姫鶴一文字とは? わかりやすく解説

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姫鶴一文字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/24 03:16 UTC 版)

姫鶴一文字(ひめつるいちもんじ / ひめづるいちもんじ)は、鎌倉時代に作られたとされる日本刀太刀)。日本の重要文化財に指定[1]されており、山形県米沢市にある米沢市上杉博物館が所蔵する(米沢市所有)[2]。指定名称は「太刀 銘一」(たち めいいち[3])で、外装も「打刀拵」(うちがたなごしらえ)の名称で重要文化財の附(つけたり)[注釈 1]として指定されている[1][2][注釈 2]上杉家伝来[1]


注釈

  1. ^ 重要文化財の「附」とは、当該重要文化財と一体的な価値を有するものとして、共に保存を図る付属品、参考資料等を指す。
  2. ^ 指定名称には「姫鶴一文字」の文言は入らない。官報告示における指定名称は半改行を含み「太刀銘一
    」と表記する(原文は縦書き)。)
  3. ^ 2.0センチメートルとする資料も存在する[4]
  4. ^ 現在では青がかった緑色となっているが、これは燻革(ふすべかわ:松葉などの煙でいぶした革。武具に使うものは鹿革をいぶしたものが一般的である)を藍染めにしたため、経年変化で色が褪せた結果、このような色味になったと推測されている[20]

用語解説

  1. ^ 「刃文」は、赤く焼けた刀身を水で焼き入れを行った際に、急冷することであられる刃部分の白い模様である[11]。焼き入れ時に焼付土を刀身につけるが、地鉄部分と刃部分の焼付土の厚みが異なるので急冷時に温度差が生じることで鉄の組織が変化して発生する[11]。この焼付土の付け方によって刃文が変化するため、流派や刀工の特徴がよく表れる[11]
  2. ^ 「腰反り」とは、刀身の反りの中心が手元よりにあるものを指す。「踏ん張りがある」とは、刀身の元幅と先幅の差が大きい意。
  3. ^ 「地鉄」は、別名で鍛えや地肌とも呼ばれており、刃の濃いグレーや薄いグレーが折り重なって見えてる文様のことである[15]。これらの文様は原料の鉄を折り返しては延ばすのを繰り返す鍛錬を経て、鍛着した面が線となって刀身表面に現れるものであり、1つの刀に様々な文様(肌)が現れる中で、最も強く出ている文様を指している[15]
  4. ^ 「「映り」とは、刃文の影のような模様が平地(刀身の焼きの入っていない部分)に見えるもの。「映り」は他地方の刀剣にもあるが、備前刀に特に顕著にみられる。
  5. ^ 「刃文を構成する鋼の粒子が肉眼で見分けられる程度に大きいものを「沸」(にえ)、粒子が一粒一粒見分けられない程度に細かいものを「匂」と称する。刃文が匂出来となるのは備前刀の特色である。
  6. ^ 「「帽子」とは切先部分の刃文のこと。「一枚」とは、切先部分の焼き入れが深く、切先全体に焼きが入っているような状態を指す。
  7. ^ 「「佩表」とは、太刀を、刃を下、棟を上にして左腰から提げた場合に、体の外側になる面を指す。

出典

  1. ^ a b c d 昭和24年5月30日文部省告示第149号(参照:国立国会図書館デジタルコレクション
  2. ^ a b 文化庁 2000, p. 46.
  3. ^ 太刀〈銘一/〉 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  4. ^ a b 堀本一繁 著「35 重要文化財 太刀 銘 一 号 姫鶴一文字」、福岡市博物館 編『特別展 侍 もののふの美の系譜』2019年9月7日、207頁。 NCID BB29348637 
  5. ^ a b c 福岡一文字派- 刀剣ワールド 2021年08月25日 閲覧
  6. ^ a b 渡邉 2011, p. 38.
  7. ^ 日本美術刀剣保存協会協力団体庄内支部『歴史を物語る名刀展 1-1』日本美術刀剣保存協会協力団体庄内支部、2012年7月15日。 オリジナルの2017年11月11日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20171111041740/http://toukensyonai.blog.fc2.com/blog-entry-94.html2017年11月11日閲覧 
  8. ^ a b 米沢市上杉博物館 2001, p. 13.
  9. ^ 福永酔剣『日本刀おもしろ話』雄山閣出版、2000年6月25日、67-68頁。ISBN 4639015399NCID BA36653779 
  10. ^ a b “上杉謙信が認めた、姫の名を持つ名刀” (日本語). 週刊朝日 (朝日新聞社): pp. 55. (2017年3月3日) 
  11. ^ a b c 刀剣春秋編集部 2016, p. 176.
  12. ^ a b c 福永 2020, p. 319.
  13. ^ 昭和12年12月24日文部省告示第434号(参照:国立国会図書館デジタルコレクション、5コマ目)
  14. ^ a b c d “上杉家の太刀、 米沢市が購入へ 新博物館の資料に / 山形” (日本語). 朝日新聞 (朝日新聞社). (1997年5月24日) 
  15. ^ a b 刀剣春秋編集部 2016, p. 174.
  16. ^ a b 渡邉 2017, p. 27.
  17. ^ a b 廣井 2001, p. 74.
  18. ^ 栗形」『デジタル大辞泉』、朝日新聞社。 オリジナルの2019年2月11日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20190211013431/https://kotobank.jp/word/%E6%A0%97%E5%BD%A2-486082 
  19. ^ 輪鼓/輪子」『デジタル大辞泉』、朝日新聞社。 オリジナルの2019年2月11日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20190211014605/https://kotobank.jp/word/%E8%BC%AA%E9%BC%93-658679 
  20. ^ 高山 2006, p. 25.


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