マーアラゴ顔とは? わかりやすく解説

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マー・ア・ラゴ顔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/25 08:05 UTC 版)

マット・ゲイツ[1]クリスティ・ノーム[2]メラニア・トランプ[3]は、マー・ア・ラゴ顔と評されている。

マー・ア・ラゴ顔、またはマー・ア・ラゴ・フェイスMar-a-Lago face)は、アメリカ合衆国の保守派共和党支持者の女性たちのあいだで流行している整形手術やファッション・トレンドを指しており、「あからさまな」整形手術、過剰な化粧、人工的な日焼け、「つけまつげ濃いスモーキーアイふっくらした唇英語版」で変容させた顔がその特徴として挙げられている[4]

この傾向は、ドナルド・トランプの側近たちのステータス・シンボルとして、富、特権、そしてトランピズムへの賛同の表れと評されている[5][4][6]。評論家や外科医からはこれらの外見は人工的で、「過剰」、時には「下品」とも評され、トランプ時代の政治の美学やパフォーマンス的な側面と結びつけられている[7][2][8]。この外見を再現するために必要な標準的な施術には、顔面整形、フィラー英語版美容歯科治療などがあり、美容整形外科医の推定ではその費用は9万ドル以上とされる[9]。マー・ア・ラゴ顔の著名人としては、イヴァンカ・トランプ[2]マット・ゲイツ[1]キンバリー・ギルフォイル英語版[4]クリスティ・ノーム[2]ララ・トランプなどが挙げられる[8]

特徴

ザ・ウィーク英語版』誌はこの「見た目」を、ドナルド・J・トランプ大統領の側近にとって「なくてはならないアクセサリー」と評した[5]。「マー・ア・ラゴ顔」は、フロリダ州にあるトランプの邸宅であるマー・ア・ラゴにちなんで名付けられた[2]。認定外科医のマシュー・J・ニキエルは、この容貌はイヴァンカ・トランプの外見の模倣であると述べた[9]。また美容コンサルタントのメリンダ・アンナ・ファリーナは、マー・ア・ラゴ顔は東ヨーロッパ系の女性の容貌を模倣しようとしたものであると指摘した[2]

認定外科医のジェフリー・リシエツキは、マー・ア・ラゴ顔の特徴を「高く張りのあるフィラー注入されすぎた頬、ぶっくらした唇、非常に引き締まった滑らかな肌」と表現した[9]。『ガーディアン』紙に寄稿したアルワ・マダニは、この外観が男性に適用される場合は、唇の肥大化ではなく顎のラインの強調になると指摘した[10]。フロリダ州の技術系起業家でトランプ支持者のアマンダ・ティルは『ニューヨーク・ポスト』紙に対し、「ボトックス、顔面フィラー、スレッドリフト英語版、各種レーザー治療、ハイドラフェイシャル若返り治療」などを含む施術に最大6万ドルを費やしたと明かした[6]。マー・ア・ラゴの常連客であったとされるティルはまた、「大統領を支持する私たちの多くは、最高の姿を見せたいと思っている」と語った[2]。ニューヨークの形成外科医であるマーク・エプスタインは、ペンシルベニア州でのドナルド・トランプ暗殺未遂事件を受け手この種の施術依頼が増加していると述べた[11]

施術

トランプに好まれるような外見を再現するために必要な施術としては、眉リフト英語版顔面英語版首リフト英語版眼瞼形成術英語版鼻整形英語版、顔面への脂肪移植英語版、ボトックス、フィラー英語版神経調節剤英語版マイクロニードリングフェイシャルケミカルピーリングレーザー治療英語版、「医療グレードのスキンケア製品」、歯科用ベニアが挙げられる[9]

カリフォルニア州の外科医のマシュー・ニキエルは、2025年時点での施術費用は9万ドル、さらに維持費として年間2,500ドルがかかると推定している[9]

男性において、この現象に関連する人気施術は顎ラインの改善と顎インプラント英語版であり、ワシントンD.C.の形成外科医による需要が増加していると報じられている[12]

