Amazon Bedrockとは? わかりやすく解説

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Amazon Bedrock

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/06 07:27 UTC 版)

Amazon Bedrock
URL aws.amazon.com/jp/bedrock/
タイプ 生成AI基盤モデル提供サービス
運営者 Amazon.com
営利性 営利
登録 必要(AWSアカウント)
開始 2023年9月28日 (2年前) (2023-09-28)(一般提供開始)
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Amazon Bedrock(アマゾン ベッドロック)は、Amazon.comAmazon Web Services(AWS)の一部として提供する、生成AIアプリケーションを構築するためのフルマネージド型のクラウドサービスである。Amazon自身に加えてAnthropicOpenAIMetaMistral AIなど複数のAI企業が開発した基盤モデルを、共通のAPIを通じて選んで利用できることを特徴とし、独自データによるモデルのカスタマイズ、社内の文書を参照して回答させる検索拡張生成(RAG)、業務タスクを実行するAIエージェントの構築、有害な出力を抑えるガードレールなどの機能を備える[1][2][3][4]

2023年4月13日に発表され、限定プレビューを経て同年9月28日(米国時間)に一般提供が始まった[5][6][7]。利用者がサーバーなどのインフラを管理する必要のないサーバーレス型のサービスで、料金は主に処理したトークンの量に応じた従量課金である[8][4]Microsoft AzureのAzure OpenAI ServiceやGoogle CloudVertex AIと競合するサービスと位置付けられている[3][9]

概要

Amazon Bedrockは、大規模言語モデルや画像生成モデルといった基盤モデルをAWSがマネージドサービスとして運用し、利用者はAPIを呼び出して推論を実行する形で提供される。利用者はAWSマネジメントコンソールの「プレイグラウンド」でチャット形式などにより複数のモデルを試し、用途に合うモデルを選んでからアプリケーションに組み込む。モデルを切り替えても同じAPIで推論できるため、新しいモデルが登場した際にもコードの変更を最小限に抑えて移行できるとAWSは説明している[2][7]。複数のモデルを選べるようにしている理由について、AWSの生成AI担当バイスプレジデント(当時)のヴァシ・フィロミンは2023年、「(コストを含めて)全てのユースケースに適した単一の基盤モデルは存在しないからだ」と述べている[10]

利用者のデータの扱いについて、AWSは、Bedrockに入力したプロンプトやカスタマイズに使ったデータが基盤モデルの改善に使われることはなく、モデルの提供元と共有されることもないとしている。データは転送中・保管中とも暗号化され、AWS PrivateLinkを使えばインターネットを経由せずに仮想プライベートクラウド(VPC)から接続できる[2][7]。モデルをカスタマイズする際には基盤モデルの利用者専用のコピーが作られ、そこで学習したデータが元のモデルに反映されることはない[11][5][10]。監視サービスのAmazon CloudWatchや操作記録のAWS CloudTrailと統合されており、AWSはEU一般データ保護規則(GDPR)に準拠したアプリケーションの構築や、米国の医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)の対象となるワークロードにも利用できるとしている[8][7]。サードパーティの監視サービスでは、Datadogが2023年11月に、モデルの呼び出し回数、レイテンシ、エラー、入出力トークン数などのメトリクスとAPI呼び出しのログを監視するBedrock向けのインテグレーションを発表し[12]、2025年7月には、Bedrock Agentsで構築したエージェントについて、各ステップの実行や基盤モデル、ツール、ナレッジベースの呼び出しを追跡するLLM Observabilityとの連携を発表した[13]

料金は、モデルごとに定められた入力・出力トークン数当たりの単価に基づく従量課金(オンデマンド)が基本で、一部のモデルでは、まとめて処理するバッチ推論がオンデマンドより50%低い料金で提供される。ほかに、一定の処理能力をあらかじめ確保するプロビジョンドスループットがある[4]

主な機能

基盤モデルの選択

Bedrockで利用できるモデルには、AWSが運用してAPIで提供するサーバーレスのモデルと、2024年12月に追加されたAmazon Bedrock Marketplaceを通じて提供されるモデルがある。Marketplaceでは、IBMやNVIDIAなどの企業のモデルや、韓国語処理に特化したモデル、タンパク質研究向けのモデルといった専門的なモデルを含む100以上の基盤モデルをコンソールから探してデプロイでき、サーバーレスのモデルと同じAPIやナレッジベース、ガードレールと組み合わせて使える[14][15]。また、2024年4月にプレビュー公開されたCustom Model Importにより、利用者が独自に学習させたモデルの重みをBedrockに持ち込み、他のモデルと同じ仕組みで動かすこともできる(同年10月に一般提供)[16][17]

