カートマン・レクターの鬼畜晩餐会とは? わかりやすく解説

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カートマン・レクターの鬼畜晩餐会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 06:15 UTC 版)

カートマン・レクターの鬼畜晩餐会』(原題:Scott Tenorman Must Die、直訳:スコット・テナーマン死すべし)はアメリカコメディ・セントラルのテレビアニメシリーズ『サウスパーク』の第70話(シーズン5第4話)である。2001年7月11日に放送された。監督・脚本は共にトレイ・パーカー。日本語版タイトルは他に「羊たちのチン毛食う」がある[1]

内容はエリック・カートマンの復讐劇であり、後の200回記念回である『200』『201』(シーズン14第2話、第3話)における出来事の原因となっている。日本語タイトルは、別題含め「ハンニバル・レクター」シリーズを元にしているが、レクターのパロディが用いられるのはごく一部である。

あらすじ

ある日のこと、カートマンが陰毛の束を手にスタンらの前に現れた。陰毛を見せびらかして「自分は大人になった」と主張するカートマンだが、当然仲間たちからはまともに相手にされない。そして騙されたことに気がついたカートマンは、自分に陰毛を10ドルで売った9年生のスコット・テナーマンのグループに抗議に行く。カートマンの返金要求に対し、テナーマンはさらに言葉巧みに騙し、カートマンは返金どころか新たに6.12ドルを騙し取られる。またも騙されたことに気づいたカートマンはスコットへの復讐を誓うものの、無意味にフォートコリンズに行かされるなど、心身ともに憔悴させられ、最後には泣き落としで金を返してもらおうとするが、子豚の真似をさせられた上に目の前で16ドルを燃やされてしまい、徹底的にプライドを傷つけられ完敗する。

カートマンは、映画『ハンニバル』に擬えて、ポニーにテナーマンのチンコを食い千切らせる計画を練る。カートマンはディンキンズ牧場でポニーを調教しようとするが、上手くいかない。ジンボは、復讐するならハンターになるべきで、そのためには相手の弱点を知るべきだとアドバイスする。ジンボとテナーマン宅を見張ったカートマンは、彼がレディオヘッドのファンであると知る。そこでカートマンは街の広場の大型モニターでインタビューを受けるレディオヘッドの番組を映し、レディオヘッドがテナーマンを扱き下ろす吹き替えを行うが、あまりに拙く唐突なため、画面を観る住人達は唖然とする。そこでテナーマンは、実は録画していた先日の子豚の真似をしたカートマンの映像をモニターに出力させ、住人達は惨めなカートマンに爆笑する(その際、あまりに笑いすぎてケニーが死ぬ)。

翌日、スタンらを呼んだカートマンは新たな復讐計画を伝え、協力を求める。曰くチリカーニバルを開き、その際にポニーにテナーマンのチンコを噛み千切らせ、さらにテナーマンが好きなレディオヘッドから罵倒させる、という荒唐無稽な計画だった。呆れたスタンらはその場を後にし、さらにカイルは匿名の電話をテナーマンに掛け、カートマンの計画を密告する。テナーマンは再びカートマンの裏を掻くため、両親に瀕死のポニーが牧場にいると嘘をつき、保護させようとする。さらに、仲間に町中の陰毛を集めさせ、カートマンに食べさせるチリに混ぜ込む。

チリカーニバルの日。やってきたテナーマンに対し、早くポニーの下へ連れていこうとするカートマンだったが、復讐計画を知るテナーマンは誘いを拒否して、先にチリの審査会をするよう求める。カートマンは渋々承諾し、スタンらを含めた観衆が見守る中、2人は互いのチリを実食する。テナーマンから感想を求められたカートマンはとても美味いと絶賛し、目論見が成功したテナーマンはネタバラシしようとするが、それを抑えてカートマンは自分が食べているのはテナーマンのではなく、摩り替えたシェフのチリだと説明し、さらにテナーマンの狙いをすべて看破していたことを明かす。驚くテナーマンや、カイルを余所にカートマンは本当の復讐計画を説明していく。

カートマンはカイルが密告することを予想しており、また、臆病者のテナーマンが自分ではなく両親を使ってポニーに対処しようとするだろうと正確に予測していた。そこでポニーの持ち主で牧場主のディンキーズに最近、家畜泥棒が頻発していると警戒させ、不法侵入したテナーマンの両親を射殺するよう仕向けた。そして、カートマンは2人の遺体を盗みだすとチリの材料に使ったことを明らかにする。驚いたテナーマンがチリを掻き分けると母親の指の肉片を発見し、泣き崩れる。そこにレディオヘッドのメンバーが現れ、事情を知らない彼らは泣き虫のガキがいるとテナーマンを散々に罵倒し、会場を後にする。カートマンはテナーマンの頬を流れる涙を直接舐めて復讐の味を堪能し、スタンとカイルはこれからはカートマンを怒らせないようにしようと話し合う。

