クロノ・ハラオウン 原作との相違点

クロノ・ハラオウン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/27 14:48 UTC 版)

原作との相違点

概要

原作では主役である。原作でもリンディの息子であったが、とある理由で彼女と決別し、クロノ・ハーヴェイと名乗っていた。原作でも魔法使いだが、当初は記憶を奪う『イデアシード』を巡り、悲しいものも含めた記憶を守ろうとするなのはの敵として登場した[10]。アニメ版のバリアジャケットがフェイトと同じく黒く攻撃的なのは、その時のデザインをほぼそのまま引き継いだためである。また、記憶を集めている少年とクロノが同一人物だと気づかなかったなのはと任務の外で出会い、彼女と恋に落ちるという設定だった。アニメではなのはよりも年上なのだが、原作ではなのはと同年代であり、技師であった。原作ではなのはと同様、クロノも生まれたときにはすでに父親がいなかった(ただし死別か離婚かは言及されていない)。また、なのは愛用の緑のリボンをS2Uと交換し、成長後は伸ばした髪をそれで結っていた[11]

『A's』以降では基本的に努力型の印象を与えている[12]が、原作では技師として頭の回転がきわめて速いだけでなく、高度な魔法の使用や御神流の模擬戦を目で追える、とある重大プロジェクトのリーダーとなるなどポテンシャルや才能の高さを伺わせる描写が目立っていた。魔法に関してかなりの素質を秘めたなのはをリンディが評する際にも「あの子(クロノ)と同じくらいの素質」と断じており、おそらくクロノもまた天才であると思われる。しかし魔法のパワーはなのはほど強くはなく、技術型であった。片親、技師、ゲームや計算が得意、電化製品への拘りなど、保有設定のその多くがなのはの良き伴侶となるように作られていた。

アニメでは人当たりの強さや少々の生意気っぽさが強調されていたが、原作での性格設定は気は強いながらもどちらかと言えばフェイトに近く、物静かさと礼儀正しさ、そしてどこかに消えてしまいそうな儚さが強調されており、母親や好意をよせ合うなのはの前では歳相応のやわらかい面や、自分は弱く、悲しいのも相手を悲しくさせるのも嫌いであるという心の弱い面を見せていた。アニメ版よりも愛想はよく[13]、ユーノを思わせる雰囲気も持つ。理屈をこねて本心を素直に見せない面や緊急時の気の強さはアニメ版のクロノと共通である。また、どこかしら恭也に似た雰囲気を纏っており、それがなのはを惹きつけた一因となっていた。「犠牲」に対して一種の諦めのようなものを抱いており、技師である自分を代えのきく存在と評して自分すらも必要な犠牲と見なしていた[14]。逆に言えば、このような儚さを持たず無愛想だが前向きなアニメ版のクロノは原作の恭也に原作以上にキャラクターが近づいているといえる。

アニメでは父親の死、原作ではミッドチルダへの危機の接近を契機にどちらのクロノも頑なな心を持つようになる。しかし悲しみへの対処はすでに性格矯正を終え前向きであるアニメ版とは異なり、最も論理的かつ機械的な「悲しみの記憶を消し去り、初めからなかったことにする」という行為を選択している。それは自分を犠牲とすべき時、恋人であるなのはに対してですら例外ではない。なのはや高町家との触れ合いを通して、クロノの中のその氷は次第に融かされていくこととなる[15]。アニメ版においてはクロノに対するその役割は、原作のクロノと同時期にすでにエイミィ・リミエッタが担っていたともいえる。

原作ファン向けのサービスとして1期ではなのはのような性格の年下の凛々しい娘が好みであるという設定があり、なのはに対して気のある素振りを見せていたが、『A's』が開始されて以後そのような描写は一切なく、事実上その設定は雲散霧消してしまったようだ[16]。同時に『StrikerS』では妻となるエイミィ・リミエッタ側の設定も、第1期の段階では純然たる姉的存在となっていた[17]

特記事項

  • 第1期放送中は原作のようになのはと恋愛関係が成立することを望む声が都築真紀のサイトに送られたが、都築はその尽くにはぐらかすようなコメントで返している。またアニメで恋愛描写を使用すること自体に難色を示すようなコメントも返しており、事実、本編情報や公式インタビューも含めメインキャラクターが関わるどの相互関係にも「恋愛」は登場していない。ただし同時に、更新が行われた範囲内では恋愛関係の可能性を否定するようなコメントも返さなかった。
  • アニメ版で年齢が5つ上がったことに対しては、原作カップリングの否定というわけではなくただこの方が役割的に立ち回りやすかったからと都築のサイトでコメントされていた。また原作のストーリーや配役を大きく変えたことに対しては、アニメ本編に「原作販売のための内容紹介と宣伝」という役割が無くアニメオンリーで勝負をかけるためには新作として原作を新しい枠内に再構築する必要があり、一度壊して組み直すほうが結果的に綺麗に再構築できたからとも語られていた[18]
  • クロノは『リリカルおもちゃ箱』発売時に物語の美しさから強い支持を得ると同時に、前作で恭也に強く感情移入したファンにいわゆる「寝取られ」や「妹/娘を取られた」ような印象を与えてしまい、強い不支持も抱えた過去を持つ。

