度およびその階級を指す語である。「住民成分(じゅうみんせいぶん)」もしくは単に「成分」と呼ぶこともある。本人の出自や思想動向などによって分類された「身分」とそれにもとづく統治制度[1]。身上調書にあたる「成分調査書」によって決められる[1][注釈 1]。北朝鮮における「出身成分」は、社会生活の基本となっているうえ、西側自由主義社会では想像もつかないほど本人の運命を決定的に左右する[1][3]。
注釈
- ^ 韓国紙「統一日報」は、北朝鮮工作員による背乗り事件である辛光洙・李善実の両事件がいずれも、北送者、帰化者のみならず日本在住の朝鮮総連関係者の「身上記録」を朝鮮労働党が工作活動に便利に活用している点を指摘している[2]。朝鮮総連関係者は、組織に自叙伝というかたちで身上書を提出しなければならない[2]。したがって、韓国語(朝鮮語)を学べるという安易な考えで子女を朝鮮学校に入学させる行為は、将来、子女やその係累が北朝鮮の工作対象となる結果を招きうるものであるとして注意を呼びかけている[2]。
- ^ 1980年代に13分類を追加したとする資料もある[8]。
- ^ 李英和は、こうした金正恩の出自の弱点を補うには、純然たる「核心階層」だった父親金正日よりもずっと強力なカリスマが必要であり、それが核保有国の地位確立であろう、としている[15]。
- ^ 特に「チェポ」は「逮捕」と同音なので、帰国者はそう呼ばれるのを嫌がるという[24]。
- ^ 権力者たちは逆に、出自を問われることがほとんどなかった。社会主義思想黎明期の革命家や左翼はもともと裕福な者や上級階層の者が多く、毛沢東は地主階級、ソビエト連邦のウラジーミル・レーニンにいたっては父の代に叙された貴族出身である。
出典
- ^ a b c d e 安(1997)p.49
- ^ a b c “朝総連衰亡史(18) 労働党3号庁舎と一体となった朝総連組織”. 統一日報 (2016年10月26日). 2021年10月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 重村(2002)pp.129-131
- ^ a b c d 内藤(2001)pp.161-163
- ^ a b 『北朝鮮 その衝撃の実像』(1991)pp.82-83
- ^ a b c d 萩原(2006)pp.35-38
- ^ 謎だらけの「ナンバー2」の一世紀
- ^ 鄭(1995)pp.342-345
- ^ 「北朝鮮:「出身成分」調査、60年代に日本政府把握--明治大助教授が分析」 2006年8月4日付『毎日新聞』
- ^ a b c d 青山(2002)p.151
- ^ a b c d e f 李(2009)pp.56-59
- ^ a b c d e f g 萩原(2006)pp.38-41
- ^ a b c d e NEWSポストセブン (2012年2月17日). “北朝鮮が必死に隠す「りんご問題」 金正恩実母は在日朝鮮人”. 小学館. 2019年12月19日閲覧。
- ^ アジア調査機構2012年5月14日報告
- ^ a b c d e f g h i j k 李(2009)pp.59-61
- ^ 高, 英起. “【徹底解説】北朝鮮の身分制度「出身成分」「社会成分」「階層」”. DailyNK Japan. DailyNK Japan. 2023年1月5日閲覧。
- ^ a b 西岡力. “金正日政権下の大量餓死について-餓死者300万人の根拠”. 東京財団研究報告書2004-16 (東京財団政策研究所). オリジナルの2021年8月9日時点におけるアーカイブ。
- ^ 『北朝鮮 その衝撃の実像(1991)pp.527-531
- ^ a b これといった罪状の無い人を左遷・粛清するとき、この名目で行われることが多い。
- ^ 安(1997)p.377
- ^ a b 『北朝鮮 その衝撃の実像(1991)pp.106-109
- ^ a b c 『北朝鮮 その衝撃の実像(1991)pp.54-56
- ^ a b 太永浩(2019)pp.376-377
- ^ a b c d e f g h i j 李(1996)pp.183-186
- ^ 「帰国事業で北に渡った在日朝鮮人、最下層に分類」Archived 2008年12月5日, at the Wayback Machine. 2006年8月5日付『朝鮮日報』
- ^ a b 韓(2001)pp.157-158
- ^ a b 韓(2001)p.184
- ^ a b c d e f 安(1997)pp.178-183
- ^ 萩原(2006)pp.175-177
- ^ 高沢(1996)
- ^ a b c 安(1997)pp.40-42
- ^ 脱北者の悲痛な訴え、弁護士協会が人権白書 Archived 2008年10月13日, at the Wayback Machine. 2008年10月13日付『朝鮮日報』
- ^ “The Hidden GULAG - Exposing North Korea's Prison Camps - Prisoners' Testimonies and Satellite Photographs” (PDF). U.S. Committee for Human Rights in North Korea. p. 27 (2003年). 2011年12月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年4月17日閲覧。
- ^ 五味洋治 (2019年2月15日). “「赤い貴族たち」 チュ・ソンハ記者の平壌資本主義百科全書 その1”. コリアワールドタイムズ. 2020年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月2日閲覧。
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