チャールズ・トムソン・リーズ・ウィルソンとは? わかりやすく解説

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ウィルソン【Charles Thomson Rees Wilson】


チャールズ・トムソン・リーズ・ウィルソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/02 08:08 UTC 版)

チャールズ・トムソン・リーズ・ウィルソン(Charles Thomson Rees Wilson, CH FRS, 1869年2月14日 - 1959年11月15日[1][2]は、スコットランド気象学者物理学者である[3]。C.T.R.ウィルソンとも呼ばれる。1911年に霧箱を発明し、その功績で1927年ノーベル物理学賞を受賞した。[3]


  1. ^ スチュアートは後にキャベンディッシュ研究所でウィルソンの先生となったジョゼフ・ジョン・トムソンの先生でもあった[3]
  2. ^ 「Royal Societyは通常「王立学会」とか「王立協会」と邦訳されるが、はじまりはアマチュア科学者の団体として自主的に設立され、そのメンバーたちが「特権を持った法人組織Corporationとしての認可を国王に請願しよう」ということになり、その結果1672年7月に国王チャールス2世から勅認状Charterを得て命名した団体である[9]。この団体は国王が設立したものでもなく、国家が設立したものでもないので「王認」と訳すべきである」と科学史家の中村邦光は述べている[9]。同様の主張は科学史家・科学教育研究者の板倉聖宣が早くから唱えている[10][11]。科学史家・科学教育研究者の永田英治も同様に「国から資金をもらわないのでこの本では「王認学会」とします。」[12]としているし、自身の論文でも王認学会の訳語を用いている[13]。科学史家・科学教育研究者の松野修もその論文で王認学会としてる[14]
  3. ^ ウィルソンの仕事ぶりについては、当時の彼の同僚であったアーネスト・ラザフォードが1925年のニュージーランド訪問から帰ったときに言った次の言葉が残っている。「しかし楽しいことはすべて終わって、われわれは故国、そしてケンブリッジに帰ってきた。数ヶ月間留守にしたのち、私はまず最初に旧友のC.T.R.のところへ行ってみた。すると、彼はまだ相変わらず大きなガラスの継ぎ手を磨いていた」[15]
  4. ^ J.J.トムソンとも呼ばれている。電子の発見者で1906年にノーベル物理学賞を受けている[3]
  5. ^ 1890年頃にはアレニウスらの研究によって、原子の電離によるイオンが発見され、ヘルムホルツらはそれを受けついでいた[19]
  6. ^ たとえば綿で塵をろ過した実験では、綿を通り抜けるぐらい小さな塵粒子が残存しているいため霧ができるのではないか。蒸気噴射の場合はノズルから分離した金属の微粒子が混入した可能性はないのかなどである。[19]
  7. ^ すでに1895年12月にドイツの物理学者レントゲンがX線を発見しており、1896年1月にはヨーロッパ中に知れ渡っていた。(ヴィルヘルム・レントゲンの記事を参照のこと)
  8. ^ ウィルソンの1902年~1903年の論文タイトルを見ると[30]、ウィルソンは空気中のイオンの発生源として,雨や雪が運ぶ大気中の放射性原子を想定していたことがうかがわれる。この謎はヴィクトール・フランツ・ヘスが1912年に宇宙線を発見するまで解決しなかった。宇宙線は岩盤を貫くほどの透過力を持って地上に届いている放射線で、絶えず空気をイオン化している。ウィルソンの装置の中の空気も絶えず宇宙線がイオン化していたのである[31]
  9. ^ この実験は当時の課題であった「電子の電荷を測る」ことを目的としたものだったが、アメリカのミリカンが油滴の電荷測定の実験で電気素量を求めたため,先をこされてしまい、実を結ぶことはなかった。(ロバート・ミリカンの記事を参照のこと。)
  10. ^ ジョージ・クラーク シンプソン(George Clark Simpson:1878.9.2 - 1965.1.1)。英国の気象学者。
  1. ^ Royal Society 1960, p. 269.
  2. ^ Royal Society 1960, p. 294.
  3. ^ a b c d e f g h i j もりいずみ 2003, p. 122.
  4. ^ a b c d e f g h i 中村・小沼 1979, p. 176.
  5. ^ 中村・小沼 1979, p. 157.
  6. ^ C.T.R.Wilson 1912, p. 369.
  7. ^ C.T.R.Wilson 1912, p. 372.
  8. ^ a b c d e f 中村・小沼 1979, p. 177.
  9. ^ a b 中村邦光 2008, p. 125.
  10. ^ 板倉・永田 1984, pp. 1–2.
  11. ^ 板倉聖宣 2003, p. 54.
  12. ^ 永田英治 2004, p. 21.
  13. ^ 永田英治 1983, p. 151.
  14. ^ 松野修 2017, p. 15.
  15. ^ a b エドワード.N.C.アンドレード 1967, p. 222.
  16. ^ 中村・小沼 1979, p. 158.
  17. ^ 宮下晋吉 1975, p. 146-147.
  18. ^ 宮下晋吉 1975, p. 146.
  19. ^ a b c d e 宮下晋吉 1975, p. 148.
  20. ^ 宮下晋吉 1975, p. 147.
  21. ^ a b c 宮下晋吉 1975, p. 149.
  22. ^ 長平幸雄 1993.
  23. ^ a b 長平幸雄 1993, p. 116.
  24. ^ 長平幸雄 1993, p. 132.
  25. ^ 長平幸雄 1993, p. 133.
  26. ^ a b c d e f 宮下晋吉 1975, p. 150.
  27. ^ 關戸彌太郎 1944, p. 12.
  28. ^ 關戸彌太郎 1944, p. 22.
  29. ^ a b c 中村・小沼 1979, p. 161.
  30. ^ a b Royal Society 1960, pp. 294–295.
  31. ^ 關戸彌太郎 1944, pp. 28–30.
  32. ^ C.T.R.Wilson 1904.
  33. ^ C.T.R.Wilson 1912, p. 278.
  34. ^ 宮下晋吉 1975, p. 151.
  35. ^ a b 中村・小沼 1979, p. 162.
  36. ^ C.T.R.Wilson 1912, p. 355.
  37. ^ 中村・小沼 1979, p. 165.
  38. ^ 中村・小沼 1979, p. 174-175.
  39. ^ 中村・小沼 1979, pp. 131–177.
  40. ^ C.T.R.Wilson 1916.
  41. ^ 中谷宇吉郎 1939, p. 101.
  42. ^ 中谷宇吉郎 1939, pp. 101–102.
  43. ^ C.T.R.Wilson 1916, p. 559.
  44. ^ C.T.R.Wilson 1916, p. 561.
  45. ^ 中谷宇吉郎 1939, pp. 131–137.
  46. ^ a b 中谷宇吉郎 1939, p. 136.
  47. ^ 中谷宇吉郎 1939, p. 167.
  48. ^ a b 中谷宇吉郎 1939, pp. 27–28.
  49. ^ 中谷宇吉郎 1939, p. 28.
  50. ^ 中村・小沼 1979, p. 135.
  51. ^ エドワード.N.C.アンドレード 1967, p. 223.


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