ヨーゼフ・ロート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 00:12 UTC 版)
ヨーゼフ・ロート(ドイツ語: Joseph Roth, 1894年9月2日 - 1939年5月27日)は、オーストリアの作家。第一次世界大戦に従軍した後、ジャーナリストとして活動する一方で、明晰な文体で物語性に富む小説を次々と発表した。主な作品に『果てしなき逃走』『ラデツキー行進曲』『聖なる酔っぱらいの伝説』などがある[1]。ユダヤ系であり、政治的にはシオニズム思想を支持する一方で、多民族が共存していたかつてのオーストリア=ハンガリー帝国に郷愁を抱き続けた[1]。『ラデツキー行進曲』では、理念としての「多民族国家」を高らかに謳いあげている[1]。ヒトラーの政権掌握後はフランスなど各国を転々と亡命し、パリで病死した[1]。
注釈
- ^ 彼はのちに、東欧からのウィーンへの難民が、当時はほとんどがユダヤ人地区であったレオポルドシュタットのコーヒーハウスに入り浸ることでウィーンでの新生活に適応することについて書き記している[7]。また、ハプスブルク東端のガリツィアから難民としてウィーンに逃れてきた人々は目立ち、すでにウィーン人となって市の中心部にいる人々は彼らと一緒くたにされることを好まなかったと証言している[5][8]。ロートは、彼らは同郷の者同士で結婚し、子だくさんで、服装においても言語においても西欧ユダヤ人とは全く似ていなかったし、衛生観念も乏しかったことも人々の差別感情を助長したので、同胞からも見捨てられた存在であったと述べている[8]。
出典
- ^ a b c d e f g h 池内(1995)pp.198-199
- ^ a b c d e f g h i j k 池内紀訳『聖なる酔っぱらいの伝説』(1995)解説 pp.165-171
- ^ a b 『ウィーン世紀末文学選』(1989)p.298
- ^ P.ホフマン(2014)p.214
- ^ a b P.ホフマン(2014)pp.220-221
- ^ 森本(1992)p.88
- ^ P.ホフマン(2014)p.71
- ^ a b 野村(1988)p.254
- ^ F.ブライ『同時代人の肖像』(1981)p.171
- ^ 倉田(2006)p.154
- ^ a b c d e f g h i j P.ホフマン(2014)pp.338-339
- ^ 丸谷(2012)p.347
- ^ a b 丸谷(2012)pp.348-350
- 1 ヨーゼフ・ロートとは
- 2 ヨーゼフ・ロートの概要
- 3 脚注
固有名詞の分類
- ヨーゼフ・ロートのページへのリンク