Datadog
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/08/21 23:00 UTC 版)
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種類
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公開会社 |
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| 市場情報 |
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| 業種 | ソフトウェア |
| 設立 | 2010年6月 |
| 創業者 |
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| 本社 |
、
アメリカ合衆国
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事業地域
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全世界 |
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主要人物
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| サービス | システム監視 |
| 売上高 | 34億2716万ドル (2025年12月期) |
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営業利益
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△4437万ドル (2025年12月期) |
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利益
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1億774万ドル (2025年12月期) |
| 総資産 | 66億4384万ドル (2025年12月) |
| 純資産 | 37億3221万ドル (2025年12月) |
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従業員数
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約8,100人 (2025年12月) |
| ウェブサイト | www |
| 脚注 / 出典 [1] |
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Datadog, Inc.(データドッグ)は、クラウド環境の監視および分析を行うSaaS型のサービスを提供するアメリカ合衆国の企業である。ニューヨーク市に本社を置き、サーバー、データベース、アプリケーション、ネットワーク、各種クラウドサービスの稼働状況を収集・可視化する製品群を、サブスクリプション方式で提供している[1]。同社はこの分野をオブザーバビリティ (observability)と呼んでいる[1]。ガートナーはオブザーバビリティを、ソフトウェアやシステムがその出力に基づいて理解可能であり、挙動に関する問いに答えられる性質と定義している[2]。株式はNASDAQに上場している(ティッカーシンボル: DDOG)。
2010年にOlivier PomelとAlexis Lê-Quôcが設立し、2019年9月に株式を公開した。2025年12月期の売上高は34億2716万ドル、同年12月末時点の従業員数は約8,100人で、35か国で事業を展開している[1]。2025年7月にはS&P 500の構成銘柄に採用された[3]。
沿革
創業
Datadogは2010年6月にデラウェア州で法人として設立された(設立州はのちに変更された。後述)[4]。創業者はOlivier PomelとAlexis Lê-Quôcの2名で、いずれもエコール・サントラル・パリで計算機科学の修士号を取得している[5][4]。
2人は創業前、教育分野のSaaS企業Wireless Generation で同僚だった。Pomelは2002年から技術担当バイスプレジデントを務め、Lê-Quôcは2004年3月から2010年12月まで在籍してLive Operationsのディレクターを務めた。Wireless Generationは2010年にニューズ・コーポレーションに買収された[4]。報道によれば、ニューズ社は同社の9割の持分を約3億6000万ドルで取得した[6]。両名はそれ以前にもIBMの研究部門などで技術職に就いていた[4]。
社名の由来について、Pomelは2025年12月に出演したポッドキャストで、自身も共同創業者も犬を飼ったことはないと述べたうえで、前職ではサーバーに動物の名を付ける慣習があり、本番用のサーバーには犬、ステージング用には鳥、開発用には猫の名を用いていたと説明している。本番のデータベース群は「datadog」と呼ばれ、そのうち「datadog 17」は毎年容量が倍増していくOracleのデータベースで、全員がその扱いを恐れていたという。Pomelはこれを自分たちが後に残そうとしていた古い世界を表す名前だったとし、創業に取りかかった際の呼び名が「datadog 17」であったこと、この名称が記憶に残りやすかったため数字を落として社名にしたことを述べている。あわせて、デザイナーに子犬のロゴを作ってもらったとしている[7]。
株式公開時の目論見書によれば、同社は開発チームと運用チームの間の隔たりを解消することを創業の目標として掲げ、2010年に散在するデータを統合する基盤の構築に着手し、2012年に最初の用途としてインフラストラクチャ監視の提供を開始した[4]。Pomelは設立以来最高経営責任者、Lê-Quôcは最高技術責任者を務めており、両名は2010年6月から取締役でもある[4][1]。
事業拡大
2012年から2016年にかけて、Index Ventures、OpenView Venture Partners、ICONIQ Capitalなどのベンチャーキャピタルから4回にわたり出資を受け、事業を拡大した(詳細は後述)。支援対象はAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、Red Hat OpenShift、OpenStackといった複数のクラウド事業者へ広がった[8]。2015年1月時点では、約100種類の技術に対応していた[8]。
