ベックマン転位
ベックマン転移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 02:18 UTC 版)
「ε-カプロラクタム」の記事における「ベックマン転移」の解説
シクロヘキサノンオキシムのベックマン転移は、発煙硫酸によって行われていた。この方法は、反応に使用した硫酸をアンモニアで中和するためカプロラクタム 1トンあたり約 1.7 トンの硫酸アンモニウムを副生する。 発煙硫酸を使用しない方法として、ハイシリカMFIゼオライト触媒を用いて気相ベックマン転位を行うことで、目的物のカプロラクタムが得る方法が住友化学により開発された。全く硫酸アンモニウムを副生しない触媒的な合成法として、高く評価されている。本法は2003年に住友化学により工業化され、また気相ベックマン転位法に関し、2003年度グリーン・サステイナブル ケミストリー(GSC)賞経済産業大臣賞を受賞した。なお、ハイシリカゼオライトは名前の通り、アルミナをほとんど含まず、酸点をほとんど有していない。またアルミナの比率が高いゼオライトは、本反応にあまり有効ではない。従って、その酸触媒作用機構には興味が持たれている。 発煙硫酸を使用しない方法として、塩化シアヌル触媒によりベックマン転移させてカプロラクタムを得る方法が開発されている方法も開発された。従来は有害な塩化ニトロシルを使う必要があり、生成したシクロヘキサノンオキシムも塩酸塩となってしまって効率が悪いという問題点があったが、この方法では硫酸アンモニウムなどの不要な廃棄物がほとんど発生しないうえ、シクロヘキサンをからシクロヘキサノンオキシムとしさらにベックマン転移までワンポット合成であるため全収率は約75%に達する。
※この「ベックマン転移」の解説は、「ε-カプロラクタム」の解説の一部です。
「ベックマン転移」を含む「ε-カプロラクタム」の記事については、「ε-カプロラクタム」の概要を参照ください。
- ベックマン転移のページへのリンク