オナセムノジーンアベパルボベックとは? わかりやすく解説

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オナセムノゲンアベパルボベク

(オナセムノジーンアベパルボベック から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/25 15:52 UTC 版)

オナセムノゲン アベパルボベク(Onasemnogene abeparvovec)は、脊髄性筋萎縮症遺伝子治療薬である[1][2][3]。かつては、AVXS-101として知られていた。商品名はゾルゲンスマ(Zolgensma)。


注釈

  1. ^ 脊髄性筋萎縮症(SMA)では、2019年7月にバイオジェン・ジャパンの「スピンラザ」(ヌシネルセンナトリウム)が承認されている。「ゾルゲンスマ」の薬価はアンチセンス核酸医薬の「スピンラザ」を比較薬とする類似薬効比較方式で算定された[1][4]。すなわち、「ゾルゲンスマ」を使うことで「スピンラザ」の投与が不要になる期間を計算し、その期間に投与されるはずだった「スピンラザ」をベースに薬価を算出し、正常遺伝子を導入するという新規の作用機序を持つことや1回の治療で長期間の有効性が認められることなどが評価され、有用性加算がなされ、先駆け審査指定制度加算も加わって、結果としてスピンラザ11本分の価格に60パーセントが上乗せされた価格となった[1][4]
  2. ^ 公的保険が適用され、医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度や乳幼児への地方公共団体の助成もあるので、実際に患者が支払う額はそれほど高額にならないとみられる。その分保険や公費が使われるが、使うと予想されるのは1年間に25人程度であり、1回使えばよい薬なので[4]、予測売上高(42億円)は、40兆円を超える日本の医療費全体からみれば必ずしも大きな数字とはいえない[1]。ヌシネルセンナトリウム(商品名「スピンラザ」)の市場規模119億円と比較しても小さい[1][4]
  3. ^ 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公表した審査報告書では、先駆け審査指定制度で審査期間を短縮するためのプロセスをノバルティス側が無視していたことなどが示されている[4]厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会の委員からは「命に関わることなので、患者・家族は本当に薬を待っていたと思う。企業側の不手際で遅れたにもかかわらず、加算が適用されるのは理解できない」「先駆け審査指定制度を使っていないのに加算がつくのは極めて問題だ」といった指摘があったという[4]。一方、「ゾルゲンスマ」の画期性や有効性を評価する声が多く、「薬価そのものを問題視する意見はほとんど出なかった」という報道もある[1]。新薬開発と財政維持のどちらを優先するかは社会的課題であり、医療保険財政への影響を抑制しつつ、製薬企業のイノベーションを適切に評価し、必要な薬を必要な患者に届けていくための新たな制度づくりの検討が必要となっている[1]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 1人あたり約1億7000万円!…驚愕の高額新薬「ゾルゲンスマ」は財政を破壊するのか”. エコノミストOnline (2020年8月14日). 2022年1月8日閲覧。
  2. ^ Onasemnogene abeparvovec - AveXis - AdisInsight” (英語). adisinsight.springer.com. 2018年10月6日閲覧。
  3. ^ KEGG DRUG: オナセムノゲンアベパルボベック”. 2020年2月27日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 初の「億超え新薬」ゾルゲンスマの薬価はどう決まったか”. Answers News (2020年5月20日). 2022年1月8日閲覧。
  5. ^ Novartis announces FDA filing acceptance and Priority Review of AVXS-101, a one-time treatment designed to address the genetic root cause of SMA Type 1” (英語). Novartis. 2018年12月4日閲覧。
  6. ^ AveXis receives FDA approval for ZolgensmaR, the first gene therapy for paediatric patients with SMA” (英語). SMA Europe (2015年5月25日). 2019年5月25日閲覧。
  7. ^ Novartis successfully completes acquisition of AveXis, Inc.” (英語). Novartis. 2018年10月6日閲覧。
  8. ^ “Slovenian Firm Involved in First Gene Therapy for Spinal Muscular Atrophy”. Total Slovenia News. (2019年6月3日). https://www.total-slovenia-news.com/made-in-slovenia/3822-slovenian-firm-involved-in-first-gene-therapy-for-spinal-muscular-atrophy 
  9. ^ FDA approves innovative gene therapy to treat pediatric patients with spinal muscular atrophy, a rare disease and leading genetic cause of infant mortality” (英語). FDA (2019年5月24日). 2019年5月24日閲覧。
  10. ^ “$2.1m Novartis gene therapy to become world's most expensive drug” (英語). The Guardian. Reuters (London). (2019年5月25日). ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/science/2019/may/25/21m-novartis-gene-therapy-to-become-worlds-most-expensive-drug 2019年5月25日閲覧。 
  11. ^ “2億円、「世界一高い薬」承認へ 脊髄性筋萎縮症の治療薬”. 47NEWS. 共同通信. (2020年2月26日). https://www.47news.jp/news/4558131.html 2020年2月27日閲覧。 


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オナセムノジーンアベパルボベック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 15:31 UTC 版)

脊髄性筋萎縮症」の記事における「オナセムノジーンアベパルボベック」の解説

オナセムノジーンアベパルボベック(商品名:ゾルゲンスマ)は遺伝子治療薬であり、1回投与生涯効果が続くと考えられている。 詳細は「オナセムノジーンアベパルボベック」を参照

※この「オナセムノジーンアベパルボベック」の解説は、「脊髄性筋萎縮症」の解説の一部です。
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