2015年10月7日、パリのシリコン・サンティエ地区に研究開発拠点となるフランス子会社のオフィスを開設した。同社の発表によれば、当時のマンハッタン本社の従業員は100名を超え、法人顧客は1,500社を超えていた[5]。フランス法人のDatadog France SASは2015年8月に設立された。フランス政府の企業登記によれば、2026年8月時点で登記されている事業所はパリのほか、ナント、リヨン、モンペリエ、ボルドー、グルノーブル、およびソフィア・アンティポリスがあるヴァルボンヌにあり、パリ以外の拠点はいずれも2025年以降に開設されている[9]。2016年にはデロイトの「Technology Fast 500」で、過去5年間の売上成長率10,303パーセントにより北米9位に位置づけられた[10]。同年、ニューヨーク市の本社をニューヨーク・タイムズ・ビルディング(620エイスアベニュー)に移した[4]。
製品面では、2016年9月にアプリケーションパフォーマンス監視(APM)のベータ版を発表し、2017年2月15日に一般提供を開始した[11]。2017年9月にはログ管理のLogmatic.ioを買収し、インフラの指標、APM、ログ管理を同一の基盤で扱うようになった[12]。2018年2月には監視エージェントをGoで書き直したメジャーバージョン6.0.0を公開した[13]。
2018年2月には年次カンファレンス「DASH」の開催を発表し、第1回は同年7月11日から12日にかけてニューヨーク市のSpring Studiosで開かれた[14]。DASHはその後も毎年開催され、2026年6月に開かれた回は同社によれば第9回にあたる[15]。
株式公開以降
2019年9月19日、クラスA普通株式をNASDAQに上場した[4][16]。同年11月には日本法人を設立した(詳細は後述)。
2020年代には製品領域をセキュリティおよびAI関連へ広げ、2020年のCloud SIEM、2021年のクラウドセキュリティ関連製品、2024年のLLM Observabilityなどを投入した[1]。同時に企業買収を重ね(詳細は後述)、従業員数は2025年12月末で約8,100人、顧客数は約3万2700社に達した[1]。損益は2023年12月期に初めて通期の純利益を計上した[1]。
同社は自社の位置づけの記述を段階的に改めており、年次報告書の冒頭の一文は2023年12月期および2024年12月期の「クラウドアプリケーション向けのオブザーバビリティおよびセキュリティのプラットフォーム」から、2025年12月期には「AIを活用したクラウドアプリケーション向けのオブザーバビリティおよびセキュリティのプラットフォーム」に改められた[1][17]。2026年3月期以降の四半期決算の発表では、会社紹介の文が「AI時代のオブザーバビリティおよびセキュリティのプラットフォーム」に差し替えられている[18]。
2025年7月にはS&P 500の構成銘柄に採用された[3]。2026年5月に発表した2026年12月期第1四半期決算では、四半期の売上高が初めて10億ドルを超えた[18]。
2026年4月、法人設立州をデラウェア州からネバダ州へ変更した。同社の届出によれば、これに伴う事業、雇用、経営陣、本社所在地の変更はない[19][20]。
買収
同社は2015年以降、監視・セキュリティ・開発者向けツールの各領域で企業買収を重ねてきた。2025年12月期の年次報告書(Form 10-K)によれば、買収契約の締結件数は2023年が3件、2024年が1件、2025年が3件であり、2025年の3件の取得対価は総額1億7840万ドルであった。同報告書は各買収先の社名を記載していない[1]。
| 時期 | 買収先 | 事業内容 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2015年2月 | Mortar Data | 大規模データを扱うアプリケーションとデータパイプラインを構築・運用する基盤。ニューヨーク拠点 | [21] |
| 2017年9月 | Logmatic.io | ログと機械イベントを扱うデータプラットフォーム。パリ拠点で2014年設立 | [22][12] |
| 2019年2月 | Madumbo | 追加のコードを書かずにWebアプリケーションを検証するテスト基盤。パリ拠点 | [23] |
| 2020年8月 | Undefined Labs | 開発者向けのテストと監視。継続的インテグレーションおよび継続的デリバリー(CI/CD)の工程を監視対象に広げるもの | [24] |
| 2021年2月(契約締結) 2021年4月(完了) |
Sqreen | アプリケーション層への攻撃を検知・遮断するSaaS型のセキュリティ基盤 | [25][26] |
| 2021年2月 | Timber Technologies | ログなどの監視データを収集・加工して任意の宛先へ転送するデータパイプライン「Vector」の開発元 | [27] |
| 2021年11月 | Ozcode | 本番環境で動作するアプリケーションをコードレベルで調査するライブデバッグ | [28] |
| 2022年2月 | CoScreen | 複数の利用者が同時にアプリケーションを共有・操作できる技術チーム向けの共同作業ツール | [29] |
| 2022年5月(契約締結) | Hdiv Security | 実行中のアプリケーションの挙動を監視し、既知および未知の脆弱性を検出するセキュリティ試験ソフトウェア | [30] |
| 2022年8月 | Seekret | 環境をまたいでAPIを自動的に発見・管理する仕組み | [31] |
| 2022年11月 | Cloudcraft | Amazon Web Services上のサービス間の関係を解析し、システム構成図を自動生成・更新する可視化サービス | [32] |
| 2023年4月 | Codiga | 開発の各段階でコードを検査する静的コード解析 | [33] |
| 2023年11月 | Actiondesk | 稼働中のデータソースに接続するクラウド型の表計算アプリケーション | [34] |
| 2025年1月 | Quickwit | ログ向けのオープンソースの分散検索エンジン。利用者自身のクラウド環境やオンプレミスで運用できる | [35][36] |
