流動性知能と結晶性知能
流動性知能と結晶性知能(りゅうどうせいちのうとけっしょうせいちのう、英: Fluid and crystallized intelligence)(gf)(gc)は、1963年に心理学者のレイモンド・キャッテルによって導入された概念[1][2]。
キャッテルの心理測定学に基づく理論によると、一般知能(g)はgfとgcに細分化される。流動性知能は、新しい推論問題を解決する能力であり、理解力、問題解決能力、学習能力などの重要なスキルと相関がある[3]。一方、結晶性知能は、以前に学習した一次関係の抽象概念を適用することによって、二次関係の抽象概念を演繹する能力を含む[4]。
歴史
流動性知能と結晶性知能は、もともとレイモンド・キャッテルが概念化した構成概念である[1]。流動性知能と結晶性知能の概念は、キャッテルとその元学生のジョン・L・ホーンによってさらに発展された[5][6][2]。ほとんどの知能検査は主に子供と若年成人に焦点を当てていた。キャッテルとヘッブは、個人の加齢に伴って知能がどのように変化し発達するかを知りたかった。彼らは、ある記憶や概念が残り、ある記憶や概念が減少することに気づいたとき、2つのタイプの知能を作る必要性を感じた[7]。
流動性知能と結晶性知能の比較
流動性知能(gf)は、事前の学習(正規・非正規の教育など)や文化化に最小限しか依存しない、推論やその他の精神活動の基本的なプロセスを含む。ホーンは、それが形のないものであり、さまざまな認知活動に「流れ込む」ことができると指摘している[8]。流動性推論能力を測定する課題では、抽象的な推論問題を解決する能力が必要とされる。流動性知能を測定する課題の例としては、図形分類、図形分析、数字と文字の系列、マトリックス、対連合などがある[6]。
結晶性知能(gc)は、学習した手順や知識を含む。それは経験と文化化の影響を反映している。ホーンは、結晶性能力は「経験から沈殿したもの」であり、文化の知性と結びついた流動性能力の過去の適用の結果であると指摘している[8]。結晶性知能を測定する課題の例としては、語彙、一般的な情報、抽象的な単語の類推、言語の機構などがある[6]。
問題解決における流動性能力と結晶性能力の適用例
ホーン[8]は、問題解決における結晶性アプローチと流動性アプローチの例を次のように示した。彼が説明した問題は次のとおりである。
「ある病院に100人の患者がいる。一部の患者(偶数)は片足しかないが靴を履いている。残りの患者のうち 半分は裸足である。どれだけの靴が履かれているか?」
この問題を解決するための結晶性アプローチでは、高校レベルの代数を適用することになる。代数は文化的な産物である。
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