分析

ジュリアン・サンクションは『ハリウッド・リポーター』誌上にて、マー・ア・ラゴ顔は2024年初頭頃から拡散し始めたと記した[8]。アニ・ウィルチェンスキーは『スペクテイター』誌上にて、マー・ア・ラゴ顔は「より広範なトランプ流の虚構」と米国の「国民的イド英語版」の体現であると論じた[3]。エチケットの専門家でプロのイメージ・コンサルタントであるジャクリーン・ウィットモアは、マー・ア・ラゴ顔は「パームビーチの食卓装飾のように演出されたもの」と評し、その見た目は富と特権を象徴すると述べた[9]。『ハリウッド・リポーター』誌のサンクションはまた、マー・ア・ラゴ顔を「フェリーニ風の誇張が加えられた、化粧を濃くしたFOXニュースの女性アンカーの風貌」に似ていると説明した[8]

マザー・ジョーンズ英語版』誌のイナエ・オーは、「右派が称賛できるジェンダー肯定ケア」と呼んだ[1]。『オタゴ・デイリー・タイムズ英語版』紙のエヴァ・ワイズマンもまた、 マー・ア・ラゴ顔をジェンダー肯定ケアやドラァグと関連付けた[13]。ファッション・芸能ジャーナリストのジョアン・カラリッサは、マー・ア・ラゴ顔はトランプの「反革命」運動の延長前半にあると指摘し、「気に入らない顔ならば、自然に見えるかどうかなど気にせず変えてしまう。トランピズムにとって現実など重要ではないからだ」と述べた[6]

ドイルの雑誌『ドクマ』は、この容貌を「過剰」で「プラスチック」と評した外科医のアンソニー・ユーンの発言を引用した[7]。同じく『ドクマ』誌でクリストフ・キュンネは、マー・ア・ラゴ顔が「完璧な変貌」ではないと記した[7]。『ザ・ウィーク英語版』誌は、マー・ア・ラゴ顔現象を「指導者とその追随者が、アメリカ人の視界に可能な限り多くの醜悪さを注入しようと競い合っている」と評した[5]アバト・オリバCEU大学英語版のジョアン・ロペス・アレグレ教授は、トランプの美的感覚はニューヨーク市では「ダサイ」と思われていたが、フロリダ州では受け入れられており、この傾向がマー・ア・ラゴ顔にも及んでいると指摘した[2]

バーナード・カレッジ教授のアン・ヒゴネット英語版はこれを、「ドナルド・トランプへの肉体的な服従のサイン」と評した[14]。外科医のシーナ・ナザリアン英語版は、「マー・ア・ラゴ顔」という言葉は保守的な女性への攻撃であると論じた[15]ナバーラ大学のサンティアゴ・マルティネス・マグダレナは、マー・ア・ラゴ顔を「美的優生学」と結びつけ、「衛生的で規範的展望としての白人モデル、働くモデルの選択、そして焦点としての身体の露出」と関連付けた[6]。イナエ・オーは、マー・ア・ラゴ顔には「トランプとの連帯をアピールする意図」があり、トランプ流の「途方もなく率直な」アプローチによって「厳格な性役割を強制する」と記した[5][1]

ロペス・アレグレは、この現象はトランプの支持層の変化を反映していると分析し、「トランプ支持者はもはやブッシュ支持者のような保守派ではなく、下層中層階級の支持者だ。彼らがロメオ・サントス英語版のような人間になりたいのか、それともバービーケン英語版のようになりたいのか、私にはわからない」と述べた[2]。『ターゲスシュピーゲル』紙の記事でロジャ・メルケルは、現トランプ政権の閣僚や関係者の身体的特徴や外見を、トランピスト的なアメリカ・ファースト思想になぞらえ、アメリカという国が作り上げた人工的なイメージさえ満たせない者は歓迎されないと論じた[16]。メルケルはまた、トランプ陣営関係者の整形手術による容姿変貌を、「規則、統制、そして『自然』な階級構造の復活」と位置づけた[16]