| 2025年4月 | Metaplane | データの品質を監視するプラットフォーム。機械学習による監視と列単位のデータ来歴の追跡を行う。2020年設立、ボストン拠点 | [37][38] |
| 2025年5月 | Eppo | 既存のデータウェアハウスに接続する実験基盤とフィーチャーフラグ管理。サンフランシスコ拠点 | [39][40] |
| 2026年1月 | Propolis | 利用者の目的と成果を起点にテストを行う自律型の品質保証テスト基盤 | [41] |
| 2026年6月 | Adaptive ML | 強化学習運用(reinforcement learning operations、RLOps)のプラットフォームを開発する企業。買収後はDatadog AI Researchに加わるとされた | [42] |
MetaplaneとEppoは買収後もそれぞれ「Metaplane by Datadog」「Eppo by Datadog」の名称で既存顧客への提供が続けられた[37][38][39]。両件の買収額は公表されていないが、Eppoについては2億2000万ドルとする報道があるとTechCrunchは伝えている[38][40]。
製品
2025年12月期の年次報告書(Form 10-K)によれば、同社の製品群はモジュール構成をとり、インフラストラクチャ監視、アプリケーションパフォーマンス監視(application performance monitoring、APM)、ログ管理、ユーザー体験監視、ネットワーク性能監視、クラウドおよびアプリケーションのセキュリティ、開発者向けオブザーバビリティ、サービス管理、製品分析の各分野からなる。ダッシュボード、アラート、ワークフロー自動化などの機能は製品間で共有される。同報告書は、多くの製品が単独で機能するため、利用者は機能を段階的に追加することも複数をまとめて導入することもできると説明している[1]。
各製品は、監視対象のソフトウェアやクラウドサービスと接続してデータを取得するインテグレーションを通じて情報を集める。同社は2025年10月6日にインテグレーションが1,000件に達したと発表し[43]、2025年12月期の年次報告書でも1,000を超えるインテグレーションを備えるとしている[1]。
製品の投入時期
年次報告書は、主な製品の投入年を次のように挙げている[1]。
- 2017年 - APM
- 2018年 - ログ管理 (Log Management)
- 2019年 - デジタル体験監視 (Digital Experience Monitoring)、ネットワーク性能監視 (Network Performance Monitoring)
- 2020年 - Cloud SIEM、Continuous Profiler、Incident Management
- 2021年 - Cloud Security Posture Management、Cloud Workload Security、Database Monitoring、Sensitive Data Scanner
- 2022年 - Application Security Management、Cloud Security Management、Audit Trail、Observability Pipelines、Cloud Cost Management、Universal Service Monitoring
- 2023年 - Application Vulnerability Management、Data Streams Monitoring、Workflow Automation
- 2024年 - Event Management、LLM Observability
- 2025年 - OnCall、Product Analytics、Bits AI SRE
この一覧に含まれない製品もある。2021年11月19日には5つの製品の提供開始が発表された。内訳は、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器を対象とするNetwork Device Monitoring、パートナーが開発したアプリケーションを同社のプラットフォーム内で動作させるDatadog Apps、複数の継続的インテグレーション(continuous integration、CI)サービスのパイプラインのデータを1つの画面に集約するCI Visibility、利用者の画面操作を動画再生に近い形で再現するSession Replay、15か月分以上のログを検索できるOnline Archivesである[44]。また2022年11月1日には、画面操作の記録によるテスト作成やテストの並列実行を行うContinuous Testingの一般提供が開始された[45]。
監視とオブザーバビリティ
年次報告書によれば、インフラストラクチャ監視はパブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッド環境のほか、コンテナやサーバーレスの構成を対象にITインフラの状態をリアルタイムに監視する製品であり、収集したデータを1つの保存先にまとめて相互に関連付ける。APMは、マイクロサービス、ホスト、コンテナ、サーバーレス関数をまたぐコードレベルの分散トレーシングを行う。ログ管理はログを取り込んでインデックスを作成し、検索・可視化・アラートを提供する。同報告書は、ログ管理に関連する仕組みとして、ログの取り込みと処理にかかる費用を切り離すLogging Without Limitsと、保存とクエリを分離して保持期間とクエリ処理量を個別に調整できるFlex Logsを挙げている[1]。Flex Logsは2023年8月に発表されたログ管理の階層である[46]。
