ジロ・デ・イタリア 2010 レビュー

ジロ・デ・イタリア 2010

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 09:23 UTC 版)

レビュー

  • イヴァン・バッソ(リクイガス・ドイモ)が4年ぶり2回目の総合優勝を成し遂げた。バッソは第6ステージでの落車、第11ステージでの遅れなどのハンデを抱えながらも圧倒的なチーム力を武器に挽回し、モンテ・ゾンコランがゴールとなった第15ステージではエヴァンスとの一騎討ちを制してステージ優勝。第19ステージでついにマリア・ローザを奪取し、そのまま最後まで守りきった。リクイガス・ドイモは急遽の出場となったヴィンチェンツォ・ニバリがステージ1勝・総合3位、ロベルト・キセルロフスキも総合10位・新人賞2位とトップ10に3選手を送り込みチーム時間賞、スーパーチーム賞、フェアプレー賞とチーム対象の3賞も独占。さらに出場22チーム中唯一全選手が完走を果たすなどチームの完成度の高さを如実に示す結果となった。
  • 当初エースだったマルツィオ・ブルセギンのリタイアで急遽エースとなったダビ・アロヨ(ケス・デパーニュ)が総合2位と大健闘。第11ステージでの大逃げに乗って一気に総合ジャンプアップしたアロヨは第14ステージでマリア・ローザを獲得。その後もリクイガス・ドイモ勢の猛攻に晒されながらも第18ステージまでジャージをキープし続けた。最後はバッソの軍門に下った格好となったが表彰台の一角は守り抜いている。
  • バッソと並び総合優勝の有力候補と見られていたカデル・エヴァンス(BMC・レーシングチーム)は、第2ステージでマリア・ローザを獲得、さらに第7ステージを制するなど現世界チャンピオンの強さを随所に発揮するも、勝負所でバッソに付いていけない場面が目立ち、表彰台に50秒届かない総合5位に終わった。しかし安定してステージ上位に入っていたこともありマリア・ロッソ・パッショーネを獲得している。
  • 昨年ステージ2勝を挙げていたミケーレ・スカルポーニ(アンドローニ・ジョカトーリ)は常時安定した走りを見せ、表彰台には惜しくも届かなかったもののステージ1勝・自己最高の総合4位に入った。マルコ・ピノッティ(チーム・HTC - コロンビア)も山岳で健闘し総合9位に入っている。
  • 一方カルロス・サストレ(サーヴェロ・テストチーム)は序盤からアクシデントの連続でタイムを大きく失い、第11ステージでの大逃げに乗り一時は挽回するも、勝負所のドロミテ山塊でも終始精彩を欠き総合8位に終わった。ジロ初参加で注目を集めたアレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)も延べ5日間マリア・ローザを着用するも、やはり勝負所のドロミテ山塊でバッソに歯が立たず総合6位に終わった。
  • 実質プロ1年目、グランツール初参加だったリッチー・ポート(チーム・サクソバンク)が総合7位・マリア・ビアンカ獲得と大健闘。得意のタイムトライアルだけでなく山岳ステージにおいても大崩れしない走りを見せ、第11~13ステージにかけてはマリア・ローザも着用した。
  • ピュアスプリンターによる集団スプリントとなったステージは第2・3・9・10・18の僅か5ステージに留まった。タイラー・ファーラー(ガーミン・トランジションズ)が第2・10ステージを制して今大会唯一の複数ステージ勝利を達成している。一方、今シーズン序盤絶好調だったアンドレ・グライペル(チーム・HTC - コロンビア)は大会前に患った胃腸炎の影響で、大会序盤は全くスプリントに冴えが見られず、第9ステージでは発射台役のマシュー・ゴスに先にステージ優勝される屈辱に見舞われるも、体調の回復した第18ステージで見事にステージ優勝、一矢報いている。この他ワウテル・ウェイラント(クイックステップ)が第3ステージを制している。また昨年ステージ2勝を挙げたアレサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ファルネーゼ=ヴィーニ)はステージ未勝利のまま持病の気管支喘息の悪化でリタイアするという寂しい結果に終わった。山岳が厳しすぎた事もあり、ポイント賞扱いは1~5位が総合勢、6位のマルコ・ピノッティもオールラウンダーに近いTTスペシャリスト、7位のジェローム・ピノーと8位のフィリッポ・ポッツァートはパンチャー、9位のダミアーノ・クネゴと10位のジョン・ガドレがクライマーと、ピュアスプリンターはトップ10に一人も入らないという、いつも通りにスプリンターに厳しいジロの姿が浮き彫りとなった。
  • マリア・ヴェルデはマシュー・ロイド(オメガファーマ・ロット)が獲得。ロイドはステージ優勝した第6ステージでジャージを獲得すると、その後も堅実にポイントを積み重ねて第18ステージまでキープ。第19ステージで一時バッソにジャージを奪われるも、続く第20ステージで一気に27ポイントを稼いで奪回した。
  • ジロ初出場となった新城幸也(Bbox ブイグテレコム)は、第5ステージで逃げを決めてあわやステージ優勝(惜しくもステージ3位)という大活躍を見せた他、第17ステージでも逃げに乗っている。また総合93位で完走し、史上3人目の日本人ジロ完走者、さらに日本人として史上初めてジロ・ツール両方の完走を達成した。
  • 大会を通じて天候が安定しなかったことに加え、昨年以上に過酷なコースレイアウトだったこともあって、出場198名中、完走者は139名と昨年から完走者が30名も減少するという結果になった。また前述の通り出場9選手が全て完走したのはリクイガス・ドイモのみであった。