  1. ^ 第1期の小説版では執務官暦3年となっており、合格は11歳時となる。アニメ版での設定は明かされていない。
  2. ^ 特になのはに恋愛感情を抱いていたと思われた第1期やA's序盤においては、なのはと仲の良いユーノに嫉妬の感情を抱いていたのが原因とも思われたが、真偽は不明。
  3. ^ 旧公式ページのweb拍手レス2005/11/21を参照。「なのはよりもびみょーーーに上限値が低いくらいで、さしたる差はない」とのこと。
  4. ^ なお、『StrikerS』においては高橋は新たにキャロ・ル・ルシエを、杉田は引き続きクロノを演じている。
  5. ^ 本人は、収集された覚えがないので驚いていたが、エイミィからは「生真面目だからじゃないの」と冗談とも本気ともとれる発言をされており、ヴィータシナリオでは、守護騎士であるヴィータも驚いていた。このシナリオでのクロノ本人曰く、闇の書に蒐集されなくても闇の書の闇と直接的な戦闘を行った者の記憶や思いも再生されるらしい。このシナリオで既に守護騎士達と和解していることがわかる。はやて曰く、「偽者でもカタブツ」とのこと。
  6. ^ その後、エイミィから「そういうところが可愛くもあるんだけどね」と小声で言う場面があり、少なくてもエイミィはクロノを異性として見ている節があった
  7. ^ ただし、異性の中でもっともクロノと行動しており、クロノが最初に心を開いた相手であるなどクロノにとってエイミィは特別な存在である描写が存在しており、特に『The MOVIE 2nd A's』ではその部分が強調されている。『魔法少女リリカルなのはA's サウンドステージ03』でフェイトがハラオウン家入りする際、エイミィを「お姉ちゃん」と呼ぶ場面があり、フェイト的にはクロノとエイミィが結ばれることを望んでいると思われる節があった
  8. ^ この場合はなのは、フェイト、はやてのことであり、新キャラ達は含まない。
  9. ^ ただしクロノ自身は「なんだそれは」と否定気味であった。
  10. ^ 争奪戦という点では、第1期における『ジュエルシード』を巡ったなのはとフェイトの対立に近いが、アニメ版とは違い、戦闘シーンがある訳ではない。
  11. ^ イベント的にはフェイトとのリボン交換に近い。またアニメ版では、ユーノがなのはの緑のリボンで長髪を結っている。
  12. ^ 1期時点では原作とさほど有能さに差がないことを示唆するコメントも出ている。ただし『A's』以降も該当するかは不明。
  13. ^ 美由希によると、小さい頃の恭也に似ているが恭也はこれほど愛想はよくなかったそうだ。
  14. ^ アニメ版のクロノについて原作者は「なんか結構キャラが違いますが、母親ともども「本来はこういう子」と受け取ってもらえると…。」と言っている。ただし、『A's』の構想があるかないかの段階でのコメントであるため、現在は異なっているかもしれない。
  15. ^ これは別の見方をすれば、ヒロイン的ともいえる。重い問題を抱え主人公に救われる側に位置するためにスポットライトが当たり、同原作者の作品群において男性キャラクターながら目立った活躍の存在する、数少ない例のひとつとなっている。
  16. ^ 『A's』のスターターブックではこれをフェイトという妹的存在の世話に夢中だからと説明している。また、これを原作のアレンジである第1期から脱却し、完全オリジナルである『StrikerS』へと向かう過渡期とする見方もある。
  17. ^ エイミィはプロットでは「通信士A」であり、クロノと軽口でやり取りできるキャラが欲しいと言う理由で生まれたキャラだった。また第1期終了直後は「姉が弟をかまいすぎるタイプの姉弟」、「クロノに恋人ができたら寂しがるよりむしろそれをネタに弄る」と都築のサイトでコメントされており、原作カップリングの再現への期待はとくに否定されてもいなかった。そのため、原作時代から思い入れの深いファンやアニメから原作に遡ってクロノに深く感情移入したファン等の中に、『StrikerS』の他は楽しめてもここだけは、というような大きなしこりを残す結果となった。また『A's』まで担当声優であった高橋美佳子はDVD『魔法少女リリカルなのはStrikerS Vol.2』収録の出演声優インタビューにおいて、「なのはのことがまだ好きだと思っていた」と談笑交じりに驚きを表している。
  18. ^ 旧公式ページのweb拍手レス2005/07/31および2005/07/10を参照。なお、同様の記述として「魔法少女リリカルなのは」の概要も参照。






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