利用者側から見た挙動を扱う製品として、シミュレートしたリクエストによってアプリケーションおよびAPIエンドポイントを監視するSynthetics、実際の利用者が体験したWebブラウザおよびモバイルアプリケーションの性能を分析・可視化するReal User Monitoring(RUM)、製品や利用者に関するデータを横断して集計するProduct Analyticsがある。このほか、常時稼働で実行時の性能を測定するContinuous Profiler、データベースのクエリの指標と実行計画を一覧するDatabase Monitoring、エラーを類似のものごとにまとめるError Trackingがある。データ処理を対象とする製品としては、イベント駆動のアプリケーション向けのData Streams Monitoringと、Apache SparkやDatabricksのジョブ向けのData Jobs Monitoringがある。ネットワーク関連では、トラフィックを対象とするCloud Network Monitoringと、ネットワーク機器を対象とするNetwork Device Monitoringが提供されている[1]。Database Monitoringは2021年10月に提供が開始され、同社の発表では、低速なクエリに起因する性能上の問題をエンジニアやデータベース管理者が特定するための情報を提供するとされる[47]。
Observability Pipelinesは、メトリクス、ログ、トレースを任意の送信元から任意の送信先へ収集・変換・転送するための製品で、2022年6月16日に一般提供が開始された。提供開始時点で80以上の連携機能を備え、費用の発生箇所や使用中のツール、データへのアクセス権限を1つの画面で確認できるとされた[48]。Cloud Cost Managementは、クラウドの利用料を監視データと同じ画面で扱う製品で、同社の発表によれば2022年11月に一般提供が開始され、利用料をアプリケーション、サービス、チームごとに配分し、支出の変化とその要因を追跡する[49]。
2025年10月には、誰でも利用できる無料のWebダッシュボードUpdogを公開した。Amazon Web Services(AWS)、Cloudflare、OpenAI、Slackなど各種SaaSのAPIの稼働状況を表示するもので、同社は、テレメトリの細かなパターンを捉えることで障害をより早く検知できると述べ、Amazon DynamoDBの性能低下をAWS自身の稼働状況ページの更新より32分早く示した例を挙げている[50]。
セキュリティ
年次報告書によれば、セキュリティ分野の製品には次のものがある。Cloud Securityは、エージェントを導入せずに利用者のインフラを走査して脆弱性、設定の誤り、権限に関するリスク、コンプライアンス違反を検出する。Code Securityは実行時の状況をもとに脆弱性の対処順序を決め、Cloud SIEMはクラウド環境における脅威の検知と調査およびセキュリティログの保存・分析を扱う。脅威管理は、ホストとコンテナのワークロードをカーネル内で分析するWorkload ProtectionとAPIを対象とするApp & API Protectionからなる。Sensitive Data Scannerは機密データを検出・分類し伏せ字化(redaction)する。同報告書は、Sensitive Data ScannerがGDPR、HIPAA、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)といった規制への対応を支援するとしている[1]。プラットフォーム上の変更を記録するAudit Trailは2022年に投入された[1]。
AI関連の製品
LLM Observabilityは、大規模言語モデル(large language model、LLM)を用いた処理の連鎖を追跡し、各段階の入出力、エラー、トークン使用量、待ち時間を記録する製品で、2024年6月26日に一般提供が開始された[1][51]。2025年には、年次報告書がトラブルシューティングを担うことを目的とした常時稼働のAIエージェントと位置づけるBits AI SREを投入した。同報告書は、Bits AI SREが数千件の実際のインシデントに対して開発されたものであり、根本原因の特定とサービス復旧の短縮を支援するとしている[1]。
2026年3月10日には、AIエージェントに対して本番環境のログ、メトリクス、トレースへの参照手段を提供するMCP Serverの一般提供が始まった。連携先として想定されるコーディング支援エージェントにはCodex、Claude Code、Cursorなどが挙げられている[52]。2026年4月には、GPUインスタンスの使用状況や費用、部門・利用者ごとの消費状況を1つの画面で扱うGPU Monitoringの提供が始まった。停滞しているワークロードを、それを動かしているGPU、Pod、プロセスに関連付ける機能を持つ。発表日は米国時間で4月22日、日本国内向けの発表は4月24日である[53][54]。
2026年6月に開催した年次カンファレンスDASHでは、同社の発表によれば100を超える新機能および機能強化を公表した[55]。この中には、同社のプラットフォームを利用者自身の環境に配置し、利用者のクラウドのオブジェクトストレージ上でデータを処理・インデックス化するBring Your Own Cloud(BYOC)が含まれる。またAI関連では、利用者が独自のAIエージェントを構築するBits Agent Builder、プロンプトインジェクションやデータの流出からAIアプリケーションを守るAI Guard、Claude Code、Cursor、GitHub Copilotなどの開発支援エージェントを一元的に監視するAgent Consoleが発表された[55][56]。ドイツのIT系媒体heise onlineの報道は、同社がBits AI SREを個々のLLMの上位に立つモデル非依存の制御層と位置づけており、利用している基盤モデルの名称を明示していないと指摘している[56]。
同社は研究開発の一環としてAIの研究組織を設けている。2025年12月期の年次報告書はこれをAI Research Labと呼び、新たな手法の開発を担うとしている。同報告書は、研究開発部門の技術者にAIの活用とAI機能の開発を課しているとも記している。この組織への言及は2024年12月期の年次報告書にはない[1][17]。2025年8月7日に発表した同年第2四半期の決算では、この研究組織による最初の2件の成果としてTotoとBOOMを挙げている。同社の説明によれば、Totoは同社自身の内部のテレメトリのみを用いて学習した時系列データ向けの基盤モデルで、重みが公開されている。BOOMはオブザーバビリティのメトリクスに特化した時系列の評価用のデータ群である[57]。The Registerの2026年3月の報道によれば、Totoは1億5100万個のパラメータを持ち、2兆個を超える時系列のデータ点で事前学習されている[58]。
