交響曲第1番 (マデトヤ) 楽曲構成

交響曲第1番 (マデトヤ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/08 22:11 UTC 版)

楽曲構成

全3楽章構成となっている。マデトヤの3作の交響曲で、伝統的な4楽章構成から逸脱しているのは本作のみである。

第1楽章

Allegro 3/4拍子 ヘ長調

ソナタ形式。エリッキ・サルメンハーラは強靭な動機による第1主題が、リヒャルト・シュトラウスの『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』を想起させると述べる[7]。しかし、マデトヤはシュトラウスを取り立てて好んでいたわけではないため、これは珍しいことである[7]。「夢見るような」第2主題はメノアレグロ変ニ長調で出され、チャイコフスキーを思わせる。第1主題と比べた場合、「異なる世界、交響曲の進行を停止させるような穏やかなオアシスから」来るものである、とサルメンハーラは評している[8]

第2楽章

Lento misterioso

3つの楽章の中でテンポが最も遅く、演奏時間は最も長くなっており、「深いフィンランドの憂鬱さの芳香」を漂わせる[9]レント・ミステリオーソの第1主題はフルートのサイレンのようなモチーフが沈痛なチェロ独奏に並置され、両者のやり取りが間隔をあけて不意に放たれる金管の不吉な発声に遮られる。半ばほどまで進むと、第2主題のポコトランクィロが現れる。嬰ヘ長調でのオーボエ、クラリネット、フルートの繊細な木管同士の対話を[8]、低弦のピッツィカート、弦楽器、ホルンが下支えする。このパッセージはシベリウスの交響曲第3番の第3楽章を想起させるものであるが、決して派生から生まれたものではない。サルメンハーラによると、この主題は「完全にマデトヤ自身によるもの」だという[8]。チェロが奏していた旋律をコーラングレが受け持つという変更を加えつつ第1主題が回帰し、楽章は終わりを迎える。

第3楽章

Allegro vivace

第1楽章の2つの主題によって開始する[7]。2つ目の主題によってやはり時が止まりそうになるが、新たな主題が提示されて音楽は進行を再開する[7]。ヘ長調からハ長調へ移って頂点を築き、さらにイ長調へ至って幕を閉じる[7]


  1. ^ 一例として、終楽章が完成したのは初演予定の前日だった。
  2. ^ 『Hufvudstadsbladet』紙のカール・ヴァゼニウスフィンランド語版などがその一例である。
  1. ^ Pulliainen (2000c), p. 4
  2. ^ Pulliainen (2000c), p. 5
  3. ^ Pulliainen (2000b), p. 5
  4. ^ a b Korhonen (2013a), p. 4
  5. ^ Tawaststjerna (1997), p. 140
  6. ^ a b Tawaststjerna (1997), p. 81
  7. ^ a b c d e Stevenson, Joseph. 交響曲第1番 - オールミュージック. 2022年12月4日閲覧。
  8. ^ a b c Salmenhaara (1992b), p. 5
  9. ^ Korhonen (2013a), p. 5
  10. ^ Godell (2001), p. 126–27
  11. ^ Scott (2014), p. 347–48


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