モデルのカスタマイズ

発表時から、Amazon S3に置いた少数(20件程度)のラベル付きサンプルを指定するだけで、基盤モデルを特定のタスク向けにファインチューニングできるとされていた[11][5]。2023年11月には、ファインチューニングと、ラベルのないデータでモデルに分野の知識を追加する継続的な事前学習(continued pre-training)が正式な機能となった[18]。2025年12月には強化学習を用いるReinforcement Fine Tuning(RFT)が追加された[19]

ナレッジベース

Amazon Bedrock Knowledge Bases(当初の名称はKnowledge Bases for Amazon Bedrock)は、企業のデータソースに基盤モデルを接続して検索拡張生成(RAG)を行うためのマネージド機能である。利用者が文書の置き場所を指定すると、埋め込みモデルによる文書のベクトル化とベクトルストアの作成・更新をBedrockが代行し、モデルは回答時にそれらを検索して参照する。2023年9月にプレビュー公開され、同年11月に一般提供された[20][2]

エージェント

Amazon Bedrock Agents(当初の名称はAgents for Amazon Bedrock)は、基盤モデルの推論能力を使って利用者の依頼を複数の手順に分解し、企業のシステムのAPIを呼び出しながら業務タスクを実行するエージェントを、コードを書かずに構築する機能である。2023年7月にプレビュー公開され、同年11月に一般提供された[21][22][23]。AWSは例として、在庫の水準や販売データ、サプライチェーンの情報を自動で確認して最適な補充時期と数量を提案するアプリケーションを挙げている[10]

2025年7月に発表されたAmazon Bedrock AgentCoreは、AIエージェントを本番環境で安全に運用するための基盤で、エージェントの実行環境(Runtime)、記憶(Memory)、認証と認可(Identity)、既存のAPIをエージェント用のツールに変換するGateway、Webブラウザの操作(Browser)、生成したコードの実行(Code Interpreter)、動作の可視化(Observability)の7つのサービスから成る。CrewAIやLangGraph、OpenAI Agents SDKなど任意のフレームワークと、Bedrock以外のモデルも組み合わせられる[24][25]。ObservabilityはOpenTelemetryに対応しており、エージェントの実行に関するテレメトリ(計測データ)は既定でAmazon CloudWatchに送られるほか、Datadog、LangSmith、Langfuseなどの外部の監視サービスにも送ることができる[24][26]。2025年10月13日(現地時間)に東京を含む9リージョンで一般提供が始まった[25]

ガードレール

Amazon Bedrock Guardrails(当初の名称はGuardrails for Amazon Bedrock)は、アプリケーションの用途や各社の責任あるAIの方針に合わせて、有害なコンテンツのフィルタリングや特定の話題への回答拒否、個人情報の秘匿などの安全対策を定義し、利用するモデルの種類にかかわらず共通に適用する機能である。2023年11月のAWS re:Invent 2023でプレビュー公開され、2024年4月に一般提供された[27][28][29]

その他

複数のモデルを自動評価や人手による評価で比較するモデル評価(2024年4月一般提供)[17]、繰り返し使うプロンプトの文脈を最大5分間キャッシュして費用と応答時間を減らすプロンプトキャッシュ、プロンプトの複雑さに応じて同じ系列のモデルの中から費用と品質のバランスがよいモデルへ自動的に振り分けるIntelligent Prompt Routing(いずれも2024年12月発表)などがある[30][31]

提供モデル

2023年4月の発表時に利用できたのは、Amazonの「Amazon Titan」(テキスト生成と埋め込みの2モデル)、Anthropicの「Claude」、AI21 Labsの「Jurassic-2」、Stability AIの「Stable Diffusion」の4種であった[11][5]。同年9月の一般提供時までにはCohereが加わっており、一般提供時にはClaude 2などが利用でき、あわせてAmazon Titan Embeddingsが追加され、Metaの「Llama 2」の提供が予告された(同年11月に13Bモデル、続いて70Bモデルが追加)[7][6][32]