生成AIを利用するアプリケーションの監視は、従来の監視とは異なる課題を伴う。CNCFのプロジェクトであるOpenTelemetryは、この分野を扱うプロジェクトの定義文書において、生成AIの応答が一定しない性質から、応答の品質と安全性を測ることが監視の一部になると述べ、観測の目的として多段の処理の追跡による原因究明、応答の正確さの評価、偏りの検出、費用の把握などを挙げている。同文書は2026年8月時点で、生成AIの利用者向けの規約について安定版の時期を未定としている[59]。OpenTelemetryが2026年5月21日にCNCFの卒業プロジェクトとなった際の発表では、同財団の最高技術責任者Chris Aniszczykが、組織がAIおよびクラウドネイティブのワークロードを拡大するにつれて実時間のオブザーバビリティが運用の成功に不可欠になると述べている[60]。
課金モデル
年次報告書によれば、収益はサブスクリプション契約から得られ、取引価格は契約した利用水準に対する固定額と、追加購入分に対する変動する対価から構成される。同社は個々のサービスをそれぞれ独立した履行義務として識別している。契約した利用量を超過した分は追加で課金され、按分計上型の契約では月ごとに、使用に応じて提供される契約では契約分を使い切った時点で超過分の課金が生じる。課金の対象には、インフラストラクチャ監視、APM、ログ管理、Synthetics、セキュリティ監視、Continuous Profiler、サーバーレス監視、ネットワーク監視、RUM、インシデント管理といった製品に加え、ダッシュボードにおけるカスタムメトリクス、Dockerコンテナの監視、インデックス化されたスパンなどの副次的なサービスが含まれる[1]。
市場での位置づけ
2025年12月期の年次報告書は、同社の主戦場をITオペレーション管理市場と位置づけ、ガートナーが2025年12月に公表した内容に基づき、この市場の規模を2029年時点で820億ドル、うちオブザーバビリティに相当する分野を390億ドルとしている。同報告書はまた、同社が参加するITオペレーション管理、セキュリティソフトウェア、アプリケーション開発、分析プラットフォームの4分野の合計を2029年時点で1870億ドルと同社が見込んでいると記している。同報告書はこのガートナーの内容について、研究上の意見であって事実の表明ではなく、2025年12月の公表時点のものであると付記している[1]。
外部の評価について、同社は自社の発表において、ガートナーの「Magic Quadrant for Observability Platforms」(旧称「Magic Quadrant for APM and Observability」)の2024年版で4年連続、2026年版で6年連続でリーダーに位置づけられたとしている[61][62]。同社はまた、2024年11月にガートナーの「Magic Quadrant for Digital Experience Monitoring」で初めてリーダーに選出されたこと[63]、および2022年12月にフォレスター・リサーチが11社を評価した「The Forrester Wave: AIOps, Q4 2022」でリーダーに位置づけられたことを発表している[64]。
競合分野では事業者の再編が続いた。2023年7月にはNew Relicが65億ドルで非公開化することに合意し[65]、シスコシステムズによるSplunkの買収は2024年3月18日に完了した[66]。
生成AIの普及がこの分野に与える影響について、ガートナーは2026年3月30日、説明可能なAI(explainable AI、XAI)への要求が強まることを理由として、LLMのオブザーバビリティへの投資が2028年までに生成AIの導入案件の50パーセントに達すると予測した。同社は同予測の公表時点の比率を15パーセントとしている。同予測は、LLMのオブザーバビリティが応答時間などの一般的な測定にとどまらず、幻覚、偏り、トークンの使用量といったLLM固有の指標を扱うものであり、AIシステムを開発・運用する部門に加えて、本番環境の性能と回復力を担うIT運用部門やサイト信頼性エンジニアリングの担当者にも使われるようになっているとしている[67]。同年5月12日には、AIを導入する組織の40パーセントが2028年までにモデルの性能、偏り、出力を監視するための専用の製品を導入すると予測している[2]。
AIによる開発支援の普及が運用にもたらす影響については、Google Cloudが実施している年次調査DORAが、2024年の報告書でAIの利用拡大とソフトウェアデリバリーの安定性低下との関連を示し、AIの導入が25パーセント増えるごとに安定性が推定7.2パーセント低下すると述べた。同報告書は、AIによって単位時間あたりに書かれるコード量が増えることで変更の規模が大きくなっている可能性を仮説として挙げている。2025年の報告書では処理量については改善に転じたとする一方、安定性の低下は続いており、開発の速度に対して基盤となる仕組みがまだ追いついていないとした[68][69]。
一方で、利用者がAIを用いて自ら道具を作れるようになることが既存のソフトウェア事業を侵食するという議論もある。The Registerは2026年3月、この議論に触れつつ、同社が汎用のLLMに依拠せず自社の領域に特化したモデルを開発することでこれに対処しようとしていると報じた。同記事において同社の最高製品責任者Yanbing Liは、SaaS事業者の役割は自らの領域で新しいものを作ることであると述べ、脆弱なのは利用者がその中で行動を完結させない単機能の製品であるとしている。同記事はまた、AIエージェントが誤りを犯す分野であることを踏まえ、重要なシステムの運用者はエージェントに変更を任せることに慎重であるべきだと同社に問いを向けており、Liはこれに同意して、AIの出力は説明可能で検証可能でなければ信頼を得られないと答えている[58]。
2025年12月期の年次報告書は、同社がAIネイティブと呼ぶ顧客層の利用が急速に拡大した後に最適化される場合があることを、売上が変動しうる要因として挙げている。同報告書によれば、この顧客層には同社の最大の顧客が含まれ、2025年10月から12月までの3か月間の前年同期比の売上成長率のうち約7ポイントがこの層によるものであった。同じ指標は2024年7月から9月までの3か月間に約4ポイントとして初めて開示され、2025年4月から6月までの3か月間には約10ポイントに達していた[1][70][71]。同報告書は、AIを製品に組み込むことに伴う費用や競合との関係、AI技術に対する各国・各州の規制、利用している第三者のAIサービスが停止した場合の影響なども、リスク要因として挙げている[1]。
