キヤノンRFマウントとは? わかりやすく解説

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キヤノンRFマウント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/17 05:08 UTC 版)

キヤノン EOS R5に搭載されているRFマウント
RFマウントレンズ(RF28-70mm F2 L USM)

キヤノンRFマウント(キャノン アールエフ マウント)はキヤノンEOSミラーレス一眼カメラEOS Rシステムレンズマウントである。RFマウントと呼ばれることもある[1][2]

沿革

発表まで

キヤノンは2012年平成24年)に「キヤノン EOS M」でミラーレス市場に参入し以降EOS Mシリーズを展開していたが、同シリーズではAPS-Cサイズイメージセンサーを採用しており、レンズマウントとしてはEF-Mレンズマウントを開発して採用していた。同シリーズは小型軽量でAPS-Cセンサー向けというコンセプトの特性上、35mmフルサイズの機種を開発したとしてもそのレンズマウントにEF-Mマウントを採用することは技術的に制約があった。当初、EF-Mマウントでフルサイズカメラを実現することも検討したが、目標とする性能が出ないなど、満足のいく結果が得られなかったとして、フルサイズミラーレスカメラを開発する上で、EF-Mマウントより大型となる新マウントを採用することとした[3][4][5]

発表

2018年(平成30年)9月5日、キヤノンは「EOS Rシステム」を発表し、カメラボディ(キヤノン EOS R)、RFレンズ(RF24-105mm F4 L IS USM、RF50mm F1.2 L USM、RF28-70mm F2 L USM、RF35mm F1.8 MACRO IS STM)、EFマウントとのマウントアダプター[注釈 1]を発表した[6][7][8][9][10]

2019年(平成31年)2月14日、キヤノンは6機種[注釈 2]のRFレンズの開発発表を行った。同年度中の発売を目指している[11][12]。この発表により、解放F値が2.8の、いわゆる大三元ズームレンズがすべて登場することが明らかにされた[12]。また、同日には新たにRFマウントを採用し、エントリーモデルとなるキヤノン EOS RPが発表され、3月14日に発売した[13]

製品展開

APS-Cサイズ向けの展開に関しては、すでにEF-Mマウントが展開されているが、発表時に「できないことはないが、将来については語れない」としていた[7]

その後2022年令和4年)5月24日、APS-CサイズのセンサーでRFマウントを採用する「キヤノン EOS R7」と「キヤノン EOS R10」が発表された。

EFレンズで設けられていたさまざまな制約から解放され、従来考えられなかったスペックのレンズの開発が予期される[10]

大型化したマウントサイズ(口径)と一眼レフより短縮されたバックフォーカスの特徴を生かした交換レンズとしては、小型軽量で販売価格も格安のRF16mm F2.8 STMや、一眼レフ用よりさらにF値が明るいRF28-70mm F2 L USMを発売している。

2023年(令和5年)2月、EOS Kissの流れを汲むAPS-Cサイズ搭載の「キヤノン EOS R50」(EOS Kissの後継モデル)を、フルサイズの「キヤノン EOS R8」を、それぞれ展開することを発表した。

機能

マウントデザインには「マウントコアデザイン」という考え方が採用されている[9]

マウントのフランジバックは従来EFレンズの44ミリから20ミリと短くなり、内径はEFマウントと同じ54ミリとなった。EFマウントでは8点だった電子接点の数を12点にするなど、レンズとカメラボディ間の通信システムを新しくしており、フォーカスや絞り、手ブレ量といった撮影に必要なデータや、レンズ上のコントロールリングやレンズ情報表示用のデータ、デジタルレンズオプティマイザ(DLO)用の周辺光量、歪曲収差、色収差、回折などのデータを、EFマウントより高速、大容量で通信できる[4][9][10]

EFレンズにマウントアダプターを介してEOS Rシリーズで使用するよりも、レンズ長の短縮、DLOの搭載や周辺の改良による画質の向上、EVFの高速表示、静止画・動画撮影時のリアルタイムのカメラ内電子光学補正などのメリットがある[14]

RFレンズにおいてはEFマウントのレンズと同じようにUSM(超音波モータ)やSTM(ステッピングモータ)が用いられ、IS(手ブレ補正機構)が搭載されている。また上位機種のLシリーズ、Lレンズも展開されている。

