福岡式石油発動機関車とは? わかりやすく解説

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福岡式石油発動機関車

(石油発動車 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/09 06:30 UTC 版)

福岡式石油発動機関車(ふくおかしきせきゆはつどうきかんしゃ)は、大阪府に所在した福岡鐵工所1904年(明治37年)から1910年(明治43年)にかけて製造した内燃機関車


注釈

  1. ^ 先行してアメリカ合衆国のミーツ&ワイス社によって開発された、初期の焼玉発動機のコピー的製品で、水の自然蒸発に頼った原始的冷却方式を使っていたと推定され、蒸発した水蒸気は煙突から排気ガスともども排出されたとみられる。坂上茂樹「多燃料発動機の時代と日本」『経済学雑誌(110(4))』、大阪市立大学経済学部、2010年。 
  2. ^ 文献によっては80輌以上とするものもあるが、早期に運用停止した事業者から他社に譲渡された車両を重複計算している可能性があり、正確な数値は判然としない。
  3. ^ 坂上の前掲論文(2010)においては、このエンジンが本来当初時点でも15PS程度の出力を期待できるサイズにもかかわらず、エンジン位置が運転室と隔たっている構造で、焼玉部分に注水を図って視認しながら温度制御管理を行う「注水式」のヘッド構造を採れなかったため、定格出力を大幅に切り下げて名目負荷を下げ、無注水方式の焼玉構造を実現していたと推定している(この無注水焼玉構造は、スウェーデンのボリンダー社によって1910年代に実用化され、一時小型舶用に広く普及した、より進歩的な無注水焼玉発動機とは無関係であった)。
  4. ^ 副産物として、初期の焼玉エンジンには通常、硫黄分の面で質的に適さなかった重油の使用が強行できたようであるが、本来の燃料である灯油軽油に比べると排気ガスの臭気が強いため、沿線住民の不評を買った。
  5. ^ 発進時や勾配、過過重による実用上の過負荷は必至で、名目定格を切り下げていたとしてもトラブルは避け難かった。
  6. ^ 申請に対する認可という形で各軌道ごとに施行された。
  7. ^ 筑後軌道、祐徳軌道。また朝倉軌道では福岡式石油発動機関車と蒸気機関車を両方購入して使用成績の良かった蒸気機関車に統一している。(出典:湯口徹  『石油発動機関車―福岡駒吉とわが国初の内燃機関車 (RM LIBRARY 115)』 )
  8. ^ 最大在籍輌数は20輌。廃線前の1939年(昭和14年)4月に偶然同地を訪れた牧野俊介が撮影した写真と記述(『昔々の軽便のアルバム 自転車に抜かれたコッペルたち』プレス・アイゼンバーン、1980年、pp94-99)によれば、当時少なくともNos.2・7・10・12・18の5両が現役として存在し、車庫には10両分以上の石油発動車用部品が蓄積されていたという。なお、1934年(昭和9年)の段階で羽犬塚 - 黒木間の路線長は17.2 km、自動車では所要50分のところを石油発動車は1時間20分かけて運行していた。

出典

  1. ^ 特許の際の名称は「石油発動機関車」、銘板記載の名称は「石油瓦斯発動車」である(出典:湯口徹『石油発動機関車―福岡駒吉とわが国初の内燃機関車 (RM LIBRARY 115)』ネコ・パブリッシング、2009年。ISBN 9784777052530 
  2. ^ 筑後軌道の車両
  3. ^ 湯口徹「福岡鉄工所の石油発動車」『鉄道史料』、鉄道史料保存会、1995年。 


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