2026年8月6日に発表した同年第2四半期決算では、売上高が前年同期比36パーセント増の11億2000万ドルとなり、通期の売上見通しも従来の43億〜43億4000万ドルから44億5000万〜44億7000万ドルへ引き上げられた[18][72]。同時に提出された四半期報告書は、2026年の第3四半期の初めから最大の顧客の利用が減少したことを確認したと記している[73]。ウォール・ストリート・ジャーナルは、決算そのものは市場予想を上回ったものの、主要なAI顧客の利用の減少が成長の妨げになりうると同社が述べたことを報じ、これを受けて株価が下落したとしている[74]。
技術
監視エージェント
監視対象のホストには、データを収集して同社のサービスへ送信するDatadog Agentと呼ばれるソフトウェアを導入する[75]。エージェントはGoで書かれており、2018年2月に公開されたメジャーバージョン6.0.0において、それ以前のPythonによる実装から全面的に書き直された。リリースノートによれば、この書き直しは性能の改善、資源消費の削減、チェックの並行実行を目的としたものであり、Pythonで書かれたチェックおよびプラグインは変更なしに6系でも引き続き利用できるとされた[13]。メジャーバージョン7は7.16.0から始まり、Python 3のみに対応する[76]。
エージェントのソースコードは公開されており、ユーザー空間の構成要素はApache License 2.0、BPFのコードはGNU General Public License 2.0で提供される二重ライセンスとなっている[77]。
バージョン5以前のエージェントは別のリポジトリ(DataDog/dd-agent)で管理されており、Pythonで書かれ、簡易BSDライセンスで公開されていた。このリポジトリのライセンスファイルには、2009年のBoxed Iceと2010年から2016年のDatadogの著作権表示が併記されている[78][79]。
エージェントを導入せずに監視する方式も用意されている。AWSとの連携では、IAMロールの委譲を受けてAmazon CloudWatchのAPIを定期的に呼び出す方法がとられる[80]。
バックエンド
バックエンドのデータストアは複数世代にわたって作り替えられてきた。同社のエンジニアリングブログによれば、時系列データの保存には当初Apache Cassandraが用いられ、その後Redis、MDBM、Goで実装されたB+木、RocksDBを基盤とする実装が用いられた。Goによる実装がスカラー値の指標を、RocksDBを用いる実装が分布を扱う指標をそれぞれ担い、2つの時系列データベースが並行して運用される状態が続いたため、のちにRustで書かれた単一のエンジン「Monocle」へ統合された。MonocleはLSM木(log-structured merge-tree)の構造をとる[81]。
ログや各種イベントの保存には、2022年に公開された第3世代のイベントストア「Husky」が用いられている。同社の説明によれば、Huskyはスキーマを持たない分散型の列指向ストアで、汎用のオブジェクトストレージ上にデータを置き、分析用の集計と全文検索の双方に対応する。書き込みを担うWriter、小さなファイルを統合するCompactor、問い合わせを実行するReaderに役割が分かれており、どのファイルが各テナントから参照できるかを管理するメタデータストアにはFoundationDBが用いられている[82][83]。取り込みの経路ではApache Kafkaが使われる[83]。
サイト構成
サービスは複数の「サイト」に分かれて提供されており、各サイトは相互に独立していて、サイトをまたいでデータを共有することはできない。米国のUS1・US3・US5、欧州のEU1、英国のUK1、日本のAP1、オーストラリアのAP2、および米国政府機関向けのUS1-FED・US2-FEDがある[84]。
2023年3月8日には、systemdのセキュリティ更新が自動適用された際にコンテナのネットワーク経路が削除されたことにより、米国政府向けを除く全サイトのサービスが利用できない障害が発生し、復旧までに約1日を要した。同社は事後分析において、各サイトを独立に設計していたにもかかわらず、基盤となるOSイメージに古い更新の配信経路が残っていたことなどにより複数のサイトが同時に影響を受けたと説明している[85][86][87]。
日本向けのデータセンターは2023年4月に東京で稼働を開始した。同社の発表によれば、これは同社にとってアジアで最初のデータセンターであり、それまでの米国、欧州、AWS GovCloudの拠点に加わるもので、日本国内にデータを保存することを求める要件に対応する。既存のすべての製品が利用できるとされた[88]。オーストラリアのサイトは2025年7月にAWSのアジアパシフィック(シドニー)リージョン上で提供が始まった[89]。
米国政府機関向けには「Datadog for Government」の名称でUS1-FEDサイトが提供されている。同社は2026年5月にFedRAMPのHighベースラインの認証を取得したと発表した[90]。このほか同社は自社のTrust Centerにおいて、SOC 2 Type 2、ISO/IEC 27001、ISO/IEC 27017:2015、ISO/IEC 27018:2019、ISO/IEC 27701、AIマネジメントシステムに関するISO/IEC 42001:2023、PCI DSS、オーストラリアのIRAPなどへの適合を掲げている[91]。
オープンソースソフトウェアとの関わり
同社は買収を通じて複数のオープンソースソフトウェアの開発に関与している。2021年2月に買収したTimber Technologiesは、監視データを収集・加工して任意の宛先へ転送するデータパイプライン「Vector」の開発元であり、VectorはRustで書かれMozilla Public License 2.0で公開されている[27][92]。2025年1月に買収したQuickwitは、ログを対象とする分散検索エンジンをオープンソースで開発していた[35]。Python向けの計装ライブラリdd-trace-pyなど、各種言語向けのライブラリも公開されている[93]。
