まとめサイト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/04 02:18 UTC 版)
インターネット利用者側の対策
Googleは2011年、コンテンツファーム対策の一環として、Google Chrome上での検索結果から、個別のユーザーが不適切と考える検索結果をドメイン単位で排除できる拡張機能「Personal Blocklist(by Google)」をリリースした[259][260]。
この機能はPC上のGoogle Chromeだけで動作する。スマートフォン版は2017年現在もリリースされていない。
また「ノイズレスサーチ」という検索エンジンも登場している。ノイズレスサーチはGoogleカスタム検索であり、検索結果からまとめサイトやECサイトやSNSなどを除外するもので、「-site:」より精度が良い[261]。
事件
基本的には刑事・民事事件を取り扱うが社会問題になっている事件も扱う。
芸能人のデマ
中傷デマ
俳優の西田敏行の中傷デマを流し事務所の業務を妨害したとして、警視庁が、偽計業務妨害容疑で悪質まとめサイトの管理人男女3人を書類送検した。運営者は「閲覧数を伸ばし、広告収入を増やす目的で中傷デマ記事を作った」と認めている[262]。また広告収入で月50円から60万円を得ていた40代の女は、「興味を引くために載せた」、60代の男は「僕だけでなくみんなやっている」と話している[263]。
死去デマ
2019年6月18日、ジャニーズ事務所の社長・ジャニー喜多川の救急搬送が報じられた数日後、まとめサイト『Buzz Plus News』がスクープ扱いで「【訃報】ジャニー喜多川社長が死去 / ジャニーズ事務所が近日発表へ」という記事を公開。無根拠の情報が拡散されたため、ジャニーズ事務所は7月1日、クモ膜下出血で入院中と公式発表を行う事態となった[264]。これにより、同記事を引用していた掲示板「ガールズちゃんねる」の運営が謝罪するといった影響もあったが、情報元の『Buzz Plus News』は謝罪もなく記事も削除していない[265]。
ネタバレ
2017年9月6日、漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』などのネタバレを掲載していたサイト『ワンワンピース速報』『ジャンプネタバレ速報』の管理人4人が、著作権法違反容疑で逮捕。これらのサイトは正規の発売日より早く売り出された漫画雑誌の画像をサイトに無断で掲載し、広告収入として沖縄県・鳥取県在住の男女3人は7500万円、秋田県在住の男は3年間で3億500万円をそれぞれ得ていた[266]。
ヘイトスピーチ・中傷まとめ
フリーライターの李信恵が、まとめサイト『保守速報』に差別的な中傷まとめを掲載されて名誉毀損されたとして、『保守速報』の管理人を訴えたヘイトスピーチ裁判で、大阪地方裁判所は200万円の損害賠償を命じる判決を下した。
『保守速報』側は「情報を転載してまとめただけで違法性はない」と主張していたが、判決で森田浩美裁判長は「管理人によって表題の作成や情報量の圧縮、文字の強調によって、内容を効果的に把握できるようになった」と指摘した。そして引用元とは独立して、保守速報自体が日本国憲法第13条が認める人格権を侵害した、と結論づけた[267]。過去には中傷記事を匿名掲示板に転載して名誉毀損に認定された例はあったが、このようなまとめや転載で実際に損害賠償請求が認められたのは『保守速報』への裁判が初の事例となった[163]。
『保守速報』への賠償命令判決は、まとめサイトであっても責任は免れない、責任が重くなることもあるということを明らかにしたため、画期的な判決であると評価された[268]。
『保守速報』は判決に対して控訴をしていたが、二審の大阪高等裁判所でも敗訴した。原告弁護団は「その悪質性について、非常に厳しく断罪をした」と評価をしている[269]。最高裁判所第三小法廷は、被告の上告を棄却し、200万円の損害賠償金の支払いを命じる大阪高裁判決が確定した[270]。
大阪市は全国初のヘイトスピーチ条例を施行。まとめサイトへの意見書が2件提出されたため、ヘイトスピーチ審査会で「まとめサイト」の記事はヘイトスピーチに当たるかどうかを検討。1件は記事自体が在日韓国人・朝鮮人に対する一層の差別や迫害・暴力を煽っているとして認定。もう1件は表現の自由と照らし合わせコメント欄も判断材料に使い検討した結果、差別的なコメントの投稿を煽っておりヘイトスピーチに当たると認定した。なおヘイトスピーチ審査会ではサイト側にも連絡と取ったが氏名や住所などの回答はなかった。ヘイトスピーチ認定された後は、プロバイダー側に削除を要請をする[271]。ヘイトスピーチ抑止条例では有識者でつくる審査会と市がヘイトスピーチと認定した場合ヘイトスピーチを行った個人や団体の名前を公表されることになっており『保守速報』の管理人の名前「栗田香」を公表した[272]。
海賊版サイト
違法な海賊版サイトが社会問題となっているが、その中でも「漫画村」が一番問題視されている。以前から「漫画村」にはまとめサイト(はちま等の大手も含む)のリンクが貼られ暇つぶしのサイトとして紹介されており怪しまれていたが、運営者が2chまとめサイトや2chまとめサイトのリンク集であるアンテナを運営していたことが発覚した。そしてNHKが「漫画村」の取材を進めていくと「裏広告」があることがわかった。サイトにはプログラムが仕込まれており閲覧者にはわからないように、別サイトが同時に立ち上がる仕組みでこの中に広告が掲載されており、知らぬ間に広告閲覧をさせられているという。その別サイトがまとめサイトであり50以上存在している。セキュリティー企業の「トレンドマイクロ」によると「漫画村」の運営者が別サイト(まとめサイト)のアクセス数を増やす見返りとして広告収入の一部を報酬として得ていた可能性があるとしている[273]。
無断転載まとめサイト
