エンリルとは? わかりやすく解説

エンリル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/06 05:48 UTC 版)

エンリルシュメール語: 𒀭𒂗𒇸/𒀭𒂗𒆤 - DEnlil/DEnlil2)またはエッリルアッカド語: DEllil)は、古代メソポタミア神話に登場するニップル守護神[1]シュメールアッカドにおける事実上の最高権力者[2]。彼に象徴される数字は50、随獣は怪鳥アンズー[3]


注釈

  1. ^ 天命の書版、天命のタブレットなどとも言う。
  2. ^ エクル:「山の家」の意[2]
  3. ^ エドゥルアンキ:「天と地の結び目」の意[2]
  4. ^ アシュナン:穀物・植物・発芽を司るシュメールの女神[10]
  5. ^ ニントゥ:ニンフルサグと同一視される、豊穣と出産を司るケシュ市の守護女神[11]
  6. ^ メスラムタエア:神話『ネルガルとエレシュキガル』にも登場する戦の男神。後にネルガルと同一視された[12]
  7. ^ ニンアズ:戦士とする説もある「癒しの君」。エレシュキガルの息子とも言われ、その出自には諸説あるものと思われる。後代ではシンやエアと習合された[13]
  8. ^ ドゥルアンキ:「天と地の繋ぎ目」の意[21]
  9. ^ ウズムア:シュメール語で「肉が生じる場所」の意[22]
  10. ^ ヌンバルシェグヌ:シュメール語で「女君・斑入り大麦の生命」の意。すなわち、穀物を司るシュメール古来の女神ニサバの別名[26]
  11. ^ エンビルル:シュメールの農耕神。神話によって役割が異なり、水路監督や保安官であったりする。エアの息子であるとする説もあり、後代ではアダドなど他の神と習合されながらマルドゥクが持つ「50の異名」の1つと同一視された[27]
  12. ^ ニンリルは次々に子どもを受胎するが、「出産した」ことは明記されていない。また、神話であるためか、次の子どもをもうけるのに必要とされる期間など、通常の妊娠に必要なサイクルなどは全く無視されている[28]
  13. ^ 苦役に従事していた下級の神「イギギ(天界の神々の総称)」が反逆を起こし、エンリルの神殿を包囲し労働具めがけて火を放ったという[41]
  14. ^ 非難を受けるのは、エアではなくエンリルであったとする例もある[42]
  15. ^ ムル・アピン:アピン(Apin)=「星」の意。MUL-APINは書き言葉であって、必ずしも読み方を示しているわけではない。仮にMULを限定詞と見なした場合、発音の際「MUL」は無視される[44]

出典

  1. ^ 岡田・小林(2008)p.15
  2. ^ a b c d e f g h 池上(2006)p.53
  3. ^ 池上(2006)p.56 / 岡田・小林(2008)p.146
  4. ^ 池上(2006)p.53 / 岡田・小林(2008)p.144
  5. ^ 池上(2006)p.88 / 矢島(1998)p.186
  6. ^ a b 岡田・小林(2008)p.146
  7. ^ a b c d 池上(2006)p.55
  8. ^ a b c d e f g 池上(2006)p.54
  9. ^ a b 岡田・小林(2008)p.149
  10. ^ 池上(2006)p.174
  11. ^ 池上(2006)p.189
  12. ^ 岡田・小林(2008)pp.157-158
  13. ^ 池上(2006)p.187
  14. ^ 岡田・小林(2008)p.145
  15. ^ 池上(2006)pp.14,59
  16. ^ 池上(2006)pp.14,53-54
  17. ^ a b c 池上(2006)p.57
  18. ^ 岡田・小林(2008)p.150
  19. ^ 岡田・小林(2008)pp.8,120
  20. ^ 前田(2003)p.21
  21. ^ a b 岡田・小林(2008)p.34
  22. ^ 岡田・小林(2008)p.40
  23. ^ 岡田・小林(2008)pp.34,39
  24. ^ 岡田・小林(2008)pp.37-38
  25. ^ a b c 岡田・小林(2008)p.142
  26. ^ 岡田・小林(2008)p.147
  27. ^ 池上(2006)179、岡田・小林(2008)p.159
  28. ^ 岡田・小林(2008)p.154
  29. ^ a b c d e 岡田・小林(2008)pp.142-145
  30. ^ 岡田・小林(2008)p.151
  31. ^ 岡田・小林(2008)p.138
  32. ^ 月本(1996)p.29
  33. ^ 月本(1996)p.36
  34. ^ 矢島(1998)pp.88-89 / 月本(1996)p63,pp.81-82
  35. ^ 月本(1996)pp.62,84
  36. ^ 矢島(1998)p.89
  37. ^ 池上(2006)p.18
  38. ^ 岡田・小林(2008)p.62
  39. ^ 池上(2006)pp.59,178
  40. ^ 岡田・小林(2008)pp.48-52
  41. ^ 池上(2006)p.55
  42. ^ 池上(2006)p.19
  43. ^ a b c 岡田・小林(2008)pp.59-60
  44. ^ a b 近藤(2010)p.21
  45. ^ 近藤(2010)pp.26-27,p.33


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