OpenTelemetryについては、DatadogのAPMからデータを取り出すためのコンポーネントを追加するプルリクエストの扱いが議論となり、The Registerが2023年2月に経緯を報じた。当該のプルリクエストは2023年1月末にマージされている[94]。
業績
売上高は2019年12月期の3億6278万ドルから2025年12月期の34億2716万ドルへ増加した[1][95][96]。損益は長く赤字が続いたが、米国会計基準による純損益は2023年12月期に初めて黒字となり、営業損益は2024年12月期に初めて黒字となった。2025年12月期は増収となったものの営業損益は再び損失を計上し、純損益は営業外収益により黒字を維持した[1]。
| 決算期 | 売上高 | 営業損益 | 純損益 |
|---|---|---|---|
| 2019年12月期 | 362.8 | △20.1 | △16.7 |
| 2020年12月期 | 603.5 | △13.8 | △24.5 |
| 2021年12月期 | 1,028.8 | △19.2 | △20.7 |
| 2022年12月期 | 1,675.1 | △58.7 | △50.2 |
| 2023年12月期 | 2,128.4 | △33.5 | 48.6 |
| 2024年12月期 | 2,684.3 | 54.3 | 183.7 |
| 2025年12月期 | 3,427.2 | △44.4 | 107.7 |
(△は損失。出典: 各期のForm 10-K[1][95][96])
売上は地域別では北米が24億3308万ドル、それ以外の地域が9億9408万ドルであり、顧客の請求先住所を基準とすると北米以外の地域が売上の約29パーセントを占めた。単一の国で売上の10パーセントを超えるのはアメリカ合衆国のみである[1]。
2025年12月31日時点の顧客数は約3万2700社で、160を超える国に所在する。同社が定義する年間経常収益(annual run-rate revenue、ARR)が10万ドル以上の顧客は約4310社で、これらが年間経常収益全体の90パーセントを占め、100万ドル以上の顧客は約603社であった[1]。
従業員数は2025年12月31日時点で約8,100人であり、35か国で事業を展開している。正社員の約44パーセントがアメリカ合衆国外に所在し、そのうち34パーセントがフランスに所在する。研究開発部門は約3,900人、営業・マーケティング部門は約3,600人である。本社はニューヨーク市の620エイスアベニュー(ニューヨーク・タイムズ・ビルディング)に置かれ、このほかボストン、デンバー、サンフランシスコ、パリ、ダブリン、アムステルダム、シドニー、東京、シンガポール、ソウルに賃借によるオフィスを持ち、不動産は保有していない[1]。
株式
株式公開
2019年8月23日に米国証券取引委員会へ登録届出書(Form S-1)を提出し[97]、同年9月19日にクラスA普通株式をNASDAQ(Nasdaq Global Select Market)へ上場した。公開価格は1株27.00ドルで、当初の売出しは2400万株であった[4]。上場初日の株価は寄付きで40.50ドルを付け、終値は37.55ドルとなり、公開価格を39パーセント上回った[16]。CNBCは、同社が2019年に株式を公開したクラウドソフトウェア企業のうち、時価総額100億ドル以上に達した4社目にあたると報じた。同記事は他の3社としてZoom、Slack、クラウドストライクを挙げている[98]。公開手続は9月23日に完了し、9月25日に引受人が追加取得の選択権を行使した結果、発行総数は2760万株、引受手数料および費用を控除した手取り額は7億590万ドルとなった[96]。共同主幹事はモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、クレディ・スイスであった[97]。
上場に先立つ2019年9月、ブルームバーグは、シスコシステムズが株式公開の数週間前に70億ドルを超える金額でDatadogの買収を提案したが、Datadogは株式公開を選んでこれに応じなかったと関係者の話として報じた[99]。
株式の種類と株価指数
普通株式はクラスAとクラスBの二種類に分かれており、クラスAは1株につき1個、クラスBは1株につき10個の議決権を持つ。上場しているのはクラスAのみである。2025年12月31日時点で、発行済みのクラスB普通株式は全議決権の約43パーセントを占めており、その保有者には同社の役員および取締役が含まれる。2026年2月5日時点の発行済株式数はクラスAが3億2827万4648株、クラスBが2430万1433株であった[1]。
2021年12月10日に発表された年次見直しによりナスダック100指数の構成銘柄に採用され、同年12月20日の取引開始前に適用された[100]。2025年7月2日には、ヒューレット・パッカード・エンタープライズによる買収に伴い除外されるジュニパーネットワークスに代わってS&P 500の構成銘柄に採用されることが発表され、同月9日に適用された[3]。
株式公開前の資金調達
株式公開前には、ベンチャーキャピタルから複数回にわたって出資を受けた。2012年11月にはIndex VenturesとRTP Venturesの共同主導によるシリーズAで620万ドルを調達した[101]。2014年2月にはOpenView Venture Partners主導のシリーズBで1500万ドル[102]、2015年1月にはIndex Ventures主導のシリーズCで3100万ドル[103]、2016年1月にはICONIQ Capital主導のシリーズDで9450万ドルを調達し、この時点での累計調達額は約1億4800万ドルとなった[104]。
日本での事業
進出と日本法人
2018年5月30日、日本オフィスの開設を発表した。カントリーマネージャーには、マイクロソフトやEMCジャパンなどを経てAWS Japanの立ち上げに参画し、前職ではアイレットに在籍していた中川誠一が就任した[105]。
2019年11月12日、日本法人の設立を発表した。同社の発表では英語表記をDatadog Japan GKとしており[106]、日本語での社名表記はDatadog Japan合同会社である[107]。設立の発表は2018年の日本初のオフィス開設を受けたものと位置づけられ、あわせて明治記念館で初の年次サミットが開かれ、既存顧客のサイバーエージェント、サイボウズ、PLAID、Sansan、MonotaROが自社での利用について講演した。当時のアジア太平洋・日本担当バイスプレジデントはAndy Clarkであった[106]。