2024年3月にはMistral AIのMistral 7BとMixtral 8x7Bが7番目のプロバイダーのモデルとして加わり[33]、同月にAnthropicのClaude 3 Sonnetが、続いてClaude 3 OpusとHaikuが提供された[34][35]。2024年6月にはClaude 3.5 Sonnetが加わり[36]、同年12月のAWS re:Invent 2024ではAmazonが自社開発した基盤モデル「Amazon Nova」(テキスト専用のMicro、マルチモーダルのLite・Pro・Premier(Premierは2025年提供予定)、画像生成のCanvas、動画生成のReel)がBedrock限定で発表された[37][38]

2025年には、DeepSeekDeepSeek-R1が1月にMarketplaceとCustom Model Importを通じて、3月にはフルマネージドのモデルとして提供され[39]、8月5日にはOpenAIのオープンウェイトモデル「gpt-oss-120b」「gpt-oss-20b」が加わった。AWSによれば、OpenAIのモデルがAWS上で提供されるのはこれが初めてであった[40][41]。同年12月のAWS re:Invent 2025では、Amazon Nova 2(Lite・Pro・Omniなど)と、利用者が独自データでNovaを学習させる「Nova Forge」が発表され、Mistral Large 3、GoogleのGemma 3、MiniMaxのM2、NVIDIAのNemotronなど18のオープンウェイトモデルが追加された[19][42][43]

2026年4月28日(現地時間)には、OpenAIとAWSが提携を拡大し、OpenAIの最新のフロンティアモデルやコーディングエージェント「Codex」をBedrockを通じてAWSの顧客に提供することを発表した(当初は限定プレビュー)[44]。2026年9月時点のAWSの料金ページには、AI21 Labs、Amazon、Anthropic、Cohere、DeepSeek、Google、Luma AI、Meta、MiniMax AI、Mistral AI、Moonshot AI、NVIDIA、OpenAI、Qwen、Stability AI、TwelveLabs、Writer、xAI、Z AIの19社がモデルの提供元として掲載されている[4]

Anthropicとの関係

Bedrockの主要なモデル提供元であるAnthropicとAmazonは、2023年9月25日に戦略的提携を発表した。Amazonは最大40億ドルを出資し、AnthropicはAWSを主要なクラウドプロバイダーとして将来の基盤モデルをBedrockで提供することを長期的に約束するとともに、モデルのカスタマイズやファインチューニングの機能をAWSの顧客に先行して提供することになった[45][46]。出資は2024年3月に完了し[35]、同年11月にはAmazonが追加で40億ドルを出資し、AnthropicがAWSを主要なトレーニングパートナーとすることが発表された。Amazonは、2023年の提携の背景にBedrock上でのClaudeの急速な普及があったと説明している[47]。2026年4月には50億ドルの追加出資と最大200億ドルのさらなる出資が発表され[48]、同年5月にはAnthropic自身がAWS上でClaudeを運用してフル機能のAPIを提供する「Claude Platform on AWS」が正式リリースされた。AWSがモデルを運用するBedrock上のClaudeも引き続き提供されている[49]