テーマ・文化的背景

この回には、スコット・テナーマンのお気に入りのロックバンドとして、レディオヘッドのメンバーが本人役で出演する。レディオヘッドが何なのか知らないジンボに対し、カートマンとジンボの相棒・ネッドがバンドのデビュー曲である『クリープ』を歌ってみせる場面があるほか、ビデオにダビングされたMTVの番組の中で司会者のカート・ローダー英語版がバンドにインタビューをする場面もある。なお、ローダーはこの回より前に放送されたシーズン4の『ティミー!ティミー!ティミー!』においてパロディされている。

ポニーにスコットの陰茎をかみ切らせるというカートマンのアイデアは、この回が放送される数か月前に配給された映画『ハンニバル』の「奇形の男が自分の敵対者を生きたまま巨大な豚に食わせる」というアイデアが基になっている[2]:50

カートマンがスコットからフォートコリンズでのPube Fair(日本語版では「チン毛祭り」)について聞かされて立ち去る際の台詞は、ピンク・フロイドのアルバム『アニマルズ』に収録されている「ピッグス(三種類のタイプ)」を基にしたものである。

回の終わりでカートマンが出てくる場面はルーニー・テューンズポーキー・ピッグのパロディであり[3]:733 、悲劇的なストーリーがコメディじみた世界観を覆してしまったことに対する皮肉を強調したものである[2]:51 It also has been viewed as a reminder about the fact that even the classic cartoons had "a dark side in their own right."[4]:148

本話のプロットは「主人公が、自分に屈辱を与えた相手に対し、その肉親を料理にして食べさせる」という点において、ウィリアム・シェイクスピアの『タイタス・アンドロニカス』と比較されたことがあり[4]:148、一部の作家は「シェイクスピア悲劇英語版をほのめかすだけでなく、実際に再現してみせた」とも評している。

評価と人気

ストーンによれば、この回は『サウスパーク』の中でも特に人気があり、同時に悪名高いエピソードのひとつである[5]。実際、「WhatCulture」や「IGN」、「Kotaku」などの、『サウスパーク』のベストエピソードのランキングにも多く登場している[6][7][8]。パーカーとストーンは、2003年と2006年にそれぞれ気に入っているエピソードを挙げているが[9][10]、この回はどちらにも入っている。2011年にファンによって行われた人気投票では、200話を超える中から第2位に選ばれた(なお、1位はシーズン10の第8話「Make Love, Not Warcraft」)[11]

脚注

  1. ^ ポニーキャニオン - SOUTH PARK:THE HITS〜「マット&トレイ」が選ぶBEST 10~:DVD”. ポニーキャニオン. 2020年7月6日閲覧。
  2. ^ a b Gossage, Anne (2009). “3. 'Yon Fart Doth Smell of Elderberries Sweet': South Park and Shakespeare”. In Stratyner, Leslie; Keller, James R.. The Deep End of South Park: Critical Essays on Television's Shocking Cartoon Series. McFarland. pp. 42–62. ISBN 978-0-7864-4307-9. https://books.google.com/books?id=q_dHbk7CdOkC&pg=PA42 2012年1月13日閲覧。 
  3. ^ Teague, Fran (2012). “Chapter 39. Shakespeare and America”. In Kinney, Arthur F.. The Oxford Handbook of Shakespeare. Oxford: Oxford University Press. pp. 719–734. ISBN 978-0-19-956610-5 
  4. ^ a b Booker, M. Keith (2006). “You Can't Do That on Television: The Animated Satire of South Park”. Drawn to Television: Prime-Time Animation from The Flintstones to Family Guy. Praeger Publishers. pp. 125–156. ISBN 0-275-99019-2 
  5. ^ Breihan, Tom (2010年4月12日). “'South Park''s Matt Stone”. Pitchfork. 2012年1月6日閲覧。
  6. ^ WhatCulture
  7. ^ IGN
  8. ^ Kotaku
  9. ^ Richmond, Ray (April 9, 2003). “The Twisted... Eleven”. The Hollywood Reporter: S-8 ? S-9. 
  10. ^ "COMEDY CENTRAL Home Entertainment Celebrates 10 Years of 'South Park' With the DVD Release of 'South Park The Hits: Volume 1' (October 3) Featuring Trey Parker and Matt Stone's 10 Favorite Episodes and, for the First Time-Ever, 'The Spirit of Christmas' Animated Short" (Press release). New York: Comedy Central. 19 September 2006. 2012年1月23日閲覧
  11. ^ South Park: Year of the Fan”. iTunes Store (2011年). 2012年1月6日閲覧。





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