訴訟物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/02 04:07 UTC 版)
訴訟物(そしょうぶつ、ドイツ語: Streitgegenstand)とは、民事訴訟法学上の基本概念の一つである。
注釈
- ^ 原告がいくつかの法的主張を持ち出したときに、これを単に請求原因が複数主張されているだけとみるのか、それとも複数の請求(広義の請求)がなされているとみるのか。
- ^ 原告が法的主張を変化させたときに、これを単に請求原因の変更とみるのか、それとも従前とは別の請求(広義の請求)がなされているとみるのか。
- ^ ただし、旧訴訟物理論によっても、後訴は被告に占有がないという実体法上の理由により請求棄却判決が出されることとなるのであり、旧訴訟物理論はこのような二重給付を認める趣旨に立つものではない[4]。
- ^ 「新」訴訟物理論とはいうが、日本の民事訴訟法学界に導入されたのは1950年代から1960年代ごろのことである。
- ^ 例えば、処分の名宛人の法的地位を剥奪する処分や申請拒否処分:最高裁 1967; 最高裁 1993
出典
- ^ a b 高橋宏志 2013, p. 25.
- ^ 髙橋宏志 2013, p. 25.
- ^ a b 高橋宏志 2013, p. 61.
- ^ 高橋宏志 2013, pp. 26–27.
- ^ a b 高橋宏志 2013, p. 27.
- ^ 高橋宏志 2013, p. 28.
- ^ 高橋宏志 2013, p. 29.
- ^ 高橋宏志 2013, p. 30.
- ^ 人見 2014, p. 218、一次文献は山本 1998, p. 133
- ^ 人見 2014, p. 218、一次文献は高橋宏志 2013, p. 60 -。
- ^ 斎藤 2007, p. 136「ただし、行政事件は社会的意義ある世論喚起的事件も多いので、訴訟費用は最低限にすべきであるとは考える」
- ^ 人見 2014, p. 217、「行政訴訟においても訴訟物の概念は有用なものとして用いられてきたと述べたのであるが、実は「通常の民事訴訟の場合には、たしかに原告の設定する請求が訴訟物となって裁判の土俵を確定し、二重起訴や判決の既判力の範囲を決めるから、この範囲をどうみるかは訴訟のアイデンティティ(同一性)を見極めるのに極めて重要な意味をもつと考えられる。だが、取消訴訟の場合には、特定の行政処分の取消を求めてその違法性を争うものであるから、取消の対象となる処分の同一性を論ずるのは有意味であるが、訴訟物が何かは、民事訴訟におけるほどの重要性をもつとはいいがたい」(原田 2012, p. 408)。」
- ^ 人見 2014, p. 218、一次文献は宮崎 & , p. 196、遠藤 & 阿部 1982, p. 223、原田 2012, p. 400 -
- ^ 人見 2014, p. 218、一次文献は宇賀 2014, p. 125
- ^ 人見 2014, p. 213 - 217。
- ^ 人見 2014, p. 213、「行政処分は、たとえ違法の瑕疵を帯びていても、それが無効事由と認められるものでなければ有効なものとして妥当するので、取消訴訟はそうした有効な行政処分の効力を消滅させる形成訴訟と性格付けられ、その形成要件が行政処分の違法性であることから、民事訴訟の形成訴訟の訴訟物論にならって、行政処分の違法性が訴訟物となる。そして、そこでいう行政処分の違法性とは、個々の違法事由ではなく、係争処分の違法性一般であるとするのが判例・通説である(兼子 1965, p. 165、兼子 1954, p. 93、滝川 1956, p. 1440、雄川 1966, p. 61、近藤, p. 332、原田 2012, p. 408 -、最高裁 1974)。したがって個別の違法事由は、訴訟物ではなく、それを根拠付ける攻撃防御方法の1つに過ぎない。」
- ^ 人見 2014, p. 213、「この通説の訴訟物論の帰結として、①原告は、結審まで時機に後れない限り処分の違法原因を追加・変更することができ、②被告も結審まで係争「処分の効力を維持するため一切の法律上及び事実上の根拠を主張することが許され」(最高裁 1978)、処分理由の追加・差替えが認められる(最高裁 1999)。また③請求棄却判決が確定するとその既判力により当該処分の違法性の主張がすべて遮断される(最高裁 1973)」
- ^ 司法研修所 2000, p. 143
- ^ 違法性一般説に対する批判については例えば塩野 2019, p. 184 - 188
- ^ 人見 2014, p. 214、一次文献は司法研修所 2000, p. 149 -。
- ^ a b 人見 2014, p. 214
- ^ 司法研修所 2000, p. 45
- ^ 司法研修所 2000, p. 45; 斎藤 2007, p. 136; 一次文献はともに最高裁 1959。
- ^ 司法研修所 2000, p. 55
- ^ 斎藤 2007, p. 136、種々の具体的な事例については司法研修所 2000, p. 51 - 55を見よ。
- ^ 司法研修所 2000, p. 51
- ^ 司法研修所 2000, p. 54
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