榊田倫之
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/08 22:33 UTC 版)
榊田 倫之(さかきだ ともゆき、1976年 - )は、日本の建築家。現代美術作家の杉本博司と共に「新素材研究所」を設立し、伝統的な素材と技術を現代に再解釈する「古いが、新しい(Old Is New)」という独自の哲学に基づいた建築設計で知られ、同所の代表取締役所長を務める。
経歴
1976年、滋賀県に生まれる。2001年に京都工芸繊維大学大学院建築学専攻博士前期課程を修了後、同年株式会社日本設計に入社。2003年には榊田倫之建築設計事務所を設立し、2003年から2006年まで建築家・岸和郎の東京オフィスを兼務した[1]。
2008年、現代美術作家の杉本博司と建築設計事務所「新素材研究所」を共同設立し[2]、2013年には同所の取締役所長に就任した[1]。教育活動としては、京都芸術大学の客員教授を務める。また、2020年には宇都宮市公認大谷石大使に任命された[1]。
新素材研究所
杉本博司と共に設立した新素材研究所は、「古いが、新しい(Old Is New)」をコンセプトに掲げ、日本古来の自然素材や伝統的な工法を現代の建築・空間設計に再解釈して用いることを特徴としている[3]。榊田は、このコンセプトを通じて「時を経ても褪せない質実な空間を創造すること」を目指しており、日本の素材と職人技術を深く理解し、それを現代的なアプローチで設計に落とし込んでいる。[4]。古材や大谷石、神代杉、漆喰、和紙といった伝統的素材を多用した作品を国内外で手がけている[5][6]。特に帝国ホテル京都の内装デザインにおいては、新素材研究所の思想に基づき、京都の歴史と文化を反映した「帝国、舞う」というコンセプトを掲げている[7][8]。
主な作品
新素材研究所の活動として、以下の建築・空間設計に携わっている。
- 小田原文化財団 江之浦測候所(神奈川県、2017年)[10]
- Hirshhorn Museum ロビー改修(ワシントンD.C.、2018年)
- 清春芸術村ゲストハウス「和心」(山梨県、2019年)
- 小田垣商店(兵庫県、2021年)
- Goldwin Beijing(中国・北京、2021年)[6]
- 銀座・和光本店 地階リニューアル(東京都、2024年)
著書
- 『Old Is New 新素材研究所の仕事』(平凡社、2021年)ISBN 978-4-582-54471-8
- 『素材考 新素材研究所の試み』(平凡社、2023年)ISBN 978-4-582-54483-1
脚注
- ^ a b c 内装デザインを担う建築家として榊田倫之(新素材研究所)を起用 帝国ホテル(2024年2月29日)
- ^ 初作品集を刊行!〈新素材研究所〉結成13年の歩みを杉本博司、榊田倫之に聞きました。Casa BRUTUS(2021年3月11日)
- ^ 「新素材研究所|New Material Research Laboratory」新素材研究所 公式サイト
- ^ a b 杉本博司・榊田倫之の新素材研究所が手掛けた「真茶亭」とは? SHIROYA HOTEL
- ^ 杉本博司、こだわりの建築展「新素材研究所」T JAPAN(2018年11月28日)
- ^ a b 内装に大谷石、神代杉、黒皮鉄! 北京にゴールドウインの旗艦店がオープンTecture mag(2021年12月28日)
- ^ a b 「帝国ホテル 京都」が客室内装を発表! 建築家・榊田倫之(新素材研究所)によるデザインコンセプトは【帝国、舞う】ELLE DECOR(2025年6月3日)
- ^ 帝国ホテル 京都を知る~CHAPTER 04~帝国ホテル 公式サイト
- ^ 新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)MOA美術館 公式サイト
- ^ 新素材研究所 / 杉本博司+榊田倫之ストーンサークル(2020年11月11日)
- ^ 現代美術作家 杉本博司と建築家の榊田倫之が手がけた、白井屋ホテル 特別個室「真茶亭」が完成!Discover Japan(2021年1月26日)
- ^ 白井屋ホテルの特別個室「真茶亭」を新素材研究所が設計Tecture mag(2021年1月19日)
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