歴史

  • 2023年4月13日 - AWSのスワミ・シヴァスブラマニアンが、Amazon Titanなどとともに発表。限定プレビューとして提供を開始[11][21][9]
  • 2023年7月26日 - Agents for Amazon Bedrockをプレビュー公開[21][22]
  • 2023年9月25日 - AmazonとAnthropicが戦略的提携を発表[45]
  • 2023年9月28日 - 一般提供を開始。当初は米国東部(バージニア北部)と米国西部(オレゴン)の2リージョン[7][8]
  • 2023年10月3日 - アジアパシフィック(東京)リージョンで提供開始[50][10]
  • 2023年11月 - MetaのLlama 2を追加(13日)[32]。PartyRockを公開(16日)[51]。AWS re:Invent 2023でKnowledge Bases・Agents・ファインチューニングの一般提供、Guardrailsのプレビュー、Amazon Qなどを発表(28日〜29日)[20][23][18][27][52]
  • 2024年3月 - Mistral AIのモデル(1日)とClaude 3 Sonnet(4日)を追加[33][34]
  • 2024年4月23日 - Guardrailsとモデル評価の一般提供、Custom Model Importのプレビュー、Titan Text Embeddings V2を発表。AWSはこの時点で数万の顧客が利用していると述べた[17][29][16]
  • 2024年6月20日 - Claude 3.5 Sonnetを追加[36]
  • 2024年12月3日〜4日 - AWS re:Invent 2024でAmazon Nova、Amazon Bedrock Marketplace、プロンプトキャッシュ、Intelligent Prompt Routingなどを発表[37][14][30]
  • 2025年1月30日 - DeepSeek-R1をMarketplaceとCustom Model Importで提供開始。3月10日にフルマネージドのモデルとして一般提供[39]
  • 2025年2月20日 - アジアパシフィック(大阪)とアジアパシフィック(ハイデラバード)リージョンで提供開始[53]
  • 2025年7月16日 - Amazon Bedrock AgentCoreをプレビュー公開[24]
  • 2025年8月5日 - OpenAIのgpt-oss-120b・gpt-oss-20bを追加[40]
  • 2025年10月13日 - AgentCoreの一般提供を開始[25]
  • 2025年12月 - AWS re:Invent 2025でAmazon Nova 2、Nova Forge、18のオープンウェイトモデルの追加、AgentCoreのPolicy(プレビュー)とEvaluationsなどを発表[19][42]
  • 2026年2月 - AWSとOpenAIが戦略的提携を発表。OpenAIのモデルを基盤とする実行環境を共同開発し、Bedrockを通じて提供するとした[54][55]
  • 2026年3月 - オープンウェイトモデル向けの推論エンジン「Mantle」で、OpenAI API互換のProjects APIを提供開始[55]
  • 2026年4月28日 - OpenAIの最新モデルやCodexをBedrockで提供することを発表(限定プレビュー)[44]

日本での提供

一般提供開始の5日後にあたる2023年10月3日、アマゾン ウェブ サービス ジャパンは東京リージョンでの提供開始を発表した。来日した生成AI担当バイスプレジデントのヴァシ・フィロミンは「数日で」提供を始めると説明したが、実際には発表の数時間後に利用可能になった[50][10]。2023年10月10日の時点でBedrockが提供されていたのは、米国の2リージョンと東京の計3リージョンであった[7]。2025年2月20日には大阪リージョンでも利用可能になった[53]

2025年10月のAgentCoreの一般提供は東京リージョンを含んで始まり、日本ではソニーグループ、ディー・エヌ・エー、野村総合研究所などがプレビュー版を利用していたと報じられた[25]。2026年6月25日に開幕したAWS Summit Japan 2026の基調講演で、AWSのデイブ・ブラウンは、Bedrockが処理したトークン数が2026年第1四半期だけでそれ以前の全期間の合計を上回ったと述べた[56]

関連サービス

PartyRock
2023年11月に公開された、Bedrockを基盤とするノーコードの生成AIアプリケーション作成・共有サービス。AWSアカウントを作らずにApple、Amazon、Googleのアカウントでサインインし、テキストによる指示と画面操作だけでアプリケーションを作って共有できる[51][57]。公開当初は期間限定の無料トライアルとして提供されたが、2024年12月に、2025年から全利用者に毎日一定量の無料利用枠を継続的に付与すると発表された[58]
Amazon Q
2023年11月のAWS re:Invent 2023で発表された、業務や開発を支援する生成AIアシスタント。Publickeyは、Microsoftの「Copilot」に対抗するブランドと位置付けた[52]。企業向けのAmazon Q Businessは、内部でBedrockの複数の基盤モデルを利用している[59]
Amazon SageMaker
機械学習モデルの構築・学習・デプロイを行うAWSのサービス。gpt-ossのように、Bedrockと並んでSageMaker JumpStartからも提供されるモデルがある[40]

関連項目

脚注

  1. 概要”. Amazon Bedrock ユーザーガイド. Amazon Web Services. 2026年9月6日閲覧。
  2. 1 2 3 4 Amazon Bedrock のよくある質問”. Amazon Web Services. 2026年9月6日閲覧。
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  4. 1 2 3 4 Amazon Bedrock の料金”. Amazon Web Services. 2026年9月6日閲覧。
  5. 1 2 3 4 新野淳一 (2023年4月14日). AWS、API経由でジェネレーティブAIを利用する新サービス「Amazon Bedrock」を発表し、ジェネレーティブAIに本格参入。テキスト生成、文章要約、画像生成など”. Publickey. 2026年9月6日閲覧。
  6. 1 2 AWS提供の生成AIサービスが一般開放 新たにLlama 2も利用可能に”. ITmedia NEWS. アイティメディア (2023年9月29日). 2026年9月6日閲覧。
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