まとめサイトの無断転載が社会問題になっており、その一つ「NAVERまとめ」に対して報道7社(朝日、産経、日経、毎日、読売、共同、時事)の著作権担当者が連携してNAVERまとめ運営に無断転載の削除と再発防止を要求。そして34万件の無断転載が見つかり削除された。まだ無断転載のまとめサイトはたくさんあるため今後も法的手段も含めて適切に対応していくという[274]。
無断転載まとめサイトへの訴訟
漫画家、イラストレーターの「ナカシマ723」が2ちゃんねるまとめサイトなど14サイトにイラストを無断転載されたとして使用料を請求したところ、6サイトがすぐ支払いに応じ、「ガールズVIPまとめ」「VIPPER速報」等の8サイトが支払いに応じなかった。そのためナカシマ723は8サイトを訴え、4サイトとは示談が成立、残りの4サイトは反応がなかったため裁判となった。「ガールズVIPまとめ」(運営はスタークラウン)との裁判では、東京地方裁判所は損害賠償金などを含む約30万円の支払いを命じた「VIPPER速報」(運営はデザート)は被告欠席により請求が認められ、強制執行(差し押さえ)で回収した[229]。
アダルト系「ディープフェイク」まとめサイト
5人のまとめサイト管理者が、「ディープフェイク」を使って女性タレントの顔写真をアダルトビデオに重ねた動画をまとめサイトで紹介した事件で、この5人と大学生とシステムエンジニアの男2人が、名誉毀損や著作権法違反の疑いで警視庁などに逮捕された[275]。
アダルト系リーチサイトへ警告
アダルトビデオ業界団体ではアダルトビデオ違法動画紹介まとめサイトに長年悩まされておりメーカーが個別に対応していたが、検知するのも難しくなってきている。そのため業界団体が4000件のまとめサイトについて警告文送付。悪質なサイトには損害賠償請求もする[276]。
アフィリエイト広告
まとめサイトはアフィリエイト広告を貼って広告収入を得ており、アクセスを増やすために内容が過激になっている。その一つ、人種差別的な内容を載せる「保守速報」が問題視されている中、同サイトにセイコーエプソンやカタログハウスの広告が掲載されていることを発見したユーザーが同社に問い合わせたところ、問題のあるサイトと分かったため広告掲載を取り下げた。
今まで広告主が気付かなかった理由は広告システムの問題である。昔は自社が広告の出稿先を選ぶ純広告が主流となっていたが、今は運用型広告が主流となっており、運用型広告は広告代理店を通して行われており、掲載媒体は広告別に自動で決まるためコントロールが難しいデメリットがあり、結果的に内容に問題があるまとめサイトにも広告掲載されていたため、即座に広告代理店に掲載停止を申した。この流れを受け「はちま起稿」等の内容に問題のあるまとめサイトに掲載されている広告元にもユーザーが続々と問い合わせた。その結果、企業の方針に反するとして日本HPなど広告停止が相次いでいる[277]。
トレンドブログのデマ
トレンドブログはまとめサイトの一種である。ネット検索されそうな、話題のキーワードを含めながら記事化することでPVを集めて広告収入を得る。「犯人は?顔写真は?」等のタイトルが特徴。記事化の際は取材もしておらず、ネットの情報やテレビでの報道内容をそのまま載せるため、デマも多い。SEOにも強いため、検索結果の1ページ目に表示されやすい。
あおり運転殴打事件の容疑者の交際相手デマ
高速道路であおり運転をし相手の男性を殴って逮捕された事件。同乗していた容疑者の交際相手は指名手配になっていなかったため、名前などが公表されずにいた。そのため指名手配で名前や顔が公表された容疑者のSNSから容疑者の交際相手を特定しようとする者がおり、服装などが似ていることや容疑者がSNSをフォローしていた等の理由から容疑者の交際相手だと無関係の女性が事実無根のデマを拡散された。
デマを拡散された女性は弁護士に相談しすぐに否定したが中傷が続いたため、発信者や拡散された情報を元にトレンドブログで記事化した運営者、SNSのリツイートで拡散した人たちに対する法的措置すると記者会見をした[278]。
芸能事務所の業界団体もまとめサイトに対して声明
芸能事務所で構成される業界団体「日本音楽事業者協会」(音事協)は、声明文で「ディープフェイク」をはじめ、画像の無断転載によるパブリシティ権侵害や人格権侵害によるまとめ行為など、違法なまとめ行為が横行していると指摘。またまとめサイトにおける「5つの問題点」として例示した(ファクトチェックがない、偏った内容の情報ばかりを集める恣意的な編集、タレントの卒業アルバムやプライベート写真などの無断転載違法コンテンツ、他者が取材した記事等の転載などフリーライド、広告収益が目的化)[279]。
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- ^ 『デジタルガレージと講談社、女性誌のコンテンツとAI技術を組み合わせたデジタルメディアを共同開発〜出版社が保有する良質なコンテンツストックから作り出すポストキュレーションメディア〜 [Digital Garage and Kodansha have jointly developed a digital media platform by combining content for women's magazines with AI technology - Post curation tool that creates content from the publisher’s stock of high-quality content]』(PDF)(プレスリリース)株式会社デジタルガレージ、2017年1月26日 。2017年6月5日閲覧。"株式会社デジタルガレージと株式会社講談社は、女性誌の良質なコンテンツとソーシャルメディアを有機的に組み合わせた、まったく新しいコンピレーションメディアの開発に着手しました。"。
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