APS-Cサイズセンサーを搭載したカメラにイメージサークルを最適化したレンズはRF-Sレンズと称する。RF-Sレンズは35ミリフルサイズセンサーを搭載したRFマウントのカメラにも装着・使用可能であるが、撮影範囲はクロップ機能でAPS-Cサイズ相当に限定される。

採用機種

フルサイズセンサーカメラ
APS-Cサイズセンサーカメラ
  • キヤノン EOS R7
  • キヤノン EOS R10
  • キヤノン EOS R50
レンズ・マウントアダプター
2019年11月現在計10機種が発売されている

脚注

注釈

  1. ^ マウントアダプター(EF-EOS R)、コントロールリング マウントアダプター(EF-EOS R)、ドロップインフィルター マウントアダプター(EF-EOS R ※ドロップイン 円偏光フィルター A付)、ドロップインフィルター マウントアダプター(EF-EOS R ※ドロップイン 可変式NDフィルター A付)
  2. ^ ズーム全域で開放F値2.8の大口径ズームレンズ3機種(“RF15-35mm F2.8 L IS USM”、“RF24-70mm F2.8 L IS USM”、“RF70-200mm F2.8 L IS USM”)、開放F値1.2の大口径中望遠単焦点レンズ2機種(“RF85mm F1.2 L USM”、“RF85mm F1.2 L USM DS”)、高倍率ズームレンズ1機種(“RF24-240mm F4-6.3 IS USM”)

出典

  1. ^ キヤノン初のフルサイズミラーレス「EOS R」詳細レポート!”. 価格コムマガジン. 2019年12月26日閲覧。
  2. ^ キヤノンEOS Rシステム特集 Chapter 1:とことん教えて! EOS “R””. ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン. 2019年12月26日閲覧。
  3. ^ インタビュー:キヤノンに訊く「EOS M」の戦略”. デジカメWatch. 2019年10月23日閲覧。
  4. ^ a b なぜ今、カメラ各社が新マウントを出すのか”. ITmedia. 2019年10月23日閲覧。
  5. ^ キヤノン説明会で聞いた「ミラーレス大口径マウントのメリットと実例」”. デジカメWatch. 2019年10月23日閲覧。
  6. ^ 光学の可能性を広げる新イメージングシステム“EOS Rシステム”が誕生 カメラ・レンズで構成する「EOSシステム」がさらに拡大』(プレスリリース)キヤノン、2018年9月5日https://global.canon/ja/news/2018/20180905.html2019年10月11日閲覧 
  7. ^ a b フルサイズミラーレスで新たなステージへ キヤノン EOS R 発表会”. デジカメWatch. 2019年10月23日閲覧。
  8. ^ キヤノン「EOS R」発表会で実写レビュー+レンズ選びしてきたっ!!”. ascii. 2019年10月23日閲覧。
  9. ^ a b c キヤノン、フルサイズミラーレスカメラ「EOS R」を発表 デジカメ Watch 2018年9月5日
  10. ^ a b c キヤノン、新型マウント「RFマウント」を採用するフルサイズミラーレス一眼「EOS R」誕生。RFレンズ4本と、EFレンズを活用できるマウントアダプター4種も順次発売。”. 株式会社 サロン・エージェンシー. 2019年10月23日閲覧。
  11. ^ RFマウントを採用する交換レンズ“RFレンズ”6機種を開発 レンズラインアップの拡充により「EOS Rシステム」を強化』(プレスリリース)キヤノン、2019年2月14日https://global.canon/ja/news/2019/20190214.html2019年10月11日閲覧 
  12. ^ a b キヤノンRFマウント用レンズを年内に6本追加。ラインナップは10本に”. flick. 2019年10月23日閲覧。
  13. ^ キヤノン、「EOS RP」は3月14日発売。フルサイズミラーレスカメラのエントリーモデル”. phileweb. 2019年10月23日閲覧。
  14. ^ 「EOS R」開発者が語る EFレンズにはないRFレンズの新機能”. マイナビニュース. 2019年10月23日閲覧。



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