マー・ア・ラゴ顔と評された人々

以下は、マー・ア・ラゴ顔であると評された人々の一覧である:

参考文献

  1. ^ a b c d e In Your Face: The Brutal Aesthetics of MAGA”. Mother Jones (2025年3月17日). 2025年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m Mar-a-Lago face: The plastic surgery trend that's taking over Trump's inner circle”. The Independent (2025年4月26日). 2025年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  3. ^ a b c d e The Mar-a-Lago face-off”. The Spectator (2025年2月17日). 2025年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g What Is Mar-A-Lago Face? The Plastic Surgery Trend, Explained”. Women.com (2025年3月27日). 2025年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  5. ^ a b c d Mar-a-Lago face: what's behind the Maga plastic surgery trend?”. The Week (2025年6月13日). 2025年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  6. ^ a b c d e f The popularity of the 'Mar-a-Lago face' soars in Trump's inner circle”. El País (2025年2月24日). 2025年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  7. ^ a b c d "Mar-a-Lago Face": Die politische Ästhetik der visuellen Konformität”. Docma (German) (2025年5月5日). 2025年5月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i Plastic Surgery Trend: Will "Mar-a-Lago Face" Take Over D.C.?”. Hollywood Reporter (2024年11月24日). 2025年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g Plastic Surgeons Reveal How Much It Costs To Get A 'Mar-A-Lago Face'”. HuffPost (2025年6月2日). 2025年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。 “According to Dr. Matthew J. Nykiel, a board-certified plastic surgeon at SoCal Plastic Surgeons, Mar-a-Lago Face "refers to a recognizable combination of facial features and plastic surgery enhancements, often modeled after Ivanka Trump’s signature look."”
  10. ^ Mahdawi, Arwa (2025年8月27日). “Why does the Maga elite love conspicuous cosmetic surgery?”. The Guardian. 2025年9月8日閲覧。
  11. ^ The "Mar-a-Lago Face": Ivanka Trump Becomes the New Ideal of Beauty”. La Voce di New York (2025年5月29日). 2025年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。 “The new aesthetic ideal in the Palm Beach of Trump loyalists no longer comes from Hollywood, but from Mar-a-Lago: according to two well-known plastic surgeons, more and more clients–mostly women, but also men–are asking to look like Ivanka Trump.”
  12. ^ The Plastic Surgery Procedure Booming Among Washington Men”. POLITICO (2025年6月5日). 2025年9月10日閲覧。
  13. ^ Made-up to look like women”. Otago Daily Times (2025年5月17日). 2025年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。 “If it was, it would surely not require all this — the injectables, the lipstick, the dye, or indeed the surgery, which some might call gender-affirming care. It’s drag, with all the campery and inauthenticity that implies.”
  14. ^ From "Mar-a-Lago face" to uncanny AI art: MAGA loves ugly in submission to Trump”. Salon.com (2025年3月24日). 2025年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  15. ^ 'Mar-a-Lago Face' becoming popular in plastic surgery”. MSN (2025年5月30日). 2025年8月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
  16. ^ a b Das Botox-Kabinett von Donald Trump: Darum sehen Amerikas neue Rechte alle gleich aus”. Der Tagesspiegel (2025年8月22日). 2025年8月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月15日閲覧。 “Die Ideologie dahinter ist klar: Trumps Regierung setzt auf Grenzschließungen, Massenabschiebungen, die Kriminalisierung von Migration und ein Verbot geschlechtsangleichender Maßnahmen für Minderjährige. In mehreren Bundesstaaten wurden Abtreibungsrechte massiv eingeschränkt, trans Personen aus dem Militär ausgeschlossen und Antidiskriminierungsgesetze zurückgedreht. Die Körper im Kabinett sind das visuelle Versprechen dahinter: America(ns) First – alle anderen müssen draußen bleiben. ... In autoritären Systemen ist der perfekte Körper nie nur Oberfläche. Er steht für Regeln, für Kontrolle, für die Wiederherstellung einer "natürlichen" Hierarchie.”

関連項目





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