アーラシュ (イラン神話) 近現代

アーラシュ (イラン神話)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/13 05:00 UTC 版)

近現代

詩人の Siavash Kasraie は、1959年に『射手のアーラシュ (Āraš-e kamāngīr)』という長い詩を書いた[9]。この叙事詩は、古代ペルシアの神話に基き、アーラシュが彼の国を外敵の支配から解放するために行った英雄的自己犠牲を描いている[10] 。 アーラシュの物語は宮廷叙事詩やロマンスや人気のある文学では詳細には現れておらず、時折ある短い言及を除いて、Ehsan Yarshaterの『Dāstānhā-ye Īrān-e Bāstān』で復活するまで、ペルシャ文学の世界から失われていた[11]。この復活によりアーラシュの物語は、作家や詩人の間で共感を呼び、すぐに取り上げられ、その後いくつかの作品の主題となった。初めは、 1959年に『Āraš-e tīr-andāz』(1978 ~ 79 年でのタイトルは『Āraš šīvā-tīr』)と長編叙事詩『Āsraš-e kamāngīr』の2作品が登場、続いて1963年の『Āraš dar qalamrow-e tardīd』、1965年の『Ḥamāsa-ye Āraš』、最後に1977年、バフラーム・ベイザーイーبهرام_بیضایی)の演劇作品『Āraš』が登場する。これらのうちの4つの作品はアフラースィヤーブの圧政からイランを救った救世主としてのアーラシュが描かれている。Bahrām Beyżāīの『Āraš』は他の物語とは違い英雄譚ではない。実際、ここでのアーラシュは射手ではなく、弓を一度も引いたことのない、ただの馬の世話係である。武器も持ったことがない一般人が王の命令に抗えず矢を放つことになるという悲壮感漂う物語となっている。このBeyżāīの『Āraš』は世界中で何度も上演され、2013年7月にカリフォルニア州スタンフォード大学のアネンバーグ オーディトリアムでも上演されたとされる。 また、1961年にテヘランでĀrašと呼ばれる文芸雑誌が創刊され、それは約8年間続いた。 19世紀以降の論文など[12]を除き、「アーラシェ・カマーンギール」という呼び方は、叙事詩『Āsraš-e kamāngīr』以外では確認出来ない。


注釈

  1. ^ -e は Āraŝ(アーラシュ)が Kamāngīr(射手)に修飾されることを示すもので、発音上は Āraŝ に短い「エ」が付加される(エザーフェを参照)。「~の」に相当する。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i Tafażżolī 1987, p. 266.
  2. ^ Pingree 2011.
  3. ^ a b c 野田 2002, pp. 165–166.
  4. ^ a b c Peterson 1997.
  5. ^ Weber & Riedel 2012.
  6. ^ [1], Asiatic Papers
  7. ^ 実際のシャー・ナーメの原文「O great, brave princes, warriors of Chin! Regard ye not your kindred and allies, Nor yet the wounded groaning 'neath the feet Of one who is as a consuming fire, With Sam's mace and the arrows of Arish, Whose flames e'en now are burning up my host, And scorching all my kingdom? Who is there Among you all, one puissant of hand, To go against yon maddened Elephant ? Whoever will attempt yon warrior-slayer, And hurl him from his steed, upon that man Will I bestow a treasury full of gold, And raise his helmet higher than the sky."」(Arishはアーラシュの別称)
  8. ^ 野田 1999.
  9. ^ ʿĀbedi 2009.
  10. ^ Siavosh Kasrai, Iranian Poet, Caroun.com, Iranian literature.
  11. ^ Foundation, Encyclopaedia Iranica. “Welcome to Encyclopaedia Iranica” (英語). iranicaonline.org. 2021年5月30日閲覧。
  12. ^ Modi, Jivanji Jamshedji; Asiatic Society of Bombay (1905-). Asiatic papers; papers read before the Bombay branch of the Royal Asiatic Society. Robarts - University of Toronto. Bombay British India Press. https://archive.org/details/asiaticpaperspap03modiuoft 





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