タニストリーの効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/15 23:14 UTC 版)
タニストリーは王位継承にあたり家臣が意見を述べる場を保障した。合議が満場一致となる例はほとんどなかったものの、ひとたび選ばれれば次の王と認められた。タニストになった者は、自動的に王としての正統性を持つようになり、空位の後継者争いという不安定な状態を未然に防ぐことができた。さらに会議を行うことによって、それなりの「民意」が反映され、有力者たちは王位継承に納得した。 そのいっぽうで、王の存命中に次代が決められることにより、王の生命が脅かされる危険もあった。「現職」の王よりも次代の王のほうが望ましいと考える家臣・諸侯にとっては、現王が早死にしてくれるほうが望ましく、寿命の到来を人為的になしてしまおうとする者たちが続出した。特にスコットランド王室ではこうした事態が再三起こり、乳幼児がタニスト・王となる例が多かった。王からすれば反対派を刺激したり、強硬な政策によって臣下に反感をもたせると命が危ういことが自明の理で、したがって王権はしばしば有力諸侯・家臣の同意によって制限された。
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