サッカーのフォーメーション 現代の一般的なフォーメーション

サッカーのフォーメーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/17 05:37 UTC 版)

現代の一般的なフォーメーション

現代の一般的なフォーメーション

4-4-2

4-4-2は4バックを主体とした中で最も普遍的で、DFが4人、MFが4人、FWが2人。4バックの基本フォーメーションとも言える。理論上フィールドプレーヤーが満遍なくピッチをカバーできる。そのため、世界的にコーチングスクールの教科書には4-4-2か4-3-3が基礎戦術として掲載されていることが多い。

フラット型

中盤の構成がセントラルMFが2人、サイドMFが2人とMFを横一列に配置し、バランスに優れる。フィールドに選手が均等に配置されているので、守備において個々が分担するゾーンが明確でゾーンディフェンスが行いやすい。中盤が一列なのでチーム全体をコンパクトに保つことが容易で、プレッシングも効かせやすい。高い位置からのプレッシングによるショートカウンター攻撃と、両サイドの人数の多さを活かしてサイドMFとSBによるサイド攻撃が中心となる。中央が手薄なので、セントラルMFには攻守にわたる高い総合能力と豊富な運動量が求められる。イングランドが伝統的にこのフォーメーションを採用している。また、派生フォーメーションとして、FWの配置が縦配列になった4-4-1-1もある。

ダイアモンド型

中盤の構成が守備的MFが1人、サイドMFが2人、攻撃的MFが1人とMFをダイアモンド型に配置し、攻撃を重視する。サイド攻撃はSBが担当することが多い。

ボックス型(4-2-2-2)

中盤の構成が守備的MFが2人、攻撃的MFが2人と、MFをボックス型に配置し、構成力に優れる。MFの役割分担が明確で、攻防の素早い切り替えによるカウンターと、中盤での前後のパス回しが容易に行える。攻撃時に使えるスペースが広く有るためMFに起用される選手の特徴の変化によって(例えばサイドアタッカーと中央を得意とする選手のどちらを起用するのかで)攻め方を変え易くバリエーションを持たせやすい。フォーメーションが縦に長く伸びやすいためプレッシングを行うことが困難で、前線MFの後方、ボランチ脇のスペースができやすくSBに負担がかかる等の弱点を持つ。中央は、DFライン前にDHが残る形になるためブロックを作りやすく、守備が安定しやすい。

トレスボランチ型(4-3-1-2)

中盤の構成が守備的MFが3人、攻撃的MFが1人で、守備を重視したもの。一見ダイヤモンド型に似ているが、サイドのMFがあくまでも守備重視の役割である場合にこう表現される場合もある。3人のMFがDFラインの前に張り付くことによって守備は強固なものとなるが、攻撃は攻撃的MFとFWの能力次第となる。攻撃的MFに高いボールキープ力があれば、守備的MFやSBのオーバーラップを引き出すことができ、有効なフォーメーションとなる。

4-5-1

DFが4人、MFが5人、FWが1人。MFが5人になることで中盤に厚みを持たせる。FWが1トップとなるため1トップのFWに高い能力が期待され、得点には中盤のサポートが不可欠で、攻撃的MFの選手には攻撃を組み立てる能力だけでなくシャドーストライカー的な動きも求められる。

4-2-3-1

中盤の構成が守備的MFが2人、サイドMFが2人、攻撃的MFが1人で、サイド攻撃を重視したもの。98年のフランス代表が流行前に採用しW杯で優勝を飾った。その後、現在では最も多く採用されている。攻撃的MFが1人、守備的MFが2人の4-3-3の両ウィングを下げ、サイドMFはウィングのように前線の奥深くまで侵入する。

4-3-2-1

その形状から「クリスマスツリー」とも呼ばれる。守備的MFに3人、攻撃的MFに2人を配置し、中央の構成力を重視した設計になっている。3人の守備的MFで守備を安定させ、FW1人と攻撃的MF2人(1トップ・2シャドー)の連携による攻撃が基本となる。MFが中央に密集してしまうため、サイド攻撃にはSBのオーバーラップが不可欠。ACミランを指揮していた当時のカルロ・アンチェロッティ監督がこのフォーメーションをよく採用していた。

4-1-4-1

攻撃的MFが1人、守備的MFが2人の4-3-3の両ウィングが下がったのが4-2-3-1であるのに対し、攻撃的MFが2人、守備的MFが1人の4-3-3の両ウィングが下がったのが4-1-4-1。また4-2-3-1の陣形から攻撃的MFを1人アンカーに移動させた場合、中央の2人は守備的MFであるに関わらずこう表現される事も多い。

4-3-3

DF4人、MF3人、FW3人を置き、フィールドに選手が均等に配置されるので、フラット型の4-4-2に近い特性を持ち、ゾーンディフェンスやプレッシングが行いやすい。中盤のMFの構成で攻撃型をFWに近い位置に置き、中盤の底を2人が務める攻撃的な形。3人ともセンターMFにして、状況に合わせて役割を変えるバランスを取った形。アンカーをセンターに配置し、残り2人がテクニカルボランチを務める守備的な形。3人とも守備的な位置に置き、門番の役割をしてロングカウンターを狙う形など、中盤の構成によってさまざまな攻撃パターンを作れるが、中盤の能力や連携によっては前線が孤立してしまう。ポジションが均等に配置されているため固定的になりやすいので、変化をつけられる選手或いは戦術がないと単調な攻撃しかできない。