  1. ^ 2010 Giro jersey presented in Florencecyclingnews.com 1月15日付ニュース
  2. ^ ジロのポイント賞ジャージが「情熱の赤」 "マリア・ロッソ・パッショーネ"に変更cyclowired.jp 2010年1月25日付ニュース
  3. ^ a b ジロ出場22チーム発表 BMCやブイグIN・レディオシャックOUTcyclowired.jp 2010年3月23日付ニュース
  4. ^ アムステルダムスタートのジロ2010 5つの山頂ゴールと4つのTTが鍵CYCLINGTIME.com 2009年10月26日付ニュース
  5. ^ 生まれ変わったアスタナ ツール制覇に全てを懸けるコンタドールcyclowired.jp 2009年12月16日付ニュース
  6. ^ 見えてきたアスタナの展望 コンタドールはツール、ヴィノはジロcyclowired.jp 2009年12月15日付ニュース
  7. ^ 5月に開催時期を移したカリフォルニア 本格的な頂上ゴールが登場cyclowired.jp 2009年10月23日付ニュース
  8. ^ バッソがリクイガスのチームリーダーとしてジロとツールに出場cyclowired.jp 2009年12月1日付ニュース
  9. ^ サストレが2010年シーズン目標を発表 厳しい山岳のジロ出場へcyclowired.jp 2009年12月21日付ニュース
  10. ^ チームスカイに移籍したウィギンズがジロ・デ・イタリア出場へcyclowired.jp 2010年1月2日付ニュース
  11. ^ メンショフ「厳しい山岳は自分向き」カヴ「スプリント全勝狙う」cyclowired.jp 2009年10月27日付ニュース
  12. ^ 世界王者エヴァンスがジロ・デ・イタリア出場「総合優勝を狙う」cyclowired.jp 2009年12月16日付ニュース
  13. ^ カヴェンディッシュ、ジロを欠場しツアー・オブ・カリフォルニアへCYCLINGTIME.com 2010年4月1日付ニュース
  14. ^ グライペルがツール出場を熱望、カヴェンディッシュとの衝突は不可避にCYCLINGTIME.com 2010年4月19日付ニュース
  15. ^ フレイレ、ジロへの初出場の夢叶わずCYCLINGTIME.com 2010年5月7日付ニュース
  16. ^ Bennati out of Giro, Freire's status still undecidedcyclingnews.com 2010年5月5日付ニュース
  17. ^ ペッリツォッティ、ヴァリャベッチ、ロセンドにドーピング疑惑が浮上cyclowired.jp 2010年5月4日付ニュース
  18. ^ Simoni to ride last Giro d'Italia with Lamprecyclingnews.com 2010年1月12日付ニュース
  19. ^ Simoni joins Lampre-Farnese Vini
  20. ^ Bboxブイグテレコムがジロメンバー発表 新城幸也の出場が決定!cyclowired.jp 2010年4月23日付ニュース
  21. ^ BMC confirmed for Giro d'Italiacyclingnews.com 2010年3月22日付ニュース
  22. ^ スタートリスト - cyclingnews.com
  23. ^ ポイント賞首位のブラッドリー・ウィギンスがマリア・ローザ着用のため、繰り下げで翌日ジャージを着用した。
  24. ^ a b c 新人賞首位のリッチー・ポートがマリア・ローザ着用のため繰り下げで翌日ジャージを着用した。
  25. ^ 山岳賞首位のイヴァン・バッソがマリア・ローザ着用のため繰り下げで翌日ジャージを着用した。





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