2024年2月1日付で正井拓己が日本法人の社長兼日本担当ゼネラルマネージャーに就任した。正井は日本アイ・ビー・エムを経て、Pivotalの日本法人代表、日本マイクロソフトでのクラウド事業担当、ワークデイの日本法人社長を務めた経歴を持つ[108][107]。
国内拠点
2023年4月、東京にデータセンターを開設し、日本国内でデータを保存・処理できるサイトの提供を始めた。同社の発表によれば、これは同社にとってアジアで最初のデータセンターであり、既存のすべての製品が利用できる[109]。同年8月には組織の拡大に伴い新たな東京オフィスを開設した。あわせて日本語による技術文書と製品サポートを用意し、国内にサポートチームを置いてチャットによる対応も開始した[110]。2024年2月には認定プログラムを日本語で提供することを発表した[110][111]。
2025年4月1日、西日本地域での営業およびカスタマーサポートの拠点として大阪に事業所を開設した。同社によれば、日本国内で東京以外に拠点を設けたのはこれが初めてである[112]。
事業規模
日本国内での導入企業数について、同社は2025年時点で約2,000社としている[111][112]。同社の説明によれば、日本市場では2020年から2023年までの3年間の対前年比売上成長率が平均43パーセント増、社員数が平均46パーセント増であった[110]。また日本でのサブスクリプション売上は2024年末時点で2021年比の2倍になったとしている[111][113]。なお、2025年12月期の年次報告書では、アメリカ合衆国以外に売上の10パーセントを超える単一の国はないとされており、日本単独の売上高は開示されていない[1]。
市場でのシェアについて、同社は2025年8月、富士キメラ総研の市場調査『ソフトウェアビジネス新市場 2025年版』において、運用管理・オブザーバビリティ部門において、同調査が2024年度と呼ぶ期間(2024年4月から2025年3月まで)の国内シェア34.7パーセントで1位となったと発表した。同調査はこの期間の市場規模を946億円としている[114]。
パートナーと協業
国内では販売代理店やシステムインテグレーターとの協業を進めており、2025年3月時点で最上位のゴールドティアパートナーは伊藤忠テクノソリューションズ、アイレット、キンドリルジャパン、京セラコミュニケーションシステムの4社であった[111]。2025年3月24日にはNTTデータおよび東京エレクトロン デバイスとの契約締結が発表され、NTTデータのSRE支援サービスへの組み込みなどが行われることとなった[115][111]。2026年6月にはキンドリルジャパンとの協業強化を発表し、営業・技術支援・マーケティングでの連携と、技術者育成を目的とした認定プログラムの策定を掲げた[116]。
クラウド事業者との関係では、2024年にOracle Cloud Infrastructureの正式サポートが加わり、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureとあわせて主要4クラウドを対象とした[111][113]。2025年5月には、アマゾン ウェブ サービス ジャパンによる「2024 Country AWS Partners of the Year」の日本におけるTechnology Partner of the Yearに選定された[117]。
2026年5月7日に発表した同年第1四半期の決算では、AIの研究を行うSakana AIとの提携を同四半期の出来事として挙げている。同社の発表によれば、研究、製品開発、市場展開の各面で協力するもので、当初は日本の大企業を対象とし、その後世界へ広げるとしている[18]。
国内の導入事例
報道された導入事例として、西日本旅客鉄道の情報システム子会社であるJR西日本ITソリューションズは、監視ソフトウェアの保守終了を契機に2024年2月にDatadogを導入して外形監視を開始し、2025年9月には「JRおでかけネット」の一部システムをAWSへ移行したのに合わせてAWS環境の監視も一元化した。同社では画面操作による監視設定によって監視業務を担える人員が2人から15人に増え、Amazon S3への大量のリクエストによる費用の高騰をAPMで分析して利用費を約20パーセント削減した例も報告されている[118]。
2026年2月には、住信SBIネット銀行が勘定系システムをAWS上のクラウド環境へ移行するにあたり、Datadogのプラットフォームを採用したことが発表された[119]。
東京ガスは個人向けの会員サービス「myTOKYOGAS」の基盤をMicrosoft Azureへ移行して刷新する際に、従来のZabbixによる死活監視に代えてDatadogを導入した。ZDNET Japanの報道によれば、従来はサーバー、ミドルウェア、通信機器がそれぞれ別の道具で管理され、ログの形式や時間軸が統一されていなかったため原因の特定に時間がかかっていたという。同記事は、同社グループのセキュリティ要件によりデータを国内法に準拠して管理する必要があったところ、Datadogが当時すでに日本国内にリージョンを備えていたことが採用の決め手になったと伝えている[120]。
国内のイベント
2025年6月4日には、同社が日本での中心的な催しと位置づける「Datadog Live Tokyo 2025」を開催し、利用企業やパートナー企業の担当者が登壇した[121]。
脚注
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 Datadog, Inc. (2026年2月18日). Annual Report on Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025 (Report) (英語). 米国証券取引委員会. 2026年8月7日閲覧.
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関連項目
- New Relic
- Splunk
- Grafana - オープンソースの可視化・監視ソフトウェア
- Prometheus (ソフトウェア) - オープンソースの監視システム
外部リンク
- Datadog, Inc.のビジネスデータ:
- Datadogのページへのリンク