3-5-2

3バックを主体としたフォーメーションで最も普遍的で、DFが3人、MFが5人、FWが2人。左右のウイングバック(以下、WB)が豊富な運動量で攻守に上下動を繰り返すのが特徴で、両WBの位置取りしだいで攻撃的にも守備的にも変化する。片方のWBを前方に突出させ殆どFWに近い位置でプレーさせる例(主に1990年代にアルゼンチン国内で流行した)や、相手のサイド攻撃を牽制するために両WBとも前方に突出させる特異な例や、守備を重視(WBの背後のスペースを埋める)して両WBをDFラインにまで後退させる例(5-3-2)もある。

特異な例としては、2000年代前半のジュビロ磐田が採用した、WBを置かずに中央を固めたN-BOX等が挙げられる。

ドイスボランチ型(3-4-1-2)

中盤の構成が守備的MFが2人、両サイドMFが2人、攻撃的MFが1人で、3-5-2のうち最も一般的でバランスに優れる。守備的MFが2人いることでDFラインの前やWBが上がったときのサイドのカバーが容易で、守備が安定する。攻撃においては攻撃的MFが非常に重要な役割を担うが、WBのオーバーラップや2人の守備的MFのうち1人が前線に上がって攻撃に参加して攻撃的MFをサポートする。1990年代後半のイタリアやトルシエ~ジーコ時代の日本代表・国内で流行を見せた。

ウンボランチ型(3-3-2-2)

中盤の構成が守備的MFが1人、両サイドMFが2人、攻撃的MFが2人で、攻撃を重視したもの。1人しかいない守備的MFには広範囲をカバーする運動量と高い能力が求められる。攻撃的MFが2人いることで攻撃に厚みを持たせることが可能。だが、攻撃に重点が置かれるシステムのためバランスを考慮し、両サイドMFにSBの選手を配置する監督が多く、実質は守備的な5バック(5-3-2)になってしまう事が多い。但し、攻撃的MFがワイド気味に開くことでウイングバックの負担を減らし、攻撃的かつバランスを保つことができる。日本において、1990年代前半までは3-5-2と言えはこのフォーメーションであった。

トレスボランチ型

中盤の構成が守備的MFが3人、両サイドMFが2人で、非常に守備的。3人の守備的MFにより守備は非常に強固なものとなるが、攻撃は2人のFWによるカウンター頼みになってしまう。ASローマなどが採用したことがあるが、オフェンシブの位置に選手が少ないため得点力に問題があり、あまり使用されていなかった。しかしアントニオ・コンテ指揮下のユヴェントスFCがこのフォーメーションを採用。中盤の底に類い稀なパス能力を誇るアンドレア・ピルロを配置してもう2人のボランチを攻守に走らせる戦術を採用してスクデットを獲得したことから、2010年代以降はセリエAを中心にしばしば採用されている。

3-4-3

3-4-3は3バックを主体とした、DFが3人、MFが4人、FWが3人という他に比べ前線の人数が多いフォーメーション。両サイドのFW(ウィング)とMF(サイドハーフ)による強力なサイドアタックを展開することができる。数あるフォーメーションの中で、最も攻撃的な布陣である。

フラット型

中盤の構成がセントラルMFが2人、両サイドMFが2人で、攻撃を重視したもの。最も均等にピッチ上に選手を配置するのでピッチ全体を使いやすく、強力なサイド攻撃が可能であるが、個々の能力とチームプレイとの融合が求められるサッカーでは、難しいフォーメーション。アルベルト・ザッケローニが好んで使用することで知られている。

ダイアモンド型(3-3-1-3 / 3-3-3-1 / 3-1-3-3)

中盤の構成が守備的MFが1人、両サイドMFが2人、攻撃的MFが1人で、極端に攻撃を重視する。多くのトライアングルを構成することができる。バルセロナのエル・ドリーム・チームや国内リーグの無敗優勝を達成した際のアヤックスのフォーメーションとしても知られる。3バックに限定しても、現代サッカーにおいては基本フォーメーションとして用いられることは少ないが、2002年日韓W杯においてフース・ヒディンク監督が率いた韓国代表はこれに近いフォーメーション戦術でベスト4の成績を残した。

3-6-1

3-5-2を発展させたもので、DF、守備的MF、両サイドMFまでは同じだが、前線をワントップツーシャドーにしているのが特徴。両サイドのMFはWBとしてピッチを上下移動して守備、攻撃に参加しなければならないので高い運動量が要求される。比較的守備が安定し、中盤のパス回しが効果的に行える事により、美しいロングカウンターを仕掛ける事が出来る。3-4-2-1と呼ぶ場合もある。Jリーグでは、サンフレッチェ広島が、2018年途中まで約10年にわたり採用していた。

トルシエ監督率いる日本代表も、シドニー五輪の時など時期によってオプションとして採用していた。


注釈

  1. ^ WORLD CLUB Champion Footballなどチーム編成を自由にできるサッカーゲームで0トップの配置をした場合、この扱いになる(GK以外のポジション区域がゴールラインに対し平行に設定されているため)。

出典

  1. ^ 西部謙司「戦術史」『戦術リストランテ』ソル・メディア、2011年、p.223頁。 
  2. ^ 西部謙司「新戦術が誕生するメカニズム」『戦術リストランテ』ソル・メディア、2011年、p.14-18頁。 
  3. ^ 西部謙司「新戦術が誕生するメカニズム」『戦術リストランテ』ソル・メディア、2011年、p.24-26頁。 
  4. ^ サッカーのフォーメーション徹底解説!最強はどれ?一覧でわかる様々なフォーメーション - IFサッカー塾”. ifsoccerschool.online (2023年6月2日). 2023年8月4日閲覧。
  5. ^ “ドイツ4点大勝、伝統刷新「ゼロトップ」”. 日刊スポーツ. (2014年6月18日). https://www.nikkansports.com/brazil2014/column/tsubo/news/p-cl-tp0-20140618-1319640.html 2017年10月11日閲覧。 





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