アルミン酸カルシウムとは? わかりやすく解説

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アルミン酸カルシウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/17 08:33 UTC 版)

温度、混合比によるアルミン酸カルシウムの生成比率。
物質量比12:7 のアルミン酸カルシウムの結晶構造。12CaO·7Al2O3 (C
12
A
7
).[1]

アルミン酸カルシウム (英語: Calcium aluminate)は酸化カルシウム酸化アルミニウムを混合させ、高温で加熱して得られる物質の総称である。[2] 主に耐火物セメントの原料として用いられる。

常圧常湿下で生成される安定なアルミン酸カルシウムのモル比(CaO:Al2O3)は以下が知られている。

  • (3:1) 3CaO·Al2O3 (C
    3
    A)
  • (12:7), 12CaO·7Al2O3 (C
    12
    A
    7
    ) (別名:マイエナイト(英語: Mayenite[3]))
  • (1:1) CaO·Al2O3 (CA) (自然界ではクロタイト(英語: Krotite)及びドミトリーイバノバイト(英語: Dmitryivanovite)の二種類が存在する[4])
  • (1:2) CaO·2Al2O3 (CA
    2
    ) (自然界ではグロサイト(英語: Grossite)が存在する [5])
  • (1:6), CaO·6Al2O3 (CA
    6
    ) (自然界ではマグネトプランバイトグループの代表であるヒボナイト(英語: hibonite)が存在する[6])

加圧下やその他の条件では以下も存在しうる。

  • (2:1), 2CaO·Al2O3 (C
    2
    A): 2500 MPa以上で生成される[7]。 結晶構造は 直方晶系で、 密度は 3480 kg·m−3。 自然界ではブラウンミラーライト (英語: brownmillerite)が知られており、 常圧で形成されるが、火変成帯、例えば石炭採掘の山を燃やす際に高温で形成される。
  • (5:1), 5CaO·3Al2O3 (C
    5
    A
    3
    ), 水が存在しない、かつ無酸素状態でのみ生成される。 結晶構造は 直方晶系で、 密度は3067 kg·m−3と激しく反応する。
  • (4:3), 4CaO·3Al2O3 (C
    4
    A
    3
    ), 準安定状態医療における脱水に用いられる。 水和して4CaO·3Al2O3·3H2O (C
    4
    A
    3
    H
    3
    )を生じる。

水和反応

ポルトランドセメントと対照的に、 水和によってアルミン酸カルシウムは 水酸化カルシウム (Ca(OH)
2
、消石灰) を放出しない。

参考文献

  1. ^ Hosono, H.; Tanabe, K.; Takayama-Muromachi, E.; Kageyama, H.; Yamanaka, S.; Kumakura, H.; Nohara, M.; Hiramatsu, H. et al. (2015). “Exploration of new superconductors and functional materials, and fabrication of superconducting tapes and wires of iron pnictides”. Science and Technology of Advanced Materials 16 (3): 033503. arXiv:1505.02240. Bibcode2015STAdM..16c3503H. doi:10.1088/1468-6996/16/3/033503. PMC 5099821. PMID 27877784. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5099821/. 
  2. ^ Taylor H.F.W (1990) Cement Chemistry, Academic Press, ISBN 0-12-683900-X, pp. 34–38.
  3. ^ Mayenite Supergroup”. 2023年3月1日閲覧。
  4. ^ Krotite”. 2023年3月1日閲覧。
  5. ^ Grossite”. 2023年3月1日閲覧。
  6. ^ Hibonite”. 2023年3月1日閲覧。
  7. ^ Taylor H.F.W (1990) Cement Chemistry, Academic Press, ISBN 0-12-683900-X, pp. 28, 29.



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