脳磁図の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/29 14:41 UTC 版)
脳磁図がはじめて計測に利用されたのは1968年にデービッド・コーエン (David Cohen) によってである。超伝導量子干渉計(SQUID)が利用される以前は、検出器として銅製の誘起コイル (インダクションコイル) が用いられた。背景磁場ノイズを減らすために、計測は磁場がシールドされた部屋で行われる。しかし、検出器の感受性の低さにより、脳磁図により得られた信号は乏しく、ノイズの多いもので、実用に難いものであった。彼が MIT にいた後半に、より良く磁場がシールドされた部屋を建設し、最初期の SQUID 検出器 (当時ちょうどツィンマーマン (Zimmerman)によって開発されたもの) を用いて、再度脳磁図による計測を行った。この時得られた信号は脳波計 (EEG) に匹敵するほどクリアなものであり、当時超伝導量子干渉計の使用法を模索していた物理学者の興味を惹きつけた。そのようにして、脳磁図が使用されるに到り、様々な種類の自発脳磁場、及び誘起脳磁場が計測されるようになった。 初期には、被験者の頭部の様々な位置における磁場を計測するために、SQUID 検出器による1センサー計測を繰り返し行っていた。しかし、それではあまりに煩雑なので、1980年代に脳磁図の製造者によって頭部を取り囲むデュワーを大きくし、内部のセンサーの数が増やされた。現在の脳磁図のデュワーはヘルメット形になり、内部には300ものセンサーが存在し、頭部のほぼ全域をカバーしている。このような方法により、被験者、または患者の脳磁場は素早く、効